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 そもそもゾンビなんているわけないじゃん。他に心配することたくさんあるでしょ?っと思うかもしれないが、土葬文化が根強く残っているアメリカではテレビドラマなんかの影響もあり、ゾンビの大量発生をガチで心配している人も多い。

 墓場から遺体が蘇り、ゾンビが街へと迫ってきた。その時どうすれば?

 科学の力を借りて、疫学的に正しい安全な避難場所をシミュレーションした研究結果が報告されたようだ。

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映画みたいにショッピングモールに籠城するのはNG

 ゾンビ映画を熱心に見ている人ならば、直ちにショッピングモールへ向かって血に飢えたゾンビどもと戦う準備を始めるかもしれない。ゲームにもそんなシチュエーションがあったはずだ。

 ここならば、食料品や水などの必需品を当面は確保することができる。持久戦をするのならばぴったりの場所と思えるかもしれない。

 それにいずれ世界が終わるのならば、その前にモールで好きな食べ物を心ゆくまで食べ、今まで着たこともない服を試したりと、徹底的に楽しんでから死ねれば本望。そんな束の間の享楽に耽るにも最高の場所だ。

 だが、そのような状況で絶望せず、本気で生き抜くつもりならば、ショッピングモールはお勧めできない。

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生き残るなら人気のない山奥にGO!


 アメリカ・コーネル大学の研究で、全米でゾンビの被害が拡大する様子がシミュレーションされた。

 この研究では、人口3億人のアメリカを舞台に、そこで暮らす人々が「人間」「感染者」「ゾンビ」「死んだソンビ」のいずれかの状態にあるものと仮定。

 ゾンビに噛まれると感染者となり、人間がゾンビを殺せば拡散は抑制されるという条件で、それぞれをランダムに接触させた場合、ゾンビがどのように広がるのかをシミュレーションした。

 そこから導き出された逃げるべき場所は、基本的に人口の少ない、街から離れたところだ。アメリカでゾンビが大発生したというのなら、モンタナ州やカナダの北ロッキー山脈が最適な避難場所となる。

都市部にいたらあっという間にゾンビになっちゃうよ

 研究では、ニューヨークシティでゾンビアウトブレイクが発生したと仮定したが、日本なら東京や大阪のような大都市を想定すればいいかもしれない。

 火葬の日本ではゾンビ出ないんじゃね? とかいう野暮はいいっこなしだ。そういうときはT-ウイルスのような、生きた人間がゾンビ化するような状況を想定してくれ。

 ゾンビは噛みつかれた場合に感染するとすると、人口が密集した場所では、すぐそばに人がいるために犠牲者はどんどん増え、ゾンビ禍が広がっていく。

 もし、人がごった返している東京の駅をゾンビが襲ったら? その結果、どれほどのゾンビが新たに誕生するか、簡単に想像できるだろう。ゆえに都市部の方が崩壊速度は早い。

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人口が少ないほど伝染速度は低下


 しかし、都市から離れた田舎ならば人が少ないために、ゾンビは噛みつく相手をなかなか見つけられない。そのために伝染の進行速度は低下する。

 また都市から距離があるならば、当然ゾンビが襲来するまでの時間は長くなる。それまでに十分対策を講じることができるかもしれない。

 アポカリプスが発生したら、人口が少ないところに逃げるべきなのはこうしたわけだ。

 ニューヨークで起きたアウトブレイクの波が田舎にまで到達するのは数週間かかると予測される。北部の山間部なら数ヶ月は時間的猶予があるという。

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さまざまな状況を想定しておくことも大切


 ただし、ゾンビの誕生メカニズムはさまざまなものが考えられる。

 またゾンビ映画が参考になるならば、呻きながらヨタヨタとしか動けないゾンビがいるかと思えば、猛然とダッシュで襲いかかってくるような奴もいる。

 こうしたことを考えれば、伝染する速度は一様ではなく、状況によってかなりバラツキがある可能性もある。あらゆる状況を想定して、柔軟に対応できるようにしておくことも生き残るには重要だろう。

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Grandfailure/iStock

破滅から逃れられるのか?


 ちなみにこのシミュレーション、研究者がゾンビオタクだからやったというわけではなく(そうかもしれないが)、現実の疫病が拡散する様子を明らかにすることが目的の、きわめて真面目な研究なのだそうだ。

 その結果が、最適な避難場所は北ロッキー山脈というものだったのだが、やっとの思いでそこまでたどり着いたら、すでにゾンビの大群がいたなんて、映画にありがちなオチが待っているかもしれない。

 というのも結局のところ、最終的に人類が生き残る見込みは薄そうだからだ。

 「現実的なパラメーターで試した場合、概ね破滅が運命づけられている。」

 ——これが論文の結論だ。ゾンビおそるべしなのである。

 ちなみに米国国防総省米国疾病管理センターでも、ゾンビの発生シナリオを使用して、災害対策のためのトレーニングプログラムを開発している。

References:Here's The Safest Hideout in a Zombie Apocalypse, According to Statistics/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52277053.html
 

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