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Point

■35カ国1,000人以上を対象とした新たな研究により、「臨死体験」の経験者がおよそ10%にのぼることが明らかになった

■臨死体験には「いつもと異なる時間感覚」や「幽体離脱」などの不思議な体験が伴うことが多く報告された

■臨死体験を経験していた人ほど、レム睡眠時の覚醒を経験しており、両者には何らかの関連があることが考えられる

幽体離脱や幻聴・幻覚、スピリチュアルな体験に至るまで、人は「臨死体験」において様々な不思議な体験をすることが報告されている。

しかし、いったいこれまでどのくらいの人々が臨死体験を経験してきたのだろうか。35カ国の被験者を分析した新たな研究が、その割合についておよそ「10人に1人」という結論を導き出した。

研究は「第5回欧州神経アカデミー」にて、ノルウェー工科大学や、コペンハーゲン大学の研究者らで組織される国際チームによって発表された。

「不思議な体験」が伴う

臨死体験で経験した不思議な出来事の内容としては、「いつもと異なる時間感覚」が87%、「並はずれた思考スピード」が65%、「驚くほどに研ぎ澄まされた感覚」が63%、「幽体離脱」が53%という回答が得られた。

研究では、35カ国1,034人の一般人を対象に、オンラインでの調査をおこなった。最初の質問はいたってシンプルで、「これまでに臨死体験を経験したことがあるか?」といったものだ。

そこで「イエス」と答えた対象者には、詳細情報が求められた。そこでは評価ツールとして「Greyson Near-Death Experience Scale」が用いられており、臨死体験における16の兆候についての質問が並んだ。

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結果としては、289名が「イエス」と回答しており、そのうち106名が「Greyson Near-Death Experience Scale」の尺度において「本当の臨死体験」と評価された。

そして、彼らが経験したもののうち55%が実際に生命を脅かすような臨死体験であったのに対し、45%は生命の危機を伴わない臨死体験であったことが明らかとなった。

また、臨死体験を「快」「不快」に分類してもらったところ、興味深い事実が発覚した。

臨死体験について「イエス」と答えた人たちの73%が「不快」と答え、「快」と答えたのはたったの27%の人々だったのに対し、「本当の臨死体験」と評価された106名については、53%の人々が「快」と答え、「不快」であったと答えたのはわずか14%の人々にとどまったのだ。

レム睡眠が深く関与か

さらに研究者たちは、臨死体験とレム睡眠との関係についても調査をおこなった。レム睡眠とは睡眠サイクルの1つで、眼球が高速に動き、起きているときと同程度に脳の活動が活発になっている状態だ。

そしてレム睡眠時に覚醒した場合には、幻覚・幻聴や、意識はあるのに動くことができないといった、いわゆる金縛りの症状などが表れることが報告されている。

こうしたレム睡眠時の覚醒の経験は、「本当の臨死体験」と評価された人たちが47%と最も多く、次いで臨死体験を経験した人から「本当の臨死体験」と評価された人々を除いた人たちが26%、そして臨死体験を経験したことがない人々は14%といった結果になった。

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つまり、臨死体験を経験していた人ほどレム睡眠時の覚醒を経験していたこととなる。両者の間にはっきりとした因果関係が確認されたわけではないが、レム睡眠のメカニズムについてさらに研究が進めば、臨死体験とのつながりについて何か分かることが増えるかもしれない。

さて、あなたは「10人に1人」の中に入っていただろうか? 今のところ臨死体験は、良いものとも悪いものとも断定されているわけではないが、レアな体験であることに違いはない。

「死」に近づくことで得られる不思議な感覚についての真実に、人間はどこまで迫れるのだろうか。今後の研究によってすべてが明らかにされる日はそう遠くないのかもしれない。

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reference: medicalxpress / written by なかしー
10人に1人が「臨死体験」を経験していた。レム睡眠が深く関与か