老友新聞2019年7月号に掲載された俳句入選作品をご紹介いたします。(編集部)

一本の大きな欅夏の空

行方 久子

欅の木と夏の空しか提示していない単純な作品ですが、大きく枝を広げる樹、真青な空が一読眼前に広がります。夏らしい力強い景色です。

歩けども海また海や土佐遍路

王田 佗介

四国遍路の高知路は海を見ながら歩くことも多いでしょう。海は疲れを癒してもくれますが、海ばかり見ていると遍路の辛さや寂寥感がつのりそうです。

母在すごとくに訪えば初夏の風

元松 五月

亡き母が住んでいた家を訪ねると、今も母が生存しているような気がするのです。初夏の心地良い風が、この家で母と過ごした頃に引き戻してくれそうで懐かしさひとしおです。

「一本の大きな欅夏の空」2019年7月入選作品|老友俳壇