HARP(駒崎征明代表取締役)、HBA(伊藤尚樹社長)、アライズイノベーション(清水真社長)、NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT、木村丈治社長)、東日本電信電話(NTT東日本、井上福造社長)の5社は、北海道内の九つの自治体とともに、自治体が共通的に実施している定型的な業務を対象として、業務の効率化につながる共同利用型RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とAI-OCRを用いた業務効率化の可能性を検証した。実証期間は2018年10月から19年3月まで。

オリジナルで読む



 住民に提供する行政サービスは自治体が支えているが、人口減少などにより自治体も労働力不足の課題を抱えている。北海道では今後20年間で20%以上の人口が減少し、道内の6割の自治体が人口5000人未満になると予測されている。このような環境変化に対応するため、AIやロボティクスといったICT技術の活用や行政業務の標準化・共通化によるスマート自治体への転換が求められている。

 こうした現状を踏まえ、北海道函館市滝川市富良野市登別市音更町釧路町弟子屈町、占冠村の9自治体を検証フィールドとして、定型的な業務を標準化、共通化して、RPAに自動処理させる仕組みを共同利用型で構築し、実証実験を実施した。

 多くの行政サービスで利用されている帳票や申請書などの紙書類を読み取り、機械識別可能なテキストデータに変換するAI-OCRを、RPAの前処理として活用する実験をあわせて実施し、その識字率や課題なども検証した。

 なお、各社の役割は、HARPがLGWAN-ASPのクラウド基盤構築やRPAシナリオ開発、HBAが自治体業務のノウハウ提供やRPAシナリオ開発、アライズがAI-OCR製品「AIReadR」の提供、NTT-ATがRPAツール「WinActorR Cast on Call」の提供とRPAシナリオ開発、NTT東日本がネットワーク環境のサポート支援やRPAシナリオ開発を行った。

 実証実験の結果、シナリオにより効果の差はあるものの、RPAにより職員の作業を最大9割低減できることが分かった。また、動作環境を踏まえた業務フローの見直し、共同利用を考慮した様式の標準化、他システムとの接続を考慮した出力、OCRの識字率を踏まえた最終確認作業、利用者を意識した操作性などに関する課題を抽出することができた。これらの結果をサービス開発の材料として、自治体における業務改善、効率化の支援を検討していく。

IT企業5社が自治体の課題解決に取り組む