傷や火傷の応急手当について知りたいという相談が寄せられました。今までの方法で合っているのか、絆創膏を貼ると治りが遅くなるのか、といった質問に対し、専門家は何と答えているでしょうか。



4歳児のママからの相談:「大きめの傷と火傷した場合について」


4歳の子どもがいます。自宅の駐車場がアスファルトですので、転ぶとなかなかの大きな傷を作ってしまいます。自宅でできる応急処置はどのようにするのが正しいでしょうか。今までは出血した所をよく拭き取り、お風呂場のシャワーで洗い流した後に絆創膏を貼って終わりでした。絆創膏を貼ると治りが遅くなると聞きますが本当でしょうか。また、子どもが最近お料理作りに興味を持ち出しているので、万が一、火傷してしまった際の応急処置も教えていただきたいです。(30代・女性)




傷を乾燥させない方法がおすすめ

転んだ時などの傷には、傷を洗って保護剤で覆い、乾燥させずに治癒させる「モイストヒーリング」という方法が勧められています。




『傷の応急処置は今までされてきた方法で良いと思います。流水で洗い流し、保護剤で被ってあげてください。傷を早く治すには、傷口を乾燥させないことが大切です。一時的であれば傷口をラップで被い乾燥を防いでおき、絆創膏ではなく被覆材で覆うと早く治ると思います。(助産師・保健師)』





『軽度の擦り傷や、切り傷の手当てには、モイストヒーリング(湿潤療法)と呼ばれる方法をお勧めします。傷口を流水できれいに洗い、ワセリンを塗った絆創膏やガーゼで覆い、傷口を乾燥させずに治癒を目指します。(保育園看護師)』





『薬局などには、モイストヒーリング用の被覆材も販売されています。以前は傷口を乾燥させる処置が主流だったこともありますが、湿潤療法のほうが、傷口が早くきれいに治ると言われています。また、処置の際に痛みが少ないことも利点の一つです。(保育園看護師)』




火傷はとにかくすぐに流水で冷やす

火傷の応急処置は、流水ですぐに冷やすことだとアドバイスがありました。命にかかわることもあるため、必要に応じて受診することも勧められています。




『火傷の応急処置は、まずは患部を流水ですぐに冷やすことが大切です。衣服は無理に脱がさずに、服の上から冷やすようにしましょう。子どもの皮膚は薄く、火傷が深くなりやすいので注意が必要です。応急処置の後は病院を受診すると安心です。また、全身の10%以上の火傷は命にかかわります。範囲が広い場合や、火傷が深い場合は救急車を呼びましょう。(保育園看護師)』





『火傷の応急処置はすぐに流水で冷やすことです。桶などに溜めた水ではなく、患部に水道から出る水を直接当てて冷やしてください。もし、皮が剥けるなどして直接当てるのが痛い場合は服の上からでも構いません。その場合はすぐに受診してくださいね。お料理を始めた頃は、包丁やピーラーによる切り傷もしやすいです。十分注意して見てあげてください。(助産師・保健師)』




傷は洗って保護剤で被い、乾燥させずに治す「モイストヒーリング」という方法が勧められています。保護剤として、ワセリンを塗った絆創膏やガーゼ、一時的であればラップも使用できるようです。火傷の応急処置は、流水ですぐに冷やすことが重要だとアドバイスがありました。火傷の範囲や深さによっては命にかかわることもあり、必要に応じて受診や救急車の要請も念頭に置くとよいようです。



監修者:座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師・タッチケアトレーナー。病院産婦人科での勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・育児相談、産後ケアや赤ちゃんタッチをはじめ妊娠・育児講座などに定評があり、精力的に活動中。
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