人気ロックバンド「銀杏BOYZ」の峯田和伸と脚本家の岡田和恵による同名小説を映画化した「いちごの唄」が7月5日(金)より公開されている。7月7日(日)大阪市中央区の「なんばパークスシネマ」にて大阪舞台挨拶が開催され、上映前に主演の古館佑太郎と本作で原作、音楽、主題歌を担当した峯田和伸が登壇した。

ライブのため来阪することが多いという(左から)峯田と古館

古舘は「去年の夏からこの作品に携わらせていただいて、1年後の今日、七夕に皆さんとお会いできて嬉しい」と第一声。峯田は、映画館に行くことが好きであることを明かし、「日曜の夕方が僕の中ではベストなんです」と自身にとってのゴールデンタイムに舞台挨拶ができることを喜んだ。

ライブなどで来阪することが多いという2人。改めて大阪の印象について尋ねられると古舘は、デビュー前にライブをした際、最前列の観客がすごく盛り上がっていたため自分達の音楽を知っているのだと思い確認してみると、「1曲も知らない」との返答があったエピソードを明かし、「知らない曲なのにすごく盛り上がってくれて、自分がバンドを始めた頃に、育ててもらった場所という感じ」と印象を語った。一方峯田は「遠征で地方に行ったりする中で、自分のバンドが色々とやらかしてしまい、初めて自分の名前がスポーツ新聞の一面に載ったのが大阪だった」と苦笑いしつつ述べた。

初めて台本を読んだ時の感想について古館は「銀杏BOYZのどの部分を切り取るのだろうと楽しみにしていたら、意外なところが切り取られているイメージがあった。銀杏BOYZは可愛い部分と凶暴な部分が融合していると思うのだが、その可愛い部分が前面に感じ取られた」と語り、演じるにあたり可愛い部分だけでなく、凶器の様な部分をどう混ぜられるかというのを考えながら読み進めていったという。役作りをするにあたり、事前に峯田にメールを送ったにもかかわらず返信がなかったことを明かし「返事が無いことが返事だと思って受け取った」と、当時を振り返った。撮影中に峯田から、「原作や楽曲を気にせず、暴れ回ってくれ」とのアドバイスがあったと述べた。

峯田から見た古館の魅力について「顔がアップになると男の自分から見ても可愛いと思う。主役の顔で映画やドラマの印象は付くと思うのだが、彼の表情や彼の匂いみたいなものが当てはまっていると思う」と語った。

完成した作品を観て峯田は、企画が始まり映画化するまでに3年程要したと明かし「ようやく結実し、皆さんに観て貰えるなと思い、嬉しかった」と率直な感想を述べた。本作のために書き下ろした主題歌について「一つは劇中に出てくるあーちゃん(石橋静河)とコウタ(古館佑太郎)の姿を想像し、もう一つは3年前から『奇跡の人』や『ひよっこ』で岡田さんにお世話になっていたので、その恩返しの気持ちを込めて作った」と明かした。朝方の5時頃にレコーディングが終わり、一先ず岡田にメールで歌詞を送るとすぐに返信があり「ここでは言えないくらい良いメールが返ってきました」と語った。

七夕にちなみ古館、峯田のいずれかに願いを叶えて貰うという公式Twitterとの連動企画コーナーが設けられた。「3週間後に結婚するので、是非祝っていただきたい」との願いが披露され、そのカップルが登壇したところ、峯田が「知ってる人、知ってる人」とライブの常連であることを明かし、「『結婚式出て下さい』とか言われても、行かないからね。闇営業になるから」とタイムリーな話題で笑いを誘った。女性にはハグ、男性にはキスで祝い、直後に「唇カサカサ。水分が無かった」と再び会場を爆笑の渦に巻き込んだ。

最後にこれから作品を観る観客に向かって古館は、本作を観て自身が15歳だった頃の初恋を思い出したことを明かし「観終わった時に、皆さんも初恋を思い出してくれたら嬉しい」と述べた。峯田は「主人公のコウタは本当に純粋で、怖いもの知らずで、自分が『これだ!』と決めたことに対して突っ走るのだが、僕が高校生の時は全然そういうのでは無かった。高校3年間ずっと同じ人を好きで1回も会話できずに終わってしまったのだが、水泳大会の時に1回だけ目が合ったことがあり、それが『夏の終わりのプールサイドで、あなたはウィンクして…』と、本作の主題歌の歌詞に入っている」と明かした。続けて「それが僕に対してのウィンクだったのか、顔が濡れていたためぬぐった時にたまたま目が合ったのかはわからないが、僕は絶対あの時自分に対してウィンクしたというゆるぎない、確固たる思いがあり、その出来事を糧に10代を生きられた。映画や音楽が好きな人というのは、そういう一瞬の為に生きられる人が多い様に思うので、そういう人が楽しめる映画になっていると思う」と語り、舞台挨拶は終了した。(関西ウォーカー・南 華凛)

7月7日(日)大阪舞台挨拶が行われ、(左から)峯田和伸と古館佑太郎が登壇した