仕事をしていてストレスを感じることはよくあることだ。筆者が実施しているビジネススキル開発プログラムの参加者に聞いてみると、メールに関してストレスを感じると答える人が多い。

メール一通がストレスの要因に

photo via Pexels

 たとえば、「メールを出しても返信がこない」ことにストレスを感じる人に聞いてみると、相手がメールを読んでいるのか読んでいないのか、そもそもメールは受信されたのかどうか、忙しいから返信してこないのかメール内容に問題があって返信してこないのか、メール内容に賛成だから返信してこないのか反対だからなのか……。あれこれ考えさせられること自体がストレスの元凶だという。

 メールを返信してこない人には何か事情があるのだろうが、それがメールの送信者に伝わっていないことで、メール送信者にストレスを与えてしまっているのだ。

 ストレスを与えてしまう人のことを「ストレッサー」という。ストレッサーは相手から疎まれる。気づかぬうちにストレッサーになってしまわないように、メールの取り扱いにも留意が必要だ。

◆受信者・送信者のないメールが急増
 また、なかにはメール本文に「宛先の記載がない」「差し出し人の記載がない」ことにストレスを感じるという人もいる。メール本文の冒頭に多くの場合、「〇〇会社〇〇さま」という記載があるが、それがないというのだ。

 受信者・送信者のメールアドレスが記載されている欄を見にいって、これは自分とほかの誰に出されたメールだとか、自分はCCに入っていてほかの人が宛先になっているのだというアクションをしなければならないことに負荷を感じるという。

 なかには、「〇〇会社〇〇さま(CC:△△さま)」とCCの宛先まで丁寧に本文に記載しているメールもある。たしかに、受信者欄、送信者欄を見にいくという手数をかける必要がない。

 送信者のメールアドレスが本文に記載されていないメールは、少しやっかいだ。送信者欄のメールアドレスを見に行って、××会社の××さんだなとすぐに見当がつく場合もあれば、すぐに見当がつかないメールアドレスの場合もある。アドレス帳や名刺情報を検索しなければならないことにもなりかねない。

 SNSの影響か、受信者・送信者の記載のないメールが増えているが、これは記載するということを心がけていくことで、ストレッサーからか脱却しやすい。しかし、メールの内容がストレスの元凶になってしまっている場合は、スキルの発揮が必要になる。

メールにBIGPRを記載することで解決
 メールの内容が問題になるケースは、その内容が省略され過ぎていて、相手によくわからないという印象を与えてしまうケースが最も多い。内容が省略されているケースは、たいていその内容がきついという印象を相手に与えてしまう。

 また、メール内容が省略されているケースのなかには、メールの送信者が承知していることが、相手に伝えられていないというパターンが結構ある。

 たとえば、会議は10時から開催される通知をすでに出していたが、その後、13時からに変更になっていたというケースだ。13時からの変更連絡ができている人もいたが、まだだった人もいる状態。しかし、送信者は時間変更の連絡をしたつもりになっていて、13時からの会議の準備事項について案内メールを出した。案の定、メール受信者からは、会議は10時からだったのではないかという問い合わせが殺到し、準備事項の案内どころではなかったという。

 メールを発信した本人は時間変更を連絡したつもりになっていたが実際はされておらず、メール受信者にストレスを与えてしまったという例だ。ここまで極端なケースはさほど多くはないが、実は言葉足らずによって、相手にストレスを与えてしまうケースはとても多い。

 発信したメールに対して、質問を受けてしまった経験がある人は、メールにもBIGPRを盛り込むことを心がけたらよい。発信したメールに対して質問を受けてしまった経験のある人は、「そんなことをメールあらためて記載すると、相手にくどいと思われはしないか」「きっと、相手はわかっているだろう」というように思う人が多い。

 だが、「相手はわかっているのではないか?」と逡巡したら逆にメールに記載する、自分が思っている以上に少し丁寧にメールに記載するということを心がけると自分が出したメールに対する問い合わせが減るということがわかっている。

メールの好感度を上げる構成とは
質問:メールの内容がきつすぎると言われる

 メールの内容がきつすぎると言われます。自分ではそのようなつもりはなく、教えられたとおり、ビジネス文書なので要件を簡潔に、それも結論から先に書いているのですが、どこがいけないのでしょうか。

(事例)
「○○さま、たいへんお世話になります。お問い合わせの件、添付のとおり回答いたします。よろしくお願い申し上げます。○○会社△△」

回答:メールでBIGPRを伝える

 メールの内容がきつすぎる、硬いなどと思われている場合は、BIGPRの何かが欠けている場合が多いのです。以下の事例のようにBIGPRでメールを作成すると、内容自体もわかりやすくなりますし、メールの好感度が高まります。

(事例)
「○○さま、 たいへんお世話になります。○○会社の山口です(自己紹介)。先日は、お伺いさせていただき、ありがとうございました背景)。前回のミーティングでお問い合わせいただいた内容ですが、添付のとおり回答させていただきます(目的)。

 ご一読いただき(所要時間)、さらに気になる点などがあれば、ご一報いただければ幸いです(相手に期待する役割)。引き続きよろしくお願い申し上げます。○○会社 山口」

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第146回】

【山口博】
やまぐちひろし
グロバルトレーニントレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

photo via Pexels