江戸城の大奥には、常時1000人以上の奥女中が勤めていました。当時、大奥勤めは江戸の女性の大きなステータスでしたが、実際の仕事内容と給金はランクによってピンからキリまで分かれていました。

奥女中のランク

奥女中はもともと御目見以上(おめみえいじょう)御目見以下(おめみえいか)部屋方に分かれています。このうち将軍と御台所にお目通りできるのは御目見以上です。

御目見以上に配属されれば、何かのきっかけで将軍様に見初められる可能性があるのです。逆に、御目見以下の女性は、何年勤めようと永遠に将軍様に会う機会はありません。

歌川国貞「奥奉公出世双六」 国立国会図書館

御目見以下

今回はまず御目見以下をご紹介します。将軍様にお目通りの叶わない御目見以下といえど狭き門で、役職は計6種、人数は95人でした。

上のランクから順に、御三之間(おさんのま)、御仲居(おなかい)、火之番(ひのばん)、御茶之間(おちゃのま)、御使番(おつかいばん)、御半下(おはした)となっています。ちなみに御半下は御末(おすえ)とも言われました。

それぞれの役割と給金

それぞれの役割と給金も決まっていました。

御三之間は、御三之間以上の居間の掃除、御年寄などの雑用係。旗本の娘はまず御三之間に配属される事が多く、容姿や能力次第ではなんと御目見以上の役職にランクアップする事がありました。

つまり御三之間は出世ロードのスタートラインだったのです。給料は、切米(基本給)5石、合力金(衣装代)15両、2人扶持(自分の部屋の使用人の給料)。

御仲居は、食事を作る御膳所つまりキッチンでの献立作り、調理の一切を司っていました。切米5石、合力金7両、2人扶持。

火之番は昼夜に大奥中の部屋を巡回しながら火元を改めて、火の用心を呼び掛けました。切米5石、合力金7両、2人扶持。

御茶之間は御台所の食事中に、茶湯を出す係。切米4石、合力金7両、2人扶持。

御使番は大奥の事務管理局であり玄関口ともいえる御広敷向(おひろしき)に詰めている男性役人との取り次ぎ役。切米4石、合力金5両、1人扶持。

御半下(御末)はいわゆる下女。細々とした部分の掃除、風呂などのための水汲み、力仕事などの雑用全般をこなしました。切米4石、合力金2両、1人扶持。

関連画像