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胸躍る花火大会の季節がやってきた。毎年楽しみにしている人も多いだろうが、残念ながら中止の決断をする実行委員会もある。一体全国の花火大会で何が起きているのか。しらべぇ取材班が追った。

 

■中止が相次ぐ現状

岡山県では玉野市で行われてきた50年の歴史がある「玉野まつり花火大会が、今年、いろいろな理由で中止になった。まず第一の要因が警備の問題。

毎年観客が2車線の500メートル道路内に押し寄せており、公式発表では観客数は約6万人。帰りに道路に観客が集中するため、安全上の問題が指摘された。

そして、夏の花火大会の時期は、各地で大会が重なるため、警備員の取り合いになるという。花火大会終了後は渋滞で車両が動かなくなるため、シャトルバスも会場に近づけなくなり、クレームが発生していた。

 

■財政的な問題も

また、市の財政上の問題もある。市からの実行委員会への補助金が年々減ってきているらしく、今年度はピーク時の半分以下。実行委員会担当者は「来年以降補助金がゼロになるという厳しい声もあり、来年以降は隔年開催になるかもしれない」と話す。

市の担当者によると、財政削減では、真っ先にお祭り花火大会などの予算が削られるという。

■キャパに見合う会場がない…

岡山市では「おかやま桃太郎まつり」の花火大会の今年度の中止が決まった。予算に関して全く問題なかったというが、この大会の大きな問題点は会場。

高低差がある部分が多いため、観客が将棋倒しになる危険性がある。しかも、その場所に毎年30万~33万人が集まるため、「観客の安全を充分に確保できない」と実行委員会が判断した。

市の担当者は、「来年以降会場を変えるか、警備員を確保して同じ場所で開催可能かを検討しているところ」と話す。

 

■有料化の動きも…

花火大会関係者によると、大会での打ち上げが5000発で、約1時間程度の開催時間の場合、一般的に総額は3000万程度の費用がかかるという。新潟県長岡市の「長岡花火」は、1800年代から続く伝統を観客席を有料化することで守っている。

長岡市によると、財政削減を見込んで、花火大会を実施するための第三セクターによる財団を設立。ここに市の職員が出向し、業務にあたっているため、長岡花火への市からの補助金は、運営スタッフの人件費のみ。観客席のチケット売り上げや寄付などでなんとか花火大会を運営している。

 

■クラウドファンディングで運営

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクによると、ガバメントクラウドファンディングふるさと納税制度を利用したクラウドファンディング)の花火大会関連プロジェクトは、寄附受付終了分も含めると計14あったという。

現在も埼玉県鴻巣市山梨県市川三郷町で募集を受け付けている。

花火大会関係者は、「花火大会という日本の文化を長く継承していくためには、観客のマナー向上が欠かせない」と話す。というのも、会場周辺での違法駐車、喧嘩、警備員やスタッフの指示を聞かないなどの問題が、現場で起こっているという。

観客のマナーの向上が進めば、余計な警備員やスタッフを配置せずにすみ、予算の削減につながる。日本の歴史ある貴重な文化といえる、花火大会。この文化を守り続けるためには、観客一人ひとりの自覚が大切だ。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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