日本のシステム開発は、オフショアへの委託で成り立つ部分があります。これまで長い間、オフショアの委託先の主流であり、同時に日本のSEの海外出張先でもあったのは中国、インドでした。しかし、そうした状況も変わってきているようです。

オフショア開発とは

オフショア開発とは、システム開発の業務を海外の事業者や海外に設立した子会社(現地法人)に委託することを意味します。日本に「オフショア開発」が定着しておよそ30年になりますが、アメリカにおける2000年問題対応へのインドへのオフショア開発の成功事例もあり、近年、日本でも以前より多く取り入れられるようになりました。

当時からアメリカではインド技術者が数多く働いており、インドへの委託にも抵抗がなかったのでしょう。日本はアメリカほどにはインドになじみがなかったためか、かなり早い時期から委託先国として中国があがりました。中国が選ばれたのは地理的に近いことと、漢字を使う国なので多少はコミュニケーションがとりやすそうだという印象が大きかったようです。

その後の中国の経済発展に伴う賃金上昇やチャイナリスクなどを機に、中国・インドの2強からベトナムフィリピン、タイ、インドネシアなどへと委託先国は広がっています。最近では、ミャンマーモンゴルクロアチアなどがオフショアの新興国といわれています。

知られざるIT大国

旧ソ連諸国とその影響下にあったウクライナベラルーシルーマニアなどの東欧圏には優秀なIT人材が豊富といわれています。「2018年グローバルアウトソーシング企業100社」(国際アウトソーシング専門家協会、略称:IAOP)には、実に13社もの企業がウクライナから選出されています。また、ウクライナには100社以上のグローバルカンパニーの研究開発機関が置かれていますが、これは環境や人材調達などの点で、ほかの地域と比較しても優位性があるからといえるでしょう。東欧に優秀な人材が多いのは旧ソ連時代に理数教育が重視されていたことが背景にあり、いまでも工学系の人気は高く、優秀なエンジニアが育つ土壌ができています。また、理数系の専門職における女性の割合が高いことでも知られています。リトアニアブルガリアラトビアでは、科学者や技術者の半数以上が女性だそうです。残念ながら女性エンジニアが圧倒的に少数である日本とは、大きく環境も異なりますね。

新しいパートナーにはリスクも

オフショア開発の目的は、人件費が安く、労働力が豊富な地域の人材を活用することで生まれるコストメリットです。その一方で、言語や商習慣などの違いから生じる問題や現地雇用者の技術力不足など、マネジメントや品質管理の難しさがリスクとなります。オフショア開発の発注者にはノウハウが必要であり、受注側との間で認識やルールを共有し、理解してもらわなければなりません。オフショア開発を通じて、東欧のようになじみが薄かった地域の技術力や人材を発見し、新しい関係を構築できるのはよいことですが、オフショアでの開発体制立ち上げには労力も時間もかかります。経済格差を背景にしたコストメリットは、受注側の地域の経済の発展とともに縮小していきます。コストメリットのために、委託先を転々とすることには疑問を感じます。

最近では、特定の地域に委託先を固定する「オフショア開発」から、国境にとらわれず、世界各地から最適な外注先を選定する「グローバルソーシング」にシフトする動きもあります。よりよい製品、サービスの品質を担保するためには、コストだけを重視する単眼的な視点から、複合的に評価する広い視野への転換が求められています。

中国、インドはもう古い?次世代のオフショア開発は東欧か