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 これまで撮影された中で、最も精細な人の脳全体の3Dスキャン映像が公開された。

 これは、0.1ミリよりも小さな物体ですら捉えられる高性能MRIで100時間かけて撮影されたもの。扁桃体のような脳の構造を鮮烈なまでの緻密さで確認することができる。

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100 MICRON MRI OF THE HUMAN BRAIN - SAGITTAL

58歳女性の正常な脳

 脳はウイルス性肺炎で亡くなった58歳の女性から献体された。脳自体は健康で、およそ3年間ほど保存されていた。

 脳は気泡が逃げられるように設計されたウレタン製の特性球状ケースに収められ、「7テスラ(7T)」という強力なMRI装置でほぼ5日間かけてスキャンが実施された。

 強力な7テスラでこれだけの時間をかけて撮影しても、はっきりと画像が写っているということは、その間、振動で震えたりすることなく脳がきちんと保持されていたということだ。

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死んだ脳ならではの高画質

 今のところ、これだけ緻密な画像を生きた人間を使って撮影することはできない。

 生身の人間には100時間もの撮影など耐えられないし、仮に耐えられたとしても、呼吸や鼓動のおかげでわずかでも動けば、画像はブレてしまう。

 それでも今回の撮影のおかげで、7テスラでできることとできないことが少しははっきりしたようだ。

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脳のさらなる理解へ向けて

 2017年、初めて食品医薬品局から臨床での使用許可が下りた強力なMRI装置、7テスラだが、大きな病院では今後使用例が増えていくことだろう。

 これほど精密な画像であれば、これまでは見えなかった昏睡のような疾病やうつ病のような精神疾患を引き起こす脳の異常を、ピンポイントで特定することができるかもしれない。

 人の脳の解剖学的な理解を大きく促進してくれる可能性を秘めているのだ。

References:MRI captures the most detailed view yet of a whole human brain/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52277055.html
 

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