ロシア製顔写真編集アプリFaceAppフェイスアップ)」を使った“老け顔”は、写真を未来の姿に加工できるとあって人気を集めているが、中国で無料通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を展開する大手IT・ネットサービス会社「テンセント(騰訊)」も、同アプリと同じような機能を持った「AI(人工知能)技術」を開発している。このほど中国で、3歳で誘拐された男性が実の両親と18年ぶりに涙の再会を果たしたが、事件解決の糸口となったのはテンセントのAI技術だった。

今月18日、3歳で誘拐され18年もの間行方不明だったユー・ウェイフォンさん(Yu Weifeng、21)が実の両親と再会を果たした。広東省深セン市福田区の警察がテンセントと協力し、誘拐当時の写真から18年後の顔を作成し、膨大なデータベースと照合させた。AIが探し出した100人の候補者はその後1人に絞り込まれ、DNA鑑定により父親ユー・シンチュアンさん(Yu Xingquan)と母親ロン・ムーファンさん(Rong Muhuan)の実の子供であることが確認された。AIを駆使した作業には2か月が費やされたという。

ウェイフォンさんは2001年5月6日、シンチュアンさんが作業長として働いていた福田区の建設現場の近くで遊んでいたところを誘拐された。ウェイフォンさんの実の両親は18年間、チラシや写真を配りながら近隣都市をくまなく捜し、情報提供者には10万元(約157万円)の報酬まで用意していたが、息子を捜し出すことはできなかった。捜査にあたったチャン・ヂェンハイ氏(Zheng Zhenhai)はこの事件について、次のように述べている。

「すぐに捜査を開始しましたが、当時のテクノロジーでは限界がありました。監視カメラの映像も全てチェックしましたが、人の出入りが多すぎて捜査に進展はなかったのです。しかし私たちは決して諦めることはありませんでした。テンセントのAIテクノロジーを駆使することで、18年後のウェイフォンさんの顔写真を作成することが可能になり、捜査は急展開を迎えました。ウェイフォンさんを18年間育てた養父母は、彼にリーという名前を付けていました。」

ウェイフォンさんは広東省広州市在住の学生ですが、自分が誘拐されたという事実を信じようとはしなかったのです。しかしDNA鑑定が決定的な証拠となりました。」

シンチュアンさんはウェイフォンさんと感動の再会を果たした席で、養父母に「18年間息子を育ててくれて感謝しています。これから息子には2人の父親が、私には兄弟ができるのです」と語っていたものの、養父母がどのような経緯でウェイフォンさんを育てることになったのかは明らかにされていない。福田区警察は2001年の誘拐事件に養父母が関わっていたのか、組織的な誘拐だったのかなどについて引き続き調査を進めているが、今のところ逮捕者は出ていないという。

ある日突然、我が子と引き離されてしまう親の悲しみは想像を絶するものがある。中国で毎年誘拐される子供の数は7万人、行方不明になる子供は20万人とも言われ社会問題化している。中国には大規模な犯罪組織が存在し、誘拐された子供たちは受け取れる年金や医療保険が少ない農村部に売られていくことが多いという。また労働の担い手や跡継ぎとなる男児は女児よりも重宝され、100万円以上で売買されるようだ。

ちなみに2017年には、23年間行方不明の娘を捜すためタクシー運転手になった中国の父親が話題になった。彼が手にしていたのは3歳当時の娘の写真だった。AI技術が行方不明者の捜索に使用されるケースは、今後さらに増えていくだろう。

画像は『Metro 2019年7月20日付「Missing child found 18 years after being kidnapped」(Picture: AsiaWire)』『Daily Star 2019年7月19日付「‘FaceApp AI’ technology helps reunite man kidnapped as a baby with his family」(Pic: Asia Wire)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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