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Point

■木星の磁場は「直流電流」よりも「交流電流」の割合が多くを占める

■木星は太陽系惑星の中で最大の磁場を持ち、サイズの大きさや自転速度の速さなどが原因で強力な電流が流れ込んでいる

■木星内の北極と南極で磁場の大きさが異なるので、それぞれに生じるオーロラの形も異なっていた

木星は太陽系惑星の中で最も強い磁場を持つ特異な星だ。

そのあまりの強さに、木星の磁気圏(磁力線が最も豊富な大気の領域)を流れる電流は、予測不可能な動きを見せることが知られている。

そして今回、2016年から木星探査を続けているNASAの探査機「ジュノー」の送信データを分析したところ、木星の磁場は「直流電流」が予想に反して少なく、反対に「交流電流」の割合が多くを占めていることが判明した。

そして木星内の北極と南極で磁場の動きが大きく異なり、それによってオーロラもそれぞれに違う形で生じることがわかった。

研究の詳細は、7月8日付けで「Nature Astronomy」上に掲載されている。

「直流」か「交流」か

木星の周囲を飛ぶジュノーは53.5日ごとに惑星の重力場に入り込み、地表わずか4000kmから磁力データを収集する。その中で木星の磁場は「直流」が少なく、「交流」が多いことが明らかになっている。

直流とは電流の向きや大きさ、電圧が一方通行で変化しない電気のことで、電池を使う機器は基本的に直流だ。

一方、交流とは電流の向きや大きさ、電圧が周期的に変化している電気のことで、コンセントを使う電化製品は交流となっている。コンセントのプラグの向きをどちらにしても電気が流れるのは交流システムのためだ。

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地球上では19世紀の後半に、トーマス・エジソン(直流派)とニコラテスラ(交流派)の間で、電力供給の方法をどちらにするかで論争が繰り広げられた歴史がある。

米国エネルギー省(DOE)によると、直流は異なる電圧間での電力変換が難しいため、結果的にテスラの交流がアメリカの基準となったそうだ。それでも電池式デバイスは今でも多く流通しているため、直流電流も大いに支持を受けている。

北極と南極でオーロラが違う

木星の乱気流 / Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstädt/ Seán Doran

地球の直流と交流の割合は2人の発明家の争いで決まったが、木星では大気中のイオンの振る舞いによって決められる。

木星はサイズの巨大さや自転速度のスピード、また衛星イオの火山から放出される過剰イオンによって、地球よりもはるかに強力な電流が流れ込んでいる。

そして、それに伴う木星の磁場の乱れ(乱気流)により、交流の割合が多くなっていると考えられるのだ。木星でお馴染みのゴッホの絵画のようなマーブル模様の正体は、この乱気流だ。

つまり木星の乱気流は、磁場の形や方向性が不規則に変動する交流システムなのである。

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そしてこの木星内の磁場の乱れは、北極と南極で生じるオーロラにそれぞれ異なる影響を与えていた。

木星のオーロラは地球と同様に、磁場の中で渦巻く電流が太陽光から受け取る高エネルギー粒子と相互作用することによって生じる。

ジュノーが木星の軌道を回ってデータを集めたところ、木星の北極部は南極のおよそ半分の電流しか生じていなかった

これは北極の磁力線が南極より複雑に配置されているため、電流の流れを妨げていたのだと思われる。一方で南極の磁力線はより滑らかな流れを形作っていた。

この違いは両極のオーロラに表れている。北極のオーロラはより広く分散することでフィラメントやフレアを形作る傾向があり、南のオーロラはよりまとまって構造化された形を持ち、オーロラが発する主楕円から光り輝く弧が伸びていたという。

二極間でのこのようなオーロラの違いは、木星ならではかもしれない。

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