各TV番組や週刊誌が絶賛する“激安葬儀”。しかし、実態を調査してみると次々と追加料金が発生したり、実際の現場を支える下請けの葬儀社は多額の中抜きをされているなど、多くの闇が隠れていた。

◆強欲な利用者の要求に仰天! 非難されるケース

 激安葬儀の闇は業者側の問題だけではない。利用者の強欲っぷりに、辟易する葬儀社も多いようだ。

「家柄的にお金に困ってなさそうなのに一番安い20万円の直葬プランを値切ってきた」(40代・元葬儀社従業員)

「『5万円でやってくれ』とむちゃを言いだし、『棺はホームセンターで買ったベニヤ板で作ったものを持ち込む』『ドライアイススーパーでもらえる氷を使う』と自前で安く済まそうとしていた」(53歳・葬儀社従業員)

 これには葬儀コンサルタントの吉川美津子氏も「5万円なんて絶対に無理です。強引に値切ってくるモンスター客は葬儀社に断られて当然です」と、葬儀社に同情せざるを得ない。

 また、「最近は安い葬儀を故人本人が希望していることが多い」と語るのは、宗教学者の島田裕巳氏。

「立派な葬儀をやらなければ世間体が悪いという風潮は、芸能人でさえもなくなりました」

 しかし、故人の意向に沿ってトラブルに発展した例もある。

「故人の祖母は生前から『葬儀は親しい身内だけで』と話していたので家族葬にしました。ですが、当日に従兄弟が『こんな簡素な葬儀、いくらなんでもかわいそうじゃないか!』と怒り、愚痴を言いふらしたせいで呼ばなかった親戚から非難を浴びました。ホーム入所中に一度もお見舞いに来なかった人たちですが……。その後、絶縁状態になりました」(44歳・事務)

「義兄が直葬で、故人の叔父が『通夜も告別式もやらないなんて何を考えている!』と激怒。故人の意向と伝えると『そんな失礼なヤツだから死んだんだ!』の一言に、故人の弟である夫がブチギレて殴ってしまった」(32歳・パート

 これに対して吉川氏は「一般的な葬式を行ったほうが不要なトラブルも生まず案外ラク」と指摘。

「葬儀後に周囲から『香典を持っていきたい』『お線香をあげたい』『花を贈りたい』などと連絡が来ることがあります。線香を上げるためには家にいなければならないし、香典をもらったら香典返しもしなきゃいけない。お花や線香などモノをもらう場合は、持ち出しになるのでむしろ高くつく。安上がりにしたつもりが、逆にコストがかかるケースもあります」

◆通夜と告別式はお坊さん不在でお経はナシ

 利用者の愚行の例はまだ続く。

「近所で有名なドケチ夫婦の母親が亡くなったとき。通夜と告別式はお坊さん不在でお経はナシ。『母はクリスチャンだったから』と夫婦は話すが、故人をよく知る人が『××寺の檀家だったのに……』と呟いてました。香典返しは百均商品のようなハンドタオル一枚で衝撃でした」(47歳・専業主婦)

「本家の従兄は、墓代がもったいないと亡くなった父親の遺骨を曾祖父母と祖父母の4人分の遺骨が納められている納骨堂の骨壺に入れました。既に骨壺はパンパンだったので、遺骨を入れられたのか疑問」(51歳・自営)

「親戚が亡くなったのを半年以上たってから喪中はがきならぬ“喪中メール”で知った。直葬だったのははがき代をケチるほどお金がなかったからか」(40歳・メーカー

 もし経済的な事情がある場合、もらえるお金を試算しておくとよいのだとか。

「故人が加入していた国民健康保険や後期高齢者医療保険、協会けんぽ等の健康保険から3万~7万円程度の葬祭費・埋葬料の支給があります」(吉川氏)

 ケチってトラブルになるぐらいなら、公的な補助を検討しよう。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
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