射殺した動物のすぐ後ろでキスをする夫妻の写真がSNSで物議を醸している。南アフリカで撮影されたという問題の写真は現在削除されているが、娯楽のために狩猟をし剥製や毛皮をトロフィー戦利品)として持ち帰る“トロフィーハンティング”に激しい抗議の声があがっているようだ。『The Sun』『Fox News』など多数のメディアが報じた。

仕留めたばかりのライオンのすぐ後ろで熱いキスをする写真が、数日前にゲームハンティング専門のツアー会社「Legelela Safaris」のFacebookに投稿された。これはトロフィーハンティングの直後に撮影されたもので、「酷暑のカラハリでの重労働…素晴らしい成果」「1頭のモンスター・ライオン」「ジャングルの王者のハンティングに勝るものはない」といったハンターを称える言葉が添えられていた。

インパクトのあるこの写真は瞬く間に拡散し、動物愛護活動家やトロフィーハンティング反対派を中心にSNSは大炎上、SNSのユーザーが怒りの声をあげた。

ライオンを殺すことは勇敢でもカッコよくもない。あなたたちは臆病者に過ぎないわ。恥を知るべき。美しい百獣の王を殺すなんて魂が腐ってる。」
ライオンを殺して嬉しい? あなたたちの心は病んでいるね。」
「このキスで、あなたたち夫婦は有名人だね。吐き気がする。」
ライオンとこのカップルの立場が逆だったら良かったのに。ライオンに背後から襲われて、痛みを知るべき。」
「酷い。トロフィーハンティングは違法にすべき。」
「皮肉なことにトロフィーハンティングがなければ野生動物を保護するためのお金も集まらないんだ。これが現実さ。」

非難の的になっている夫妻はカナダアルバータ州エドモントン出身のダレンさん(45)とキャロリンカーターさんで、ダレンさんはトロフィーハンティングの専門会社「Take Aim Safari」のオーナーであり剥製師としても活躍している。そのダレンさんが今回の大炎上を受け、『Express.co.uk』で次のように反論した。

「私たちは絶滅危惧種の動物を殺しているわけではない。頭でっかちの動物愛護家たちは、アフリカについて何もわかっちゃいない。ライオンはハンティングに使われたり、極東に輸出するために飼育されているんだ。飼育されているライオンを殺したからって野生ライオンの数に影響はないんだ。」
「映画『ライオンキング』のムファサやセシルとは全く違う。ハンティングに使うライオンは牛や羊と同じようにライオン・ファームで飼育される。ワニを飼育するのは肉や皮のためだ。それとなんら変わらないだろう。」
「貧しい南アフリカではハンターが落としていくお金が必要なんだ。」

なお、元イギリス保守党副代表で資産家、フィランソロピスト(慈善活動を支援する人)でもあるアシュクロフト卿が南アフリカで1年かけて行った調査では、「ライオン・ファームビジネス」の残酷な現実が浮き彫りになった。それによると、トロフィーハンティングでハンターたちはあらかじめ“WhatsApp(ワッツアップ)”で送られてくる写真からライオンを選ぶ。また実際のハンティングはフェンスで囲まれた敷地内で行われ、人間に飼育されたライオンターゲットになるためハンターたちにとってはまさにスポーツでしかない。さらにライオン・ファームではより多くの利益を得るために、短期間で大きく育つライガーやタイゴン(トラとライオンミックス)の繁殖も手掛けるなど、全てがビジネス優先で進む。現在の南アフリカには約12,000頭のライオンが飼育されており、毎年少なくとも1,000頭が人間の娯楽や金のために殺される。

カーター夫妻が仕留めたような、立派なたてがみを持ったオスのハンティングのコストは600万円は下らないという。このビジネスが続く限り、殺されるために飼育されるライオンたちの悲しい悲鳴が止むことはない。

ちなみにトロフィーハンティングでSNSが大炎上したのは今回だけではない。昨年9月には、大きな雄のヒョウを抱え上げ笑顔でポーズを取る米女性ハンターの写真が拡散して物議を醸し、米女優でモデルのキャリー・オーティスは「トロフィーハンティングを犯罪にすべき」と訴えていた。

画像は『New York Post 2019年7月16日付「Couple ripped for ‘romantic’ pic next to lion they killed」(Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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