トマトが切れずにつぶれてしまったり、鶏肉の皮がなかなか切れなかったり、切れ味の悪い包丁にイライラした経験はありませんか?実は、料理上手と包丁の切れ味は“切っても切れない関係”だとか…。イクシル編集部では、7月11日(木)に行われた貝印株式会社の「包丁研ぎ体験セミナー」に参加。包丁の選び方からメンテナンスまで学んできましたので紹介します。



■良い包丁とは?100円包丁と高級包丁の差は何?

貝印の社員でもある「包丁マイスター」の林泰彦氏より、最初に学んだのは包丁の選び方。最近では100円ショップでも包丁が売られていて、高い包丁と見た目では大きな差はないし、正直、どれを買えばいいか迷います。
林氏は「良い包丁の3大要素は、①材料(素材)が良い、②製造工程の精度が高い、③良い刃付けが施されていることです。見た目はどれも同じようでも、この3つの要素にどれだけ手をかけるかで値段も高くなり、質も違ってくるのです。」
林氏は、「家庭で使うなら自分が使いやすいのが一番。使用シーンや用途に合っていてお手入れもしやすいものを選ぶといいでしょう」と教えてくれました。
また、はじめて家庭料理用に用意するなら小さな食材を切るための「ペティナイフ」、普段に使う「三徳包丁」、肉を切る「牛刀」の3点を揃えるといいそうです。



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■自宅でも簡単!包丁マイスターに教わる包丁の上手な研ぎ方

次に教わったのは包丁のメンテナンス、つまり研ぐ方法です。「切れない包丁で食材を切ると見栄えが悪くなるだけでなく、おいしさにも影響します。どんな高級な包丁でも、お手入れをおろそかにすれば、切れなくなってしまいます」と林氏。
そして、いよいよ実践!包丁の研ぎ方を林氏がていねいにレクチャーしてくれました。そのポイントを紹介します。



■〈研ぎ方ポイント〉

●準備物:コンビ砥石セット(貝印)・面直し用砥石(貝印)・両刃包丁・古新聞(ない場合は古いジーンズ生地でも可)



研ぎ方ポイント1 砥石に対して包丁の角度を約15度に一定&安定
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包丁は利き手で柄を握り、人差指で包丁の背部分、親指で刃に近いところ(あご)を押さえるように持ちます。
刃は手前にし、利き手でない方の人差し指、中指の2本を研ぐ部分に軽くあてます。その時、包丁を砥石にあてる角度を砥石と包丁の間に小指が少し入る程度(約15度)にするのがコツ。 肩の力は抜き、砥石の端から端まで使うように滑らかに前後に動かします。包丁に添えた2本指は、切っ先、刃中、あごの近くと、研ぐ部分を変えるたびにずらしていきます。
包丁から微粉末と砥石が削れたもので水が黒くなってきますが、この水(研ぎ汁)は滑らかに研ぐ手助けになるので、捨てません。



研ぎ方ポイント2 まくれが出るまで研ぐ
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研いでいくと、刃先を手で触るとわかるくらいの引っかかり(まくれ/バリ)がでてきます。
確認する時は、人差し指・中指・薬指で峰側から刃先に向かってなでるように触ります。
※刃先だけをなぞるような触り方は手を切る恐れがあるので絶対にしないように気を付けてください。



研ぎ方ポイント3 ポイント1-2と同様に、反対側の刃も研ぐ
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刃全体に髪の毛1本分ぐらいの引っかかりを感じるまくれがでたら、包丁をひっくり返して反対の刃を研ぎます。
両刃の包丁の場合、反対側を研がないと刃のバランスが悪いだけでなく、包丁によっては切れにくくなるため、必ず反対側も研ぎます。



研ぎ方ポイント4 新聞紙でまくれを取る
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全体にまくれがでたら、まくれを落とします。
1日分程度の新聞紙を用意し、包丁の刃先を新聞にこすります。やりすぎると刃を丸くしてしまうので注意を。
研いだ時と同様に刃先を指で触って確認し、まくれがなくなったら完了です。



研ぎ方ポイント5 砥石のお手入れをする
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実は、包丁を研ぐと、砥石は中央からへこみます。へこんだままでは上手に研ぐことができないため、1丁研いだらすぐに面直し用砥石で研ぎ面を直すのが大切です。砥石が平らになったら、乾燥させて保管します。



イクシル編集部員も、実際に砥石を使って研いでみました。
教わった通りに包丁を手にとり、こわごわと研ぎはじめます。ちなみに研ぐ前にトマトを切ってみると、刃がなかなか入らずトマトの切り口はつぶれてしまいました。
最初はおぼつかなかった研ぎ方でしたが、すぐに慣れてきました。1度、手順を覚えると、これがなかなか楽しい!シュッ、シュッという包丁を研ぐ音もリズミカルになり、イクシル編集部員の場合、10分ほどで研ぎ終わりました。(包丁の刃の状態によって時間は変わります)
さっそく、トマトを切ってみると…。何の抵抗もなく包丁の刃がスッと入ります。その切れ味のいいこと!こんな包丁なら、料理もワンランクアップしそうです!



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とても身近な道具である包丁なのに、いかに無関心だったことか!今回、初めて包丁を研いでみましたが、想像以上に楽しいものでした。今後も定期的に包丁のお手入れをしたいと思いました。



〈今回のセミナーで使用した砥石〉

■コンビ砥石セット(#400・#1000)
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価格:3,000円(税抜)

刃こぼれを直すなどのお手入れの際に使う荒砥石と、日常的な研ぎなおしに使う中砥石が表裏で一体になった便利な砥石。
砥石とセットになっている研ぎ台の裏面には、合成ゴムのリブを付けた工夫が施されているため、水に濡れてもすべりにくく安定して作業ができます。さらに、研ぐ作業で出る黒い水(研ぎ汁)でキッチンが汚れないよう、水分を受ける溝がついているほか、使用後の砥石をセットして水切り・乾燥まで行うことも可能です。



■面直し用砥石
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価格:オープン

包丁を研いでへこんだ砥石を平面になおすための、硬い素材で作られた砥石。
砥石がへこむと、刃が砥石に当たる角度にブレが出て効率的な研ぎが難しくなるため、砥石の使用後には「面直し用砥石」を使ったメンテナンスをおすすめしています。



参考サイト
貝印株式会社



【包丁研ぎ体験セミナーレポート】包丁研ぎのプロに教わる!良い包丁の選び方と包丁研ぎのポイント5つ