10代でプロ・デビュー、70年代から現在までプロデューサー、アレンジャー、ソングライター、あらゆる楽器をこなすマルチ奏者……と“多面体”音楽家として活躍を続けてきた清水信之。その彼のキュレートするライブ・シリーズが、今年6月から渋谷“eplus LIVING ROOM CAFE&DINING”でスタートした。毎回、清水と縁の深いさまざまなゲストが登場、ジャンルを超えた顔ぶれによるスペシャル・セッションは見逃せない。そんな清水信之に今後どのようなライブを展開しようと思っているのかを訊いた。

——ゲストのラインナップも含め、すでに年内に複数回のライブが決まっているそうですが。どんなシリーズになるのでしょうか。

まぁ、今年で還暦を迎えるし、来年はアレンジャー生活40周年だしね。自分の中でも、今までとは少し違う、新しいことをいろいろやりたいなとは思っていて。まず考えたのは、渋谷というカジュアルな場所で、気軽に、ちょっとおしゃれなものを聴きに来られる……みたいなイメージ。おしゃれな音楽を、くだらないおしゃべりと共にお送りします、みたいなのがいいなと(笑)。

——やっぱり、おしゃべりも大事な要素なんですね。

いわゆる“オトナ”のライブ会場でやる時は、しゃべってばかりだと“早く曲やれよ”ってことになりそうだけど。そういう、おしゃべりも含めてのパーソナリティも、このシリーズでは楽しんでいただけたらいいですね。音楽版『徹子の部屋』みたいな。

——清水さんが徹子さん役(笑)。でも、音楽はすごいものが見られてしまう。

ま、そこは当たり前だからね。すごい人たちを呼んでいるんだから、すごくて当然。でも、その“すごい人たち”のふだんの顔とかね、意外なおしゃべりとかね、そういうのも楽しんでもらえたらさらにいいじゃないですか。

——ちなみに清水さん自身にとっての“ライブ”とはどういうものなんですか?

自分とアーティストとお客さんとのコミュニケーションが何より大事です。限られた時間の中で、どれだけコミュニケーションを発生させられるかという面白さですね。

——鍵盤やギター、いろんな楽器を演奏されると思うのですが、何か今回のシリーズで初挑戦することがあるとしたら……。

オレが自分で踊るとか(笑)。いや、さすがに、お金をもらえるレベルに達してないことは無理。でも、1曲ずつ違う楽器を担当するとか、そういうのは一度やってみたいですね。

——ライブ・シリーズでありながら、毎回、清水さんのプロデュースで1枚ずつアルバムを作っているような感じになりそうですね。

あ、それは言えますね。“このアーティストに声をかけよう”と考える段階でもう、その理由なりコンセプトがあるし。ゲストで来てくれると決まったら、今、どんなテーマで何をやるのが面白いかなと考えるし。そのゲストの、自分が知っている魅力を引きだそうと思うのはもちろんのことだけど、これまでやったことがないことを試させてもらったり、ちょっと冒険してみたりもしたいしね……。確かに一回、一回が独立した作品づくりみたいな感じではありますね。“シリーズ”ではあるんだけど、常に新しいものを作っている感覚。うん、だから面白くなりそうな予感がするんですね。

現在決まっているライブスケジュールは下記の7日程、14ステージ。だがすでに7/20(土)と8/3(金)、そして9/6(金)はソールドアウトになっている人気のライブ。清水信之とゲストの音楽とトークをゆったりと楽しみに足を運んでみてはいかがだろうか。

★7/20(土)SOLD OUT〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 谷村有美×佐橋佳幸×清水信之

★8/3(金)SOLD OUT〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 稲垣潤一×安部恭弘×佐橋佳幸×清水信之

●8/7(水)〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents【Ceui×CooRie×mao】×佐橋佳幸gt 【House Band】”Nob’s Living Room” 清水信之pf/松原秀樹ba/山下あすかperc

●8/22(木)〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 【東京女子流/ さんみゅ~/CHICA#TETSU (from BEYOOOOONDS : ハロー!プロジェクト)】

●8/28(水)〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 岡本真夜×佐橋佳幸×清水信之

●9/6(金)SOLD OUT〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 村上てつや(ゴスペラーズ)×鳥山雄司×清水信之

●9/13(金)〈Special Live〉Nobuyuki Shimizu Presents 中島愛×北川勝利(ROUND TABLE)×佐橋佳幸×清水信之

取材・文:能地祐子