NHK大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(日曜・夜8時~)の第二部が、第25回(6月30日放送)にスタートしました。
 熱いファンがいる一方で、1ケタ続きの低視聴率が取りざたされてきた『いだてん』。ですが、「最近、がぜん面白くなってきた」という声が聞かれるのです。キーポイントは「女性アスリート」です。


上白石萌歌が演じる前畑秀子が登場
 第二部は、舞台が昭和初期に移り、東京オリンピック招致の立役者である新聞記者・田畑政治(阿部サダヲ)が主人公です。



いだてん』第27回(写真:NHK提供)



 第27回(7月14日放送)には実在の天才水泳選手・前畑秀子が登場、演じる上白石萌歌(かみしらいし・もか)は、7kgも増量して役に挑んだそう。今後、前畑が昭和11年のベルリンオリンピックで日本女性初の金メダルとるまでのドラマは、どう考えたって感涙必至でしょう。


『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』などの著書があるライター・田幸和歌子さんも、『いだてん』女性アスリート陣への期待を語ります。


テニスや陸上で活躍した村田富江(黒島結菜)、そして陸上で銀メダルをとった実在の人見絹枝(菅原小春)…。女子スポーツの世界が描かれるようになってからは、物語もスッキリと見やすく、内容的にどんどん盛り上がりを見せています。


 男性の決めたルールや常識・世間体を押し付けられる女性たちが感じる不条理さは、現代の女性にも通じるものがあるだけに、共感もしやすい。脚本の宮藤官九郎さんは、そうした女性が背負わされている不条理さや苦悩、喜びや楽しみ、選択や決断を描くのが、実にうまいです。


 説教臭くなく、青く、テレや笑いをまじえて描いていくのがクドカンならでは。大いに盛り上がったこの勢いが、今後につながることを楽しみにしています」(田幸さん)


◆人見絹枝の“神回”で、期待度が爆上がりした人も
「女性アスリートの物語が面白い」と視聴者に確信させたのは、第26回(7月7日放送)の「明日なき暴走」。平均視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でしたが、ネット上には感動の声があふれました。



菅原小春が演じた人見絹枝(写真:NHK提供)



「演出の大根仁監督がtwitterで“神回”と予告していました。たいていは制作サイドが神回を宣言すると、観る者はひいてしまうものですが、これは上がりまくったハードルを軽々と超えていく、大げさでなく“神回”でした」(田幸さん)


 この回は、陸上選手・人見絹枝が、昭和3年のアムステルダムオリンピックで銀メダルを獲得した話。演じた菅原小春は、ダンサー・振付け師で、昨年末の紅白歌合戦米津玄師パフォーマンスをしていましたね。演技未経験の彼女を抜擢した『いだてん』制作陣は、すごい


「菅原小春さんにとって初演技仕事で巡り合えた、この奇跡的なキャスティング。『人見絹枝が憑依したよう』という賛辞がネット上には続出していましたが、何か神がかり的なものを感じてしまいますダンサーだからこその身体能力の高さ、品の良さ、他の人では出せない圧倒的な存在感がありました。


 野生的な強い目ヂカラには、登場したばかりの頃は、おびえや不信感の色が見えましたが、それが信頼できる先生たちの支えによって優しく強い意志の色へと変わっていきます。


 身長170cmの恵まれた体格は、日本では面と向かって『バケモノ』と呼ばれ、傷ついた気持ちを隠すように笑顔を見せますが、その作り笑顔のへたくそさが涙を誘います。トクヨ先生(寺島しのぶ)にもらったヘアピンを大事そうに髪につけ、あんこサンドイッチシベリア』を美味しそうに食べる姿はいじらしく、可愛らしく、純粋無垢な小さな少女のようにすら見えました」(田幸さん)



菅原小春が演じた人見絹枝(写真:NHK提供)



 なかでも、多くの女性の涙を誘ったのは…100メートルでまさかの4位落選となった後、800メートルに出場させてほしいという、控え室で涙ながらに訴えるシーンでした。


「『男は負けても帰れるでしょう! でも女は帰れません! 負けたら、やっぱり女はダメだ、男の真似して走っても役に立たない、と笑われます! 日本の……女子選手全員の希望が、夢が…』の鬼気迫る表情には、見る者すべての胸を締め付ける切なさがありました。


 そして運命の800メートルで、力強い走りから、疲れと苦しさ襲ってきた後、モノクロ映像が色づき、カラーになった途端、時代の大きな扉が開いたと感じました」(田幸さん)


 今からは考えられないほど、女性が法律的・制度的に“差別”されていた戦前(なんせ、女性は選挙で投票も立候補もできなかった)。そんな時代に道を切りひらいてくれた女性アスリートたちに、感謝と尊敬の念があふれてくるのです。


<文/女子SPA!編集部>


【女子SPA!編集部】ちゃっかり生きる、賢い女性のホンネ情報サイト。SPA!編集部の女性ライターたちが読者目線で情報を提供します。



『いだてん』第27回(写真:NHK提供)