江戸城の大奥には、常時1000人以上の奥女中が勤めていました。将軍様に謁見できる御目見以上(おめみえいじょう)、将軍様に会うことはできない御目見以下(おめみえいか)、部屋方(へやかた)に分かれていました。

中でも御目見以上に配属されるのは大変狭き門で、1000人以上の中からたったの84人しか就く事ができませんでした。今回は御目見以上の役職と給金についてご紹介します。

前回の【御目見以下編】はこちら

歌川国貞「奥奉公出世双六」 国立国会図書館

公家の娘がなれる役職

名目上奥女中の中でトップの上臈御年寄(じょうろうおとしより)、小上臈(こじょうろう)は主に公家出身者が務める役職でした。

上臈御年寄は御台所(将軍の正室)の側近で、小上臈はその見習いです。ほとんどの場合は御台所が婚家から伴ってきており、信頼のおける存在でした。

上臈御年寄が切米(基本給)50石、合力金(衣装代)60両、10人扶持(部屋の使用人の給金)。小上臈が切米50石、合力金40両、5人扶持。

実質上のトップは御年寄

彼女たちとは別に、実質上大奥第一の権力を握っていたのが御年寄(おとしより)です。こちらは公家ではなく旗本の娘が就く役職でした。

前回紹介した御三之間という低い役職から始まり、大奥で20~30年のキャリアを積み、のし上がった者だけがなれる最高位でした。

給料は切米50石、合力金60両、10人扶持。

御年寄以下の役職

御年寄以下の役職の仕事内容と給料は以下の通りです。

上のランクから順に、御客会釈(おきゃくあしらい)は、御三家ほか諸大名からの使者の応接役。切米25石、合力金40両、5人扶持。

中年寄(ちゅうどしより)は、御台所付きの御年寄の代理役。御台所の食事の毒見もしました。切米20石、合力金40両、4人扶持。

御中臈(おちゅうろう)は、将軍と御台所の身の回りの世話役。将軍と身近になるため、お手が付いて側室になる事も多かったようです。切米12石、合力金40両、4人扶持。

御錠口(おじょうぐち)は、中奥との取次役。切米20石、合力金30両、5人扶持。

御表使(おんおもてづかい)は、大奥の外交担当。外部からの買い物なども司りました。切米12石、合力金30両、3人扶持。

御祐筆(ごゆうひつ)は、日記や書状を書く書記係。切米8石、合力金25両、3人扶持。

御次(おつぎは、献上品の運搬や対面所の掃除係。切米8石、合力金25両、3人扶持。

御切手書(おきってがき)は、大奥と外をつなぐ七つ口を出入りする人の改め役。切米8石、合力金20両、2人扶持。

御伽坊主(おとぎぼうず)は、将軍付きの雑用係。50歳前後の剃髪した奥女中が務めました。切米8石、合力金20両、3人扶持。

呉服之間(ごふくのま)は、将軍と御台所の衣類の裁縫係。切米8石、合力金20両、3人扶持。

御広座敷(おひろざしき)は、御表使の下働き役。切米5石、合力金15両、2人扶持。

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