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もくじ

どんなクルマ?
圧縮比はディーゼルエンジン並の16.3:1
どんな感じ?
中回転域ではディーゼルエンジンのような音
高い充足感を得られるコーナリングマナー
質感で優れたインテリアも魅力
「買い」か?
訴求力の高いマツダ3のベスト
スペック
マツダ3スカイアクティブX 2.0のスペック

どんなクルマ?

圧縮比はディーゼルエンジン並の16.3:1

スタイリッシュではあるものの、どちらかといえば控えめなアピアランスを持つマツダ3。搭載されるスカイアクティブXと呼ばれる次世代ガソリンエンジンは、見た目以上の内容を備えている。かといって、ボンネットを開けてみても見えるのは黒い樹脂カバーではある。その内側に隠された2.0ℓ4気筒ガソリンエンジンが始動後に温まるスピードを速め、効率を高める役割を持つという。

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鍵となるのはマツダSPCCI(火花点火制御圧縮着火)と呼ぶ技術。軽負荷時には、非常に希薄なガソリン混合気をピストンへ流し込み、ディーゼルエンジン並の16.3:1という高圧縮比で収縮させる。ピストンが上昇し圧力が高まると、ごく少量の濃い混合気をスパークプラグ付近へと噴射。これを即座に点火させることで急激に圧力を高め、希薄な混合気の燃焼効率を高め、より高いエネルギーと優れた環境負荷を実現させている。さらにアクセルを踏み込んでいくと、通常のガソリンエンジンのように混合気を燃焼させる、というのが基本的な原理。

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一層効率を高めるために、電圧24Vのマイルドハイブリッド・システムも組み合わせ、スターター・ジェネレーターが減速時に充電することでエネルギーを回収。この電気は、停止状態からの加速時などで、エンジンをサポートする力となる。

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その結果、ターボ無しでの2.0ℓ4気筒ガソリンエンジンの最高出力は180ps。二酸化炭素の排出量は100g/km程度で、燃費は18.2km/ℓとアナウンスされている。なかなか目を見張る数字だ。ただしこの燃費は、6速マニュアルの前輪駆動モデルに、16インチホイールを組み合わせた場合のもの。

4輪駆動や18インチのホイールも選択は可能。その場合、もちろん燃費は悪くなり、二酸化炭素の排出量も125g/km似まで増えてしまう。オートマティックも選択は可能となっている。

期待の新エンジンを味わってみよう。

どんな感じ?

中回転域ではディーゼルエンジンのような音

スカイアクティブXエンジンで実際に3を走らせて、最も強く印象に残るのが、その自然なフィーリング。エンジンをスタートさせても、エンジンノイズやフィーリングは通常のガソリンエンジンと変わらない。しかしクルマを加速させ、エンジンの回転数が1500rpmを過ぎた辺りから、ディーゼルエンジンのようなややザラらついたノイズが聞こえてくるようになる。

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そこからさらにエンジンを回し、4500rpmを超えると、今度は少し荒々しいガソリンエンジンのような音になる。しかし、ディーゼルエンジンよりも遥かにスムーズで静か。エンジンのオートスタート・ストップ機能も、ほとんど気づかないうちに行われる。

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音質的にはディーゼルエンジンのようながら、低回転域からの力感は、自然吸気のガソリンエンジン並み。現代のダウンサイジングターボのように、1500rpm前後でピークトルクが来ることもなく、3000rpmまで引っ張る必要がある。そこで得られる最大トルクも22.7kg-mと、目立って太いわけではない。

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最高出力は6000rpmまで回さなければならないが、レブリミットは高回転といえる7000rpm手前になっている。そこまで回していくと息切れ感がでてくるものの、実際そこまで頻繁に回すドライバーはいないはず。結果としてディーゼルエンジンのライバルモデルよりも、6速マニュアルを頻繁に操作する必要はあるだろう。だが、それは苦痛な作業ではない。

高い充足感を得られるコーナリングマナー

むしろ、短く心地よいフィーリングのトランスミッションは、変速自体が楽しめる。アクセルを踏み込んで、シフトアップを上手に決めれば、0-100km/h加速は8.2秒でこなせるから、加速性能も充分以上だといえるだろう。

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エンジン以外の部分では、その他のマツダ3と同様。ステアリングは正確で、重み付けも適正。スピードやコーナリングフォースの高まりに合わせて、漸進的に操舵感も増していく。絶対的なスピードで比較すれば、より早さで勝るライバルはいるものの、コーナーを次々とこなしていくマナーからは、高い充足感を味わえる。

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コーナーを攻め込んでいってもボディーロールは穏やかで、クイックな身のこなしを支えている。フォードフォーカスほどフロントタイヤが路面を掴んでいく感覚はないが、グリップの限界ギリギリまで楽しめる走りを叶えている。

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ドライバーへの訴求力が高いぶんだけ、乗り心地も引き締まっており、スコダ・スカラよりも優れたボディコントロール性も備わっている。乗り心地が悪いわけではないが、ツギハギの多いような区間では、多少落ち着きがなくなる印象があった。前輪駆動モデルの場合、リアはトーションビーム式のサスペンションとなっていることが理由だろう。

質感で優れたインテリアも魅力

インフォテインメント・システムに表示されるSPCCI(火花点火制御圧縮着火)の状態以外、基本的に他のグレードとインテリアは同じ。悪い意味ではなく、素材の質感は非常に優れており、プレミアムな雰囲気にあふれている。ソフト加工されたプラスティックのほか、合成皮革で覆われたインテリアパネルなどは、すべてが非常によく組み付けられており、質感の高さを引き立てている。その印象は、ドアノブやスイッチ類などを操作した時のフィードバックにも通じている。

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8.8インチのインフォテインメント・システム用モニターはダッシュボードの高い位置に据えられ、ドライバーは視線移動が少なくて済む。コントロールはセンターコンソール部分のBMW iドライブ・コントローラーのようなロータリースイッチで行う。レスポンスやグラフィックの品質だけでなく、シンプルなメニュー構成でも操作性は優れている。ロータリースイッチの周りに並ぶショートカットボタンも便利だ。

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インスツルメント・パネルも部分的にデジタル化されているが、アウディのバーチャル・コクピットほど任意に設定できるようにはなっていない。情報を補完してくれるヘッドアップ・ディスプレイは標準装備となる。

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フロントシートの空間は広く、快適に座ることができるが、リアシートはレッグルームもヘッドルームも、165cmを超える身長の人には狭く感じられるだろう。サイドウインドウも小さくCピラーも太いから、視覚的に狭い空間を広く感じさせることも難しい。ラゲッジスペースは平均より小さい方。しかし、数日分の旅行用スーツケースなら、定員分は積み込むことはできるだろう。

「買い」か?

訴求力の高いマツダ3のベスト

パワーで劣る通常の2.0ℓガソリンエンジンや、1.8ℓのディーゼルエンジンであっても、マツダ3はお薦めできるハッチバックだと思う。今回のスカイアクティブXエンジンは、その訴求力を一層高めている。ファミリー・ハッチバックの次の候補として選びたくなる理由は高まったといえる。

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低回転域でのトルクは細く、最大トルク自体もさほど太いわけではないが、総合的なパフォーマンスと、経済性の高さや環境負荷の低さを考えれば、異論はないだろう。英国での価格はまだ発表されていないが、ディーゼルエンジン・グレードよりは若干安価に設定されるようだ。英国なら、社用車で登録する際の税金面でも、やや低くなる見込み。

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発表される価格次第なところもあるが、スカイアクティブXエンジンを搭載したグレードは、マツダ3のベストとなるだろう。ただし、長距離移動を頻繁に行うドライバーにとっては、依然としてディーゼルエンジンの経済性の方が高いと思われる。

マツダによれば、スカイアクティブXにはさらに次の展開もあるとのことなので、期待して開発の進展を待っていたいと思う。

マツダ3スカイアクティブX 2.0のスペック


価格 2万6000ポンド(353万円・予想)
全長×全幅×全高 4460✕1795✕1435mm
最高速度 215km/h
0-100km/h加速 8.2秒
燃費 17.2km/ℓ(WLTP)
CO2排出量 100g/km
乾燥重量 1486kg
パワートレイン 直列4気筒1998cc
使用燃料 ガソリン
最高出力 180ps/6000rpm
最大トルク 22.7kg-m/3000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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