ゲームコラムニスト・卯月鮎の絶対夢中★ゲームアプリ週報

『ファイアーエムブレム 風花雪月』
Nintendo Switch任天堂/6980円(+税)/7月26日発売

 任天堂シミュレーションRPGファイアーエムブレム』の新作が、据置機では12年ぶり、正統続編としては4年ぶりに発売されます。一昨年リリースされ、欧米でもセールスランキング上位に顔を出したスマホゲームファイアーエムブレム ヒーローズ』の躍進を受け、新作が世界的にどれだけ受け入れられるかも注目点のひとつです。

 簡単に『ファイアーエムブレム』の歴史を振り返ると、初代は1990年ファミコンで発売されました。話題になったのは、オープニング曲に合わせて「て~ごわいシミュレーション」とオペラ風に歌うCM。その歌詞の通り、死んだ仲間は復活しないという掟が手強い壁として立ちはだかりました。

 当時ブームとなっていた『ドラクエ』を代表とするRPGでは、たとえHPが0になっても呪文や教会でさらっと復活するのが当たり前。それが、ヒロインシーダや親友・マリクのような主要キャラでも敵にやられたら、そこから先は登場しないというのは衝撃的!

 まだ子どもだった私は、勢いで適当にゲームを進めて部下の騎士やら傭兵やらをボロボロと失い、ステージクリアに窮するはめに……。各キャラの能力をきちんと把握し、ダメージを計算しながら戦うという先読み力の大切さを『ファイアーエムブレム』からは学びました。

 この“生き返らない”というルールは、ゲームに緊張感を与えるとともに、キャラへの愛着を高める効果もありました。キャラを死なせないように育成するうち、自然と彼らのことを考えて思いが募っていく。初代以降、『ファイアーエムブレムシリーズは、結婚システム支援会話の導入もあり、登場人物たちの関係性を想像しながら愛情を注ぎ込んでキャラを育成するゲームへと進化・発展していきました。

 さて、今回の『ファイアーエムブレム 風花雪月』は、正統シリーズ初の学園もの。三国が均衡を保つ地・フォドラで士官学校の教師となり、出身国別に編成された3つの学級からひとつを選んで指導することになります。そして5年後、かつての教え子たちと同窓会で再会するも血の雨が降り注ぐ……。

 平和な学園で生徒を育成する第一部「士官学校編」と、シナリオが三国に分岐する第二部「戦争編」の二部構成で、老舗シリーズとしては挑戦的。時の流れを描き、物語も厚みを増していそうです。戦闘はおなじみのマス目マップ上で行うターン制ですが、生徒たちを「資格試験」に合格させ、多種多様な兵種にクラスチェンジできるという育成の自由度も高まっています。

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 日本でのサブタイトルは「風花雪月」と風流ですが、海外でのサブタイトルは「Three Houses」。三国が争う展開は、かつて交流のあった複数の家の貴族たちが大陸の覇権を奪い合う、陰謀渦巻く米人気ファンタジードラマゲーム・オブ・スローンズ』を連想させます。2011年から始まり、8年の歳月を掛けて完結した『ゲーム・オブ・スローンズ』は世界150ヵ国以上で放送され、最終回前はブームを超えて社会現象ともいえる盛り上がりを見せました。今回の『ファイアーエムブレム』の新作も世界でヒットすれば、ファンタジードラマブームに乗って、実写ドラマ化、映画化の話が持ち上がることは確実でしょう。

 海外では日本と同時期にファミコン版、スーファミ版が展開されておらず、知名度としては出遅れていましたが、一昨年にリリースされたスマホゲームファイアーエムブレム ヒーローズ』は、「課金額の約50パーセントが国内、それに次ぐ約30%がアメリカ」という調査結果も出ています。欧米での人気も高まってきた今、今回の新作がグローバルコンテンツ化への試金石となりそうです。

 マリオポケモンなどポップキャラクターに強みを持つ任天堂にとっては、シリアス路線の『ファイアーエムブレム』は貴重な存在。『モンスターハンター:ワールド』が世界を席巻したように、『ファイアーエムブレム』も大きく花開くか、注目です。

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲームの紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。著作には『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。ウェブサイトディファレンス エンジン

『ファイアーエムブレム 風花雪月』公式サイト