「太りやすくて痩せにくいのは、親からの遺伝だ・・・」と思っていませんか?

「肥満は遺伝する」という説は真実なのでしょうか。

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肥満原因になりやすいのは肥満遺伝子 or 生活習慣

太りやすい遺伝子は「肥満遺伝子」とも呼ばれますが、実際には肥満させる遺伝子があるわけではなく、この遺伝子を持つ人は脂肪を燃焼させて消費する働きが弱いため、エネルギーが消費されずに余りがちになり、太りやすく痩せにくいと考えられています。

両親が肥満だと、子どもも肥満の場合が多いことは否定できません。その理由は、肥満遺伝子のせいだとか、食の嗜好や生活習慣などが継承されるためだといわれます。

実際にどちらがより肥満に影響を与えるのかを調査した結果があります。

養子縁組した家族を対象にした調査で、生みの親が肥満の場合、たとえ痩せている養父母に育てられても子どもは肥満になりやすく、後天的な条件よりも遺伝の方が肥満原因になりやすい結果が出たのです。

肥満遺伝子を持っているからと必ずしも太るとはいえない

肥満遺伝子を持っていたら、必ず太ってしまうのかといったら、そうではありません。

欧米人に比べると日本人は肥満人口の割合が少ないといわれています。ところが実は、日本人の34%は肥満遺伝子を持っていて、世界でも3番目に多いことがわかっています。それなのに、日本人の肥満人口の割合は少ないのです。

実は、肥満遺伝子によって太りやすく痩せにくい体質であったとしても、その影響は基礎代謝量にして200kcal程度でしかありません。その分の摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすことによって解消できる量なのです。

日本人は脂質が少なく野菜類などが多い和食中心の食生活をしており、太りにくい食生活がすでに習慣化されています。そのため、肥満遺伝子を持つ割合が多くても肥満人口の割合が少ないと考えられています。

肥満対策はライフワーク

肥満は、摂取カロリーが多くなって消費しきれないと脂肪として蓄積される仕組みにより起こります。肥満は、毎日の余剰カロリーを積み上げた結果なのです。

1日たった20kcalの余剰だとしても1年では7,300kcalとなり、これは脂肪1kg分を消費するために必要なカロリーと同程度となります。この習慣が10年も続けば太ってしまうことはわかります。

反対に、1日20kcalを減らせば、1年で1kgずつ減っていくことになります。甘いジュースをお茶に換える、コーヒーに入れていた砂糖を人工甘味料に換えるなどで簡単に減らせます。

健康体重の維持は、健康寿命も長くするといわれていますから、肥満対策をライフワークとしてとらえてみるといいかもしれませんね。

参考文献
ジェイソン・ファン (著), 多賀谷正子 (翻訳)(2019)「トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ」サンマーク出版
「肥満と遺伝子の関係」. 湧永製薬株式会社
http://www.wakunaga.co.jp/health/month/post_8.html(参照 2019-04-25)
「カロリーとは」. TANITA
https://www.tanita.co.jp/health/detail/28(参照 2019-04-25)

「文:けんこうフィットNEWS 」

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

太りやすいのは肥満遺伝子 or 生活習慣?