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もくじ

はじめに
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
内装 ★★★★★★☆☆☆☆
走り ★★★★★★★☆☆☆
使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆
快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆
購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
スペック
結論 ★★★★★★☆☆☆☆

はじめに

プジョーシトロエン、そして今やオペル/ヴォグゾールも要する自動車業界の巨人、PSAグループは、1億ユーロ(約122億円)の巨費を投じて、ポワシー工場にDS 3クロスバックの生産ラインを準備した。この大胆なルックスの新型車に対する、期待の表れといえるだろう。

大胆なのは見た目だけではない。DSオートモビルズとしては、DS 7クロスバックに続く2車種めの新規設定モデルで、絶大な人気がさらに膨らみ続けているBセグメントSUVのシェアを、伝統あるプレミアムブランドから奪うことを目指そうというのだ。そのターゲットアウディQ2やミニ・クロスオーバーだが、それらと違って、DSはいまだ認知度を高めている途中で、多くのドライバーにとっては海のものとも山のものともつかないブランドといったところだ。

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現代版DSの初期モデルは、当然ながら既存のシトロエン車をベースにしたもので、慎ましい成功に満足していた。実際のところ、人気のDS 3ハッチバックは別にして、2015年の独立ブランド化以来、DSオートモビルズの経営は芳しくなかったといってもいい。DS 7クロスバックはリバイバルの先導役になったと思われるが、今回テストする弟分はセールスをさらに拡大することが求められている。

このクルマは、ベースとなったハッチバックの市場を脅かしつつある、数多いコンパクトSUVの一台にすぎないとみなされるだろうが、それ以外の点でも時流を捉えている。ベースとなるCMPプラットフォームは、PSAが中国で協力関係を築いている東風汽車との共同開発で、近く電動仕様も導入される予定。スタイリングや雰囲気が重視されているが、ドライバーアシスト技術においてもセグメントのトップレベルを目指している。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

膨らんだボディパネルやアグレッシブなライト形状で、一見するとかなり個性的なDS 3クロスバックだが、ボディサイズに関してはプレミアムBセグメントSUVの典型的なものだ。全長はおよそ4200mm、全高は1530mmほど、全幅は1800mm程度。DSブランドの中軸を担うことになるだろうこのニューモデルは、アウディQ2やミニ・クロスオーバーとほぼ同サイズで、BMW X2より小さい。

ブランドやデザインの面からすれば、これがPSAグループのクルマだというのは、誰もが確信できるところではないだろう。たしかに、高いベルトラインや大きく広がったグリルは、プラットフォームをシェアするものもあるプジョーシトロエン、ヴォグゾールなどのモデルとの効果的な差別化を実現している。そのプラットフォームであるCMPは、従来品に比べ軽量素材の利用比率を高め30kg軽量化しただけでなく、フルEV化にも対応するよう設計された。そのため、DS 3クロスバックにはEテンスと呼ばれるEV仕様が年内にも追加される予定。134psの電気モーターと50kWhのバッテリーパックを積み、航続距離は320kmほどとなる見込みだ。

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現在、ガソリンエンジンはダウンサイジングターボの1.2ℓ3気筒のみで、100〜155psの3機種。ディーゼルは100psの1.5ℓ4気筒ブルーHDiのみで、これとガソリンのエントリーモデルは6速AT、ガソリンの上位2機種は8速ATを組み合わせる。

予想されたとおり、駆動方式は前輪駆動のみ。四輪独立懸架で、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはマルチリンクを採用し、走りの洗練度向上を図っている。実際、オフロードへの準備はまったくなされていないが、PSAがこのクラスのほかのモデルには、ブレーキ操作やトルクベクタリングを用いて滑りやすい路面でのトラクションを最大化するトラクションコントロールを与えていることを考えると、これは驚きだ。また、ライバルの中には上級グレードにアダプティダンパーを用意するモデルもあるが、このクルマはコイルスプリングとパッシブダンパーの組み合わせのみを設定する。

とはいえ、DSはこのクロスバックのプレミアムなポジショニングを正当化すべく、別の手を打っている。新たな安全装備のドライブアシストには、フルサイズの高級車にみられるような機能が盛り込まれているのだ。アダプティクルーズコントロールとアクティブレーンキーピングは、手放し運転には対応していないものの、64〜177km/hで作動する。

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

キャビンは、興味深く個性的な要素に事欠かない。しかし、実際にはさまざまな不足や矛盾が、実用性やプレミアムブランドにふさわしいリッチさといった、本来ならセールスポイントとなるべき利点をこのクルマから奪っている。

前席へ乗り込むのは、一般的なコンパクトカーより楽であるはずだし、また楽であるべきだ。ところが、たいがいの場合は便利な高いヒップポイントを持つものの、気をつけていないと、そこへたどり着く前にかかとが、めったにないほど高くて広くじゃまなサイドシルに引っかかるのである。

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そうして乗ってみると、コクピットの前面に広がる構造やパッケージングは実に斬新だ。送風口や計器類、インフォテイメントのディスプレイ、スイッチ類は、ダッシュボード上の同じ高さに並べられている。そのすぐ下の部分やドアトリムはえぐられ、膝回りやひじ周りに十分なスペースを生んでいる。テスト車のレザーやモールディングの色合いはダークだが、心地よい空間をもたらし、また前方の良好な視認性にも貢献している。ところが、後席は前席同様とはいえない。外の眺めは高いベルトラインや、サメのヒレのようなボディサイドのデザイン要素に妨げられるのだ。

テスト車のグレードは中の上といったところに位置付けられるプレステージで、950ポンド(約14.3万円)のオプションであるオペラ仕様のインテリアを装備する。これは、時計のベルトをモチーフにして黒いソフトなレザーを張ったシートや、黒地にブロンズのブチが入ったレザーにステッチを施したダッシュボードなどが与えられる仕様だ。

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このアップグレードされた内装トリムと、センターコンソールのデザインに凝ったスイッチには、そのプレミアムな価格に見合ったラグジュアリーなデザインだと納得させようとした努力の跡が散見される。とはいっても、それ以外の場所に目を移すと、硬くプレーンでテカりのある、下から2番目にあたるトリムのモールディングがそのままで、魅力もプレミアム性も感じられない。

いっぽうで、大画面のタッチ式ディスプレイとデジタルメーターは、洗練性を演出しようとしているが、その成功は限定的なものといえる。というのも、前者はやや優雅さが足りず反応も遅いし、後者には明確で読み取りやすいクラシカルな指針メーターを表示するモードが用意されていないからだ。

走り ★★★★★★★☆☆☆

3万ポンド(約450万円)近いコンパクトSUVハイエンドユニットとなる、1.2ℓ3気筒ガソリンのトップレンジはいかなる実力の持ち主だろうか。大したことはないと思われるだろう。この価格帯のクルマで、こうしたダウンサイジングエンジンは一般的になりつつあるが、DSがそれを早い段階で開発し導入した大胆さは賞賛に値する。そうしたプランニングはたしかに評価できるが、このエンジンは評価のしようがないというものではないのも事実だ。

DS 3クロスバックの現時点では最強版である155ps/24.5kg-mのエンジンは、直線加速に関しては0-97km/hで8.8秒をマークする。目を見開くほどのパフォーマンスではなく、より大きな排気量のライバルはもっと速い。しかしこのピュアテックユニットは、決して無気力で力強さに欠けるものではない。48-113km/hの追い越し加速は、われわれが走行性能のリアルな指標として重視するものだが、8.3秒というタイムは、2016年に計測したアウディQ2の1.4ℓ・150ps仕様にコンマ1秒譲るのみだ。

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しばかり騒がしい3気筒のサウンドだが、総体的には高級感を損ねるほどではない。回転系の針が6250rpmのレッドラインに近づくにつれ、無理をして息切れしそうな感じをみせるようになるが、個性的な音質は、この価格帯ではよくある鈍く鼻声のような唸りをしばしば聞かせる4気筒よりは魅力的だ。中回転域のトルクは望み通りの力強さがあり、スロットルレスポンスはゼロ発進でも追い越し加速でも十分以上といえる。

このパワートレイン最大の弱点は、8速ATのほうだ。普通にドライブするだけなら変速はかなりスムースだが、急加速時には変速のタイミングを迷ったり、不器用にシフトアップしたりする傾向が明らかなのだ。また日常使いでは、アイドリングストップとの協調ぶりが特別素晴らしいとは言い難い印象を覚えるだろう。停止しようと減速すると、しきりにエンジンを止めたがるし、ブレーキを緩めて発進しようとした際には、再始動にややもどかしさを感じる。

テストコース

ミルブルックのヒルコースでDS 3クロスバックがみせた走りは、エンスー的とは言い難いものだったかもしれないが、十分にまとまりのいいものだった。コーナリング時のロールは公道でのそれより目立ったが、ほとんどの場所でその出方は唐突すぎたり戸惑わされたりするものではなかった。ステアリングはおおむね軽くフィールはないが、スポーツモードに切り替えれば、少なくとも自信を持って操作できる程度には手応えが増し、高速コーナリングではありがたみを感じる。

マニュアルモードにより、ギアボックスのコントロール幅は広がるのだが、公道でも直線コースでも感じた変速の遅さを完全に克服することはできない。にもかかわらず1.2ℓエンジンは、このコースのきつい上り勾配を、それなりに速く駆け上がれる力強さを発揮した。

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オーバースピード気味にT2へ飛び込むと、フロントが流れてアンダーステアとなるが、コーナリング中にスロットルを戻せば容易に修正できる。

T3での明確なロールには、ときに気力を削がれるだろう。そのうえ、逆バンクの下りに入るとリアまで不安定になる。

電子制御のスタビリティシステムは、T5で車体が沈み込んだ際にいきなり介入してくる傾向があり、その後のコーナー脱出時に前進を妨げる。

発進加速

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テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:17.0秒(到達速度:137.1km/h)
0-1000m発進加速:30.6秒(到達速度:174.1km/h)

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アウディQ2 1.4TFSI 150スポーツ(2016年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:139.2km/h)
0-1000m発進加速:30.1秒(到達速度:174.6km/h)

制動距離

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テスト条件:乾燥路面/気温16℃
97-0km/h制動時間:2.90秒

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アウディQ2 1.4TFSI 150スポーツ(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温12℃

使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆

インフォテインメント

10.3インチワイド画面のタッチ式ディスプレイを用いたインフォテイメントシステムを、この価格帯で標準装備するのは珍しい。ただし、プレステージ以上のグレードのみだが。これはつまり、パフォーマンスライン仕様を購入しても、純正ナビはついてこないということ。スマートフォンのミラーリング機能はAppleとAndroidの両方に対応するものが備わるとはいえ、2万7000ポンド(約405万円)以上も払うことを考えると不満が残る。

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もっとも、上位機種向けのDSコネクトはそれほどできのいいシステムでない。かといって、それがなぐさめになるという話ではないかもしれないが。グラフィックが滑らかなわけでも、出来のいい入力デバイスがあるわけでもなく、マップやラジオのチューニングを表示していてもディスプレイ左右のそれなりの面積が無駄な壁紙画像に占められているのは、お世辞にも魅力的とは言い難い。

ナビゲーションはトムトム製で、使い勝手もマップのディテールも上々だが、それ以上に評価すべき点はない。ライブ渋滞情報やオンライン検索機能、ガソリンスタンド/駐車場/天気情報が購入から3年間は無料で使えるが、それ以降は定額制の有料サービスとなる。

駐車

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燈火類

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テスト車のマトリックスLEDヘッドライトは、プレミアムプラスパッケージに含まれる。明るさや照射距離は十分以上だが、自動減光機能はやや作動がスローだ。

ステアリングとペダル

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足元のスペースはやや小さいが、2ペダルなのでさほど問題にはならない。幅広いブレーキペダルと配置のいいスロットルペダルは操作しやすく、ステアリングコラムの調整幅は十分に広い。

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

PSAの新たなプラットフォームであるCMPの採用第1弾が、低くて軽く俊敏なコンパクトカーではなく、背の高いコンパクトクロスオーバーだったのは残念な気もする。とはいえ、この手のクルマの人気がいかに高いかを考えれば、驚くには当たらない。ただ、これが普通の車高のハッチバックだったなら、このプラットフォームのハンドリングの実力を存分に試すことができたはずだ。

DS 3クロスバックの走りは当たり障りないが、これほど人目を引き賛否が渦巻くルックスに比べたら、驚くほど記憶に残らないものだ。ミニ・クロスオーバーやアウディQ2といったライバルたちはダイナミックさに富むことを売り物にしているが、それに比べてこのDSはプレーンで、味気ない印象。それはまるでPSAが、いまだDSをシトロエンに次ぐコンフォート志向とプジョー以上のシャープさとダイナミックさを併せ持つブランドにしようと目論んでいるかのようだ。

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速度域の高いカントリーロードでみせるロードホールディングは素晴らしい。しかし、それはかなり柔らかいスプリングアシスト機能によるもので、アジリティやフィールはやや不足気味だ。コーナリング中にトラクション不足を憂慮することはないが、ソフトなスプリングレートは思うより大きなロールやスローなステアリングレスポンスを招く。ロック・トゥ・ロック2.75回転の設定もあり、ステアリングはそこそこクイックなだけで、接地面から手元に伝わるインフォメーションはほぼ皆無なので、機能的には問題ないが、運転に夢中にさせてくれる要素を見いだすのは難しい。

もちろん、多くのドライバーにとって、B級道路での走りがどうなのかは知りたいところだろうが、それ以上に重要なのは、狭く混み合った市街地での操縦性や立体駐車場での取り回しが楽にできるのかという点ではないだろうか。その場合は、軽いステアリングが有利に働く。しかし、リアウインドウが小さいので、狭いパーキングでは苦労させられそうだ。

快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆

残念なことに、DS 3クロスバックのソフトなスプリングがもたらすセカンダリーライドは、目を見張るようなものではない。平坦でないクロスカントリーロードのストレッチはボディの動きを活発にし、ダンピングは伸び側も縮み側もそれほど洗練されていない。このクラスでとりわけ快適なクルマを教えてくれといわれても、このクルマの名前を挙げることはないだろう。それは、運動性における大きな欠点だ。完璧な舗装でもなければ、ボディの挙動には落ち着きのなさがはっきり感じ取れ、それに路面からのよりシャープな入力をいなせないセカンダリーライドが伴う。

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どんなスピードであろうが、道路のジョイントやマンホール、断続的な隆起などでは、うるさく鋭い突き上げ音がキャビンに響く。サスペンションショックの減衰もホイールのコントロールも不足している。アクスルは、上り坂を超える際に定位置から落ち、そこから突如、時には音を立てて、ホイールアーチ内へ戻るのだ。おそらく、ホイールがもっと小さければこれほどではないのだろうが、18インチ仕様のテスト車ではプレミアムなコンパクトSUVにふさわしくないと感じられる乗り心地で、市街地の速度域でもそれは改善されない。

ドライビングポジションは、数年前に出たDSのモデルよりはよくなっている。ただしテスター陣の中には、ステアリングコラムのテレスコピック量がもう少し欲しいという意見もあった。キャビンの静粛性に関しては、2016年にテストしたアウディQ2よりロードノイズも風切り音も抑えている。113km/h巡航時に計測した騒音は68dBで、アウディは73dBだった。

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

DSオートモビルズは、ブランド認知度や全体的な洗練度、質感などでアウディに近いものを望んだだろうが、それは叶わなかった。そうした狙いが価格設定に反映されてもあまり不満はないのだが、試乗してみて唯一プレミアムと呼ぶに値する走りだと思えた高出力版ガソリンユニット搭載車は、ミニ・クロスオーバーやアウディQ2と大して変わらない価格だ。テスト車の本体価格は2万9455ポンド(約442万円)で、150psの1.5ℓTFSIを積むQ2のSライン仕様よりわずかに低いにすぎない。

ただし、3年・5万8000km後の残価予想も、アウディの48%に迫る45%とそう悪くない。これらを上回るのが、ミニ・クロスオーバーのクーパー・スポーツだ。

CO2排出量は低いが、17.2km/ℓというツーリング燃費はまあまあといったところ。たとえば、今年の早い段階でテストしたフォードフォーカスSTラインXは、より大きく重い上に1.5ℓの3気筒ガソリンターボを積んで、15.5 km/ℓだったことを考えると、背が高くても小さいこのクルマなら、もっといい数字を期待するところだ。

価値の推移

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DSのブランド力は比較的低いが、それも残価予想においてDS 3クロスバックがミニとアウディの間に割って入るのを妨げるものではない。

スペック

レイアウト

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DS 3クロスバックは、PSAグループが新開発したCMPことコモンモジュラープラットフォームを採用する最初のモデルだが、スモールカーのスタンダードに照らせば、技術的に見てそれほど先進的ではない。エンジンはフロント横置きで、前輪を駆動し、サスペンションは四輪独立懸架だ。ただし、このプラットフォームはEVにも転用できる万能性を持たせた設計となっている。

エンジン

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列3気筒1199ccターボガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ75.0×90.5mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:155ps/5500rpm
最大トルク:24.5kg-m/1750rpm
許容回転数:6250rpm
馬力荷重比:129ps/トン
トルク荷重比:20.3kg-m/トン
エンジン比出力:130ps/トン

シャシー/ボディ

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構造:スティールモノコック
車両重量:1205kg(公称値)
抗力係数:未計測
ホイール前/後:7.5Jx18
タイヤ前/後:215/55R18 99V
ミシュラン・プライマシー4
スペアタイヤ:スペースセーバー

変速機

形式:8速トルクコンバーターAT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
①4.60/6.9②2.68/11.9③1.77/18.2
④1.33/24.1⑤1.12/28.6⑥0.90/35.7
⑦0.73/43.9⑧0.61/52.6
最終減速比:4.07:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:14.4km/ℓ
ツーリング:17.2km/ℓ
動力性能計測時:9.5km/ℓ

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):11.9~12.8km/ℓ
中速(郊外):15.3~16.7km/ℓ
高速(高速道路):17.2~19.6km/ℓ
超高速:13.9~16.0km/ℓ
混合:14.8~16.5km/ℓ

燃料タンク容量:44ℓ
現実的な航続距離:632km
CO2排出量:114~121g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラットコイルスプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動油圧、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.75回転
最小回転直径:10.8m

ブレーキ

前:303mm通気冷却式ディスク
後:249mmディスク

静粛性

アイドリング:40dB
最高回転時:76dB(4速)
48km/h走行時:60dB
80km/h走行時:63dB
113km/h走行時:68dB

安全装備

ABS/ESP/LKA/制限速度認識機能
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

実測車速mph(km/h)
30(48) 3.3
40(64) 4.8
50(80) 6.7
60(97) 8.8
70(113 11.6
80(129 15.0
90(145 19.1
100(161) 24.6
110(177) 32.3
120(193)
130(209
140(225)
150(241)
160(257)

中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h) 2速 3速 4速 5速 6速 7速 8速
20-40(32-64) 2.9 4.2
30-50(48-80) 3.9 5.0 6.5
40-60(64-97) 4.4 5.2 6.1 7.4
50-70(80-113 5.4 5.6 6.4 7.9 10.2 14.9
60-80(97-129) 6.5 6.9 8.7 11.1 14.9
70-90(113-145 7.7 8.0 9.6 12.6 17.3
80-100(129-161) 9.9 11.1 14.9
90-110(145-177) 13.2
100-120(161-193)
110-130(177-209
120-140(193-225)
130-150(209-241)
140-160(193-257)

各ギアの最高速

1速 43km/h 6250rpm
2速 76km/h 6250rpm
3速 113km/h 6250rpm
4速 151km/h 6250rpm
5速 179km/h 6250rpm
6速 208km/h 5817rpm
7速 208km/h 4719rpm
8速(公称値) 208km/h 3943rpm
8速・113km/h/129km/h:2140rpm/2445rpm

結論 ★★★★★★☆☆☆☆

「デザインはスマッシュヒットとはいえず、質感や走りの洗練性は足りない」
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DSオートモビルズがデザインで何を表現するかという試みとしては、この3クロスバックは以前に登場した7クロスバックより、恐らくはDSブランドが重視しているアヴァンギャルド精神に沿ったものとなっている。これが特別に魅力的だと評したテスターは少ないが、その内外装とも大胆なデザインは賛否含めてかなりの注目を集めそうで、成功が見込めるといっていい。

このフランスのブランドはよりよいデザインをいくつかの点で見つけたように思えるが、いっぽうでこのクルマにはその全体的な魅力を削ぐような欠点もある。際立つもののないハンドリングやムラのある乗り心地は顕著なマイナス点で、インテリアは最近のコンパクトクロスオーバーに比べれば広さや便利さが不足気味だ。また3気筒エンジンは称賛すべきパフォーマンスや洗練と経済性を発揮するものの、その風変わりなイメージに惹かれるひとびとの気を削ぐほど価格は高い。

全般的に見て、このクルマには興味をそそられるが、それは表面的なレベルにとどまり、デザインの魅力を後押しするような高級感や走りの洗練性、日常使いでの利便性といった点では、このクラスのライバルたちに太刀打ちできない。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィス

ディスプレイの下に配置されたダイヤ型のボタンは、イライラするくらい手触りにムラがある。強く押しても反応しないものがあるかと思えば、間違えて触れてしまっても作動するものもある。というのも、実際にはスイッチとセンサーが混在しているからだ。

マット・ソーンダース

初代DS 3は見栄えのいいクルマだった。このクルマは、価格とポジションに見合った魅力があらゆる面で必要だ。もしそうなら、たいていのことは多めに見られるだろう。しかし、このルックスの独創性は認めるが、それで買いたいと思えるものではない。

オプション追加のアドバイス

5グレード構成で、中間グレードのパフォーマンスラインとプレステージなら標準装備に満足でき、フルオプション化も可能になる。

改善してほしいポイント

・エクステリアの見直しを。停めているときに周囲の目を引くような魅力に欠ける。
キャビンのエルゴノミクスを合理的に。まず手をつけるべきは、ルーバーしか動かせない上に閉じることのできない送風口だろう。
・かつてのDS 3ハッチバックが備えていた、ハンドリングの元気さを思い出してもらいたい。


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ロードテスト DS 3クロスバック ★★★★★★☆☆☆☆