子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

【画像】現役教師に聞いた「学校がブラック職場である10の理由」

 本記事は、公立校の中学教員になった筆者の学生時代の友人に「1人の一般教員として感じている“職場としての学校の問題点”」を匿名で語ってもらう連載企画となります。

●教員の世界では「休憩ほぼナシ、残業時間125時間」が普通

―― 「学校教員はブラック」という話はよく聞くけど、実際は?

 何年前だったかな、「過労死ライン(時間外労働80時間)」が話題になったとき、自分はどれくらい働いているのかな、って調べたことがあるんだよね。

 125時間だったよ。オーバーキル(笑)

―― 忙しい時期だったの? 運動会シーズンとか

 いや、普通の時期。忙しいときは、もっと延びる。

 服務規程の勤務時間は8時15分~16時45分なんだけど、若手で独身の先生って、朝6時半くらいには学校に来てたりする。7時半に部活の朝練が始まるんだけど、教員がいないときにケガとかのトラブルがあると問題になる。見てないといけない。だから、朝のうちに自分の仕事を片付けるためには、もっと早く学校に来る必要があるわけ。

 放課後も、部活やら翌日の授業の準備やらで3時間くらい残ったりする。合計すると1日約5時間の時間外労働だね。これが月曜日から金曜日まで続くと、1週間で25時間。1カ月で100時間。さらに土日は土日で、部活がある。教員の世界では、125時間は別に大げさな数字じゃないと思うよ。

 もう1つ言うと、「服務規程に書かれてる勤務時間」には休憩も含まれてるんだけど、昼休みが1時間もらえるわけじゃない。「先生、○○君がスープをこぼして火傷しました!」「あと30分は休憩時間だから、待ってて」みたいなことはできないでしょ。

 強いて言えば、生徒が昼休みのあいだは俺たちも昼休みなんだけど、「ケンカしていた生徒の話を聞こう」とか「午後の授業の準備をしよう」とかやることがある。結局のところ、ほとんど休憩できない。トイレの個室にいる5分間くらいは休めるかなあ、って感じ。

●残業100時間以上でも、もらえるお金は1~2万円

―― 残業代出たら、すごい金額になりそう。

 そうね。でも、教員は給特法(※)で「4%分給料を増やす代わりに残業代ナシ」ということになってる。若手の給料は20~25万円だから、1~2万円くらいプラスされるだけ。

 ブラックでしょ(笑)

※給特法:「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称

―― ……正直、働く側としては割に合ってないよね。

 でも、普通に残業代を払うと、財政が大変なことになっちゃう。学校は、1人の教員が2~3人分の仕事をすることで何とか成り立ってると思う。「子どもが好きだから」って気持ちだけでやっていける職場ではないよ。もはや忍耐力の問題。

 教員なりたてのころ、部活が終わって18時半に帰ろうとしたら、先輩教員から引き止められたことがあってさ。「周りを見て。他の先生、皆残ってるでしょ。1年目の君がもう帰るの?」って真顔で言われて。

 この世界だと、こういう感覚が当たり前なんだよ。他校の教員にグチってみても「うちの学校も同じです」って言われるだけ。

―― 教員として働く人たちは、長時間労働に納得してるの?

 今でも2~3割の教員は「長時間労働は美徳」「遅くまで残っている人ほど仕事ができる」と本気で思っているかもしれないけど、ここ5年くらいでずいぶん変わってきたよ。管理職も「早く帰りましょう」と言うようになった。「だったら、残業しなくていい仕事量にしてよ」って思うけどさ。

 世間には「公務員のくせに甘えるな」って言う人もいるけど、「甘い仕事だと思うなら、あなたが教員をやればいい。俺の代わりに毎日朝6時半に学校に来てくれ」って言い返したい。きっと教員の労働環境を知らないんだろうな、って思ってる。俺は大学出てすぐ教員になったから民間のことはよく知らないんだけど、周囲の話を聞く限り、こんなに時間外労働してる人いないんだよね。

―― 民間でもゼロではないんだろうけど、残業規制が進んでるって聞くからなあ……。

(続く)

※本企画は、1人の現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境は自治体、学校などによって異なる可能性があります。

「教員の世界では、(時間外労働)125時間は別に大げさな数字じゃない」。