子どもは、泣きたいときに泣いて、笑いたいときに笑う。
正しいか、正しくないかで生きていない。やりたいか、やりたくないか。楽しいか、楽しくないかに素直に生きているのが子どもだろう。

しかし、大人になるにつれ、他人の目が気になりだし、場の空気も読んで行動するようになる。そして、子どもの「遊び心」を忘れていってしまう。
人生をもっと楽しむには、この大人になると忘れてしまう「遊び心」が重要なのではないか。

『できないもん勝ちの法則』(ひすいこうたろう著、扶桑社刊)は、作家のひすいこうたろう氏の息子コータロー君が幼稚園の頃から高校2年生になるまでに、実際にあったやりとりをまとめた一冊だ。

本書は「僕らはみんな子ども出身。思い出せ、子どもの自分」というテーマを掲げている。
しかし、普段の生活の中で子どもの自分を出すのは難しい。例えば、子どもの頃は玄関を開けたらすぐにカバンを置いて走って公園に遊びに行ったが、大人は理由もなしにむやみに走れない

何もかもが子どもに帰ろうというのは無理がある。
だが、子どもの頃のことを忘れないという意味で大切なのが「楽しむ気持ち」だ。

世の中には2種類の人がいる、と本書。
自分がやる行動に対して未来はどうなるか、周りからはどう見えるか、いろいろな角度から判断して、その上で決断するタイプ。もうひとつは、後先考えず、自分の今の気持ちや直感に素直に従うタイプだ。

社会の中では前者が「できる人」、後者が「できない人」とレッテルを貼られがちだが、今だからこそ大事なのが後者のタイプではないだろうか。このタイプの人は、他人からの評価ではなく、自分の「いいね」で生きていける強さがある。

自分自身の軸で生き、自分の人生に納得する。確かにそんな生き方には憧れるが、それができる人は自分の今の気持ちや直感に素直に従う人なのだろう。

本書でのひすい氏とコータロー君のやりとりを読んでいると、「遊び心」がいかに人生を豊かにするかがわかる。大人になっていつの間にか忘れていたことを思い出させてくれる一冊だ。

(新刊JP編集部)

『できないもん勝ちの法則』(扶桑社刊)