ダンスカンパニー・Noismを経てフリーランスに転身後、近藤良平率いるコンドルズに参加し、白井晃らの演劇作品でステージングを手がけるなど、マルチに活躍しているダンサー・振付家の平原慎太郎。その彼が2013年、西村友美子(衣装)や熊地勇太(音楽)らとともに立ち上げた舞台制作団体・OrganWorksが、本日7月19日(金)より世田谷パブリックシアターにて『聖獣(リヴァイアサン)~live with a sun~』を上演する。

リヴァイアサン〉と言えば、イギリストマス・ホッブズによる政治哲学書が知られるが、元々は旧作聖書に現れる怪物の名前。ホッブズは国民が集まってできた国家を「リヴァイアサンである」と形容し、またアメリカの作家ポール・オースターも、“国家”という概念を題材に同名の小説を著した。OrganWorksの『聖獣』もまた、“個と集団”を掘り下げることで、リヴァイアサンの姿を描き出す作品。ヒトとは全く異なる時間の流れを生きる存在として“虫”を登場させ、対比によってヒトの持つ様々な特性を浮かび上がらせていく。

作品の初演は2017年。平原は、初演を「私平原慎太郎にとって、また、我々OrganWorksにとってターニングポイントになった作品」と、そして再演を「人間がダンスとどのように向かい合い、どのように社会に還元するかを示す機会」と位置づけた上で、「ダンスの本質・王道をおさえながら、ラディカルな視線を持つというダイナミックな公演になる」と、この再演に自信を覗かせる。OrganWorksの真骨頂が観られる舞台となりそうだ。

文:町田麻子

OrganWorks『聖獣(リヴァイアサン)~live with a sun~』