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もくじ

アルピナの存在感 D3が高める
アルピナD3の内外装を見てみる
アルピナたる所以はどこに
D3からD4に乗り換えてみると

アルピナの存在感 D3が高める

SUVブームの只中にあって、セダンの販売が芳しくないというのは、何も日本に限った話ではない。

主にセキュリティの面から独立したトランクルームが重宝がられていた米国でさえ、近年セダンマーケットは急速に縮小。トヨタは米国内販売トップ銘柄がカムリからRAV4に代わり、フォードに至っては自国内でのセダンの販売そのものから手をひくという。

そこまで極端な勢いではないにせよ、中国や欧州でもセダンの販売台数は減少傾向だ。

居住性や積載力と行った機能面においては勝ち目のないセダンが追及すべきは、情に訴える作り込みだろう。デザインや静的質感はもちろん、動的質感も重要な項目だ。

SUVには醸せないものをいかに感じさせるかという苦悩を思えば、クーペ的な佇まいを持つセダンが増えている理由も納得できる。

走りにおいての理想をどこにみるかは好みによるところも大きい。が、間違いなくひとつの回答を示しているのはアルピナだ。彼らはラインナップの中にXD3というSUVを有してもいるが、中核にあるのは彼ら曰くのリムジン、すなわちセダンだと僕は思っている。

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近年、とりわけ日本でアルピナ存在感を高めたモデルといえばD3だろう。先先代に当たるE90系3シリーズベースとするそれの導入以来、D3は同社の販売を数的に支える看板車種として成長した。

2014年にはアルピナの年間生産台数の2割以上に当たる428台という販売台数を記録しているが、これに大きく寄与したのがF30系ベーススイッチしたこの現行D3の存在だ。

アルピナD3の内外装を見てみる

D3が搭載するエンジンはその車名にも現れる通りディーゼルだ。

BMWのN57系3ℓ直6をベースに、大小2つのタービンをシンクロコントロールするビターボ=ツインターボ化。吸排気系のチューニングやインタークーラーの大容量化などで燃焼行程の高効率化を図り、ECUも専用のマップに書き換えられている。

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そのパワーは同型式のエンジンを積む335dに対して37ps高い350ps、トルクは7.1kg-m高い71.4kg-mと、3シリーズの車格を鑑みれば十分なもの。0-100km/h加速は4.6秒、最高「巡航」速度は276km/hと、この数字に不満を覚えるドライバーはいないだろう。

外装はアルピナ・デコセットと呼ばれるストライプが車体をぐるりと取り巻き、フロント周りにはロゴを象ったチンスポイラーを配する。そして足元はフィンタイプのホイールが飾り……と、お馴染みのお化粧は基本的に昔から変わらない。

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内装についてもブルーのメーターパネルに明るい赤みを放つ楡杢のオーナメントトリム、南独産のラヴァリナレザーを巻いた細握りのステアリングなど、試乗車はその使命を果たすべく、全力のアルピナ仕様となっていた。もちろんこれらはオプションの選択時に如何様にでも設えることが可能だ。

エンジンの始動音にことさらな誇張がないのは、D3がディーゼルエンジンモデルだからというわけではない。これがガソリンエンジンのB3であっても、そういった演出は控えられている。

エンジンチューナーの出自でありながらレーシーさを指向しているわけではない、どちらかといえばラグジュアリーの側にブランドの軸足があることが、この控えめな演出からも伝わってくる。

アルピナたる所以はどこに

アルピナアルピナたる所以はどこにあるか。

人それぞれの勘どころはあると思うが、僕の場合は何はともあれライドフィール尽きる

暴力的な扁平率のタイヤを履いていながら突き上げや揺すりといった要素は徹底的に取り除かれる一方で、路面のサーフェスは凹凸やひび割れのみならず舗装の粒感までをも適切にドライバーに伝えてきてくれるこの脚裁きはちゅっと他類が思い当たらない。

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試乗車は15年製造のミシュランパイロットスポーツ2を履いていたこともあり、大きな目地段差や橋脚ジョイントなどでは中低速域で若干突き上げ感が強く現れる兆候があったが、これもタイヤ交換で霧散するだろう。

ZF製8速ATを介しての100km/hの巡航回転域は1500rpmを下回り、その域を用いての巡航燃費は15km/ℓを上回る。日本の路上では些か持て余すほどの高速性能と回転フィール、そして高負荷域のハンドリングを試すために用意されたのは富士スピードウェイの国際コースだ。

F30系でここまでダイナミックコースを走るのは、デビュー当初の国際試乗会で328iが用意されたカタルーニャサーキット以来である。

D3からD4に乗り換えてみると

その経験をもってD4に乗ると、やはり鼻面の重さはガソリン4気筒とは比較にならないが、それでも回頭性はDセグメントセダンとしては平均以上にあることは、BMWスポーツセダンパイオニアという元ネタの指向性によるところが大きい。

一方でタイトターンの切り増しでもやすやすとアンダーを出すことなくゆっくりとロールを深めながらコーナークリアしていく、そのマナーには安心感も覚える。

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特に気持ちいいのは全開からブレーキを残しつつコーナーアプローチするクルマの姿勢だ。今日びのクルマによくあるえげつないまでの空力パッケージではないことを鑑みれば、逆にメカニカルグリップで高レベルのスタビリティを作り出していることに目を見張る。と、ここでも驚かされるのはやっぱり脚の良さだ。

エンジンのフィーリングにおいて、ディーゼルであることを感じることは殆どない。もちろん吹け上がりの軽さや早さはどう頑張ってもガソリンエンジンには敵わないものの、スムーズな摺動感や綺麗に揃っていくエキゾーストノートなどの直6らしさは充分に味わうことが出来る。

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ドライブモードスポーツプラスに入れておけばサーキットスピードでは5000rpmオーバーも実用回転域となるが、基本的にはその遥か手前で充分な力感が得られるから、サーキットのような場所でさえムキになってタコメーターを睨むこともない。

そういう性格とアルピナの個性との親和性については様々な意見があるだろうが、個人的にはこの種の速さはむしろアルピナブランドイメージに見合っていると思う。


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