主治医は見落としやすいことも判明

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)精神神経病態学の大島悦子医師、寺田整司准教授らの研究グループは、薬の開始を相談するという比較的単純な治療場面においても、軽度認知障害(MCI)の患者のうち30%程度で治療同意能力が失われていることを明らかにしました。また、治療同意能力が失われていた対象者のうち40%程度について、主治医は、患者さんの治療同意能力欠損に気付いていなかったことも分かりました。



認知症予備群といわれる軽度認知障害(MCI)では、どの程度治療同意能力が保たれているのかは不明でした。今回の研究で、軽度認知障害(MCI)の段階でも、口頭説明だけでは治療内容を十分理解し同意することができない患者さんが少なくないこと、さらに、主治医は患者さんの治療同意能力欠損を見逃しやすいことが明らかになりました。より多くの高齢者が医療を受けるようになる中で、認知機能が低下している患者さんが意に沿わない治療を受けることが減るように、安全に治療を受けられる環境作りが必要です。




『本研究について研究者は次のようにコメントしています。
「治療同意能力が無いから、治療を受ける当人ではなく代諾者に説明すればよい」というわけではありません。家族に同席してもらって説明をする事はもちろん必要ですが、理解力や思考力の低下をサポートできるように「文書を用意する」、「理解しやすい文章にする」、「イラストを用いる」など、同意取得の際に工夫が必要です。』




本研究成果は、世界老年精神医学会の学会誌である「International Psychogeriatrics」電子版に5月27日に掲載されました。詳しい内容については下記外部リンクよりご覧下さい。



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軽度認知障害の段階でも、治療同意能力は低下していることを明らかに 同意能力低下を主治医は見落としやすいことも判明



岡山大学、軽度認知障害の治療同意能力低下を明らかに