Rainer Maiores Pixabay_e

Rainer_Maiores/pexels

 自然妊娠に恵まれない夫婦にとって、不妊治療は心身の葛藤を伴う辛いものだ。しかし、その治療で赤ちゃんを授かることができた時の喜びは、とても大きい。

 アメリカに住む1組のアジア人夫婦が、ある不妊治療クリニックで体外受精(IVF)による妊娠を試みたところ、2回目で双子を妊娠した。

 しかし、生まれてきた双子は人種が異なっていた。DNA検査の結果、双子は夫婦とは無関係で、同クリニックで治療を受けていた別の夫婦の遺伝子を持っていることがわかったのだ。

 夫妻は、クリニックの医療過誤を非難。心身ともに苦痛を与えられたとして現在訴訟を起こしている。

―あわせて読みたい―

男性不妊?スマホを使って自宅でチェック。たった5秒で精液の質を調べることができる分析器が開発される(米研究)
大手IT企業が福利厚生の一環として資金援助を行っている「卵子凍結保存」の今
不妊と関連するかもしれない、まったく新しい構造の精子が発見される(米研究)
交通事故で亡くなった息子から精子を採取し、人工授精で孫を誕生させたイギリスの富豪家
不妊治療に自分の精子を使って受精させていた80歳の医師が免許剥奪。その数50~100人(カナダ)

不妊治療クリニック、体外受精(IVF)治療で医療ミスか

 ニューヨーク在住のアジア人夫婦は、自然妊娠に問題があることがわかり、不妊治療クリニック「CHA Fertility(ファーティリティー)」を利用し、体外受精による妊娠を試みた。

Karin Henseler Pixabay_e

sciencefreak/pixabay

 同クリニックは、去年の初めにこの夫婦から精子と卵子を集め、正倍数体の胚を5個形成した。そのうち4個は性別が女性だった。

 最初の受精は失敗に終わったが、去年9月に双子を妊娠していることがわかり、夫婦は喜びに沸いた。ところが、超音波検査でこの双子の性別が男であることが判明した。

 5個の胚のうち、男性だったのは1個のみと医師から告げられていたため、困惑した夫婦はクリニックの経営者の1人に連絡した。

 するとその共同経営者は「自分の妻も妊娠時に男の子だと告げられていたが、出産したら女の子だった」と伝え、超音波検査は不正確だったとして、そのまま治療を続行した。

Zaid Abu Taha Pexels_e

Zaid Abu Taha/pexels

人種が異なる双子の男児が誕生


 今年3月、治療をうけていた女性は出産。しかし、超音波検査通り双子はどちらも男の子だった。それだけではなく、夫婦ともにアジア人であるにも関わらず、人種が異なっていたのである。

 自分たちの遺伝子素材を使って生まれたはずの子供が、性別も人種も違って生まれてきたことに夫婦は大きなショックを受けた。

 その後のDNA検査では、双子の赤ちゃんはこの夫婦と全く無関係で、同じクリニックを利用していた別のカップルと関係があることがわかり、夫婦は赤ちゃんの親権を放棄した。

Darko Stojanovic Pixabay_e

DarkoStojanovic/pixabay

アジア人夫婦、クリニックを相手に訴訟を起こす


 その後夫婦は、医療過誤と心身ともに多大な影響を与えられたことを理由に、CHA Fertilityを提訴した。

 米連邦地方裁判所に提起された訴訟内容によると、夫婦はクリニックの施設使用料や医師への支払い、専門家のサービス受託料、薬代、研究費用、交通費などを含む不妊治療代に、10万ドル(約1,080万円)以上を費やしたそうだ。

 また、夫婦は自分たちから収集された2つの胚がどうなったのかも知らされていないという。これまでのところ、同クリニックはメディアのコメントには答えていない。

References:Oddity Centralなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52277014.html
 

こちらもオススメ!

―人類についての記事―

もしも世界の終焉が近づいているのなら、どこが一番安全なのか?絶対に生き残りたい人が行くべき世界14の避難場所
フェイクニュースの見分け方を学ぶカリキュラムが、小・中学校の子供たちを対象に2020年から導入予定(イギリス)
我が子がADHDと診断され、自分もADHDであることがわかった母親(オーストラリア)
「シベリアのモルディブ」と称されるほど美しい青緑色の湖の正体は危険な廃棄物によるものだった(ロシア)
子供にきちんとした教育をうけさせたい。雨季の間、子供たちをビニール袋に入れて急流の川を渡る親たち(ベトナム)

―知るの紹介記事―

もしも世界の終焉が近づいているのなら、どこが一番安全なのか?絶対に生き残りたい人が行くべき世界14の避難場所
保護施設の猫たちにキャットフードを寄付すると、警察から駐車券がもらえるプログラムが実施される(アメリカ)
フェイクニュースの見分け方を学ぶカリキュラムが、小・中学校の子供たちを対象に2020年から導入予定(イギリス)
我が子がADHDと診断され、自分もADHDであることがわかった母親(オーストラリア)
地下室にある12の物のうち、最初に注目した物であなたに潜んでいる悩みや思いをあぶりだす心理テスト
体外受精を試みた夫婦、別の夫婦の遺伝子を持つ双子を出産。不妊治療クリニックを提訴(アメリカ)