同じ間取り、同じ内装材を使って家を建てようとしても、住宅地に建てるより商業地に建てる方がコストがかかるのをご存知でしょうか?

商業地は、都市の中心部で商業施設などが立ち並び、人通りや交通量が多い市街地などの建物が密集している地域。
万が一、火災が起これば大惨事になりかねません。

そのため行政は「防火地域」「準防火地域」に指定し、建てられる住宅の耐火基準を決めていて、このことがコスト高になることに影響しています。

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1.規制の厳しい防火地域とは?

防火地域は、火災の危険を防ぐため、都市計画法や建築基準法などの法律によって建築制限が設けられています。

防火地域に指定されているエリアは、住宅が密集しているために、火災が起こると広範囲に被害が及ぶ可能性があります。

防火地域の周辺には「準防火地域」に指定されているエリアが広がっていることが多いです。

市街地

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1-1 商業地は「耐火建築物」を建てなくてはならない場合が多い

壁や柱、梁、床、屋根、階段といった主要構造部などが耐火性能を満たし、かつ延焼の恐れのある開口部に火災を遮る設備を有した建築物のことを「耐火建築物」と言います。

防火地域では、3階以上、もしくは延べ面積が100平米超の建物を建てる場合は耐火建築物にしなくてはいけません。

このことは、商業ビルだけでなく、一般の住宅でも守らなくてはいけません。

1-2 防火地域の建築費用は?

商業地の建物の構造は「鉄筋コンクリート造」がスタンダードでしょう。

防火地域に建っている建物の建築材料は「燃えにくい資材」である必要があるので、一般住宅で多く用いられている「木材」とは異なるものが多いです。

鉄やコンクリートなどを使用し、その資材は防火地域以外で用いられる住宅の資材に比べ割高になります。

2.木造住宅は商業地に建てられないの?費用は?

商業地に木造住宅を建ててはいけないという法律はありません。

その際、密集した商業地に2階建ての建物を建てて日陰にならない土地は限られていますので、建てようとする住宅は「3階以上または延べ床面積100平米以上」になるケースが大半でしょう。

そうすると耐火建築物の基準を満たさなくてはならず、建築費用はRC、SRCほどではないですが割高になります。

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2-1 木造を耐火建築物にした場合、コストはどのくらいアップする?

耐火建築物として認定してもらうためには、おもに

などを燃えにくい部材に変える必要があります。

木造の住宅を耐火建築物にした場合の費用は、エリアやハウスメーカーにより差がありますが、しない時と比べて1割から2割程度のコストアップになると考えておきましょう。

商業地に木造住宅を建てると住宅地で建てるよりも割高になるのは事実のようです。

2-2 「ツーバイフォー(2×4)工法」なら低コストで家を建てられる

耐火建築を低コストで建てられる工法として、近年取りあげられているのが「ツーバイフォー(2×4)工法」の木造住宅です。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造だけでなく、耐火建築物に認定を取れる仕様にした在来工法に比べても低コストに抑えられます。

低コストの理由は、2×4工法の構造の特性に由来します。

2×4工法は、もともとの構造が、床や壁の内部を一つ一つ区切っているために、火の燃え広がりを遅らせる「ファイヤーストップ構造」となっています。

また、天井や壁の内側全面に、熱分解を起こし、水蒸気を放出するために火災に強いと言われる石こうボードが貼りめぐらされています。

このことが耐火性能を強化しているために、耐火建築物として認定されやすいのです。

3.まとめ

マンション

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商業地のような防火地域でも木造で3階、延床面積100平米以上の住宅を建てることが可能だということがお分かりいただけたかと思います。

しかし、全般的にコストはかかるため、建築を計画するときに良く調べる必要があります。

ハウスメーカーも木造の耐火建築物に対するノウハウがある企業と、あまり得意でない企業がありますので、見極めることが大切です。

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