200人以上の報道陣が詰めかけた注目の記者会見だったが、吉本興業という企業が抱える根本的な問題を露呈して終わった。この日の会見は、宮迫博之(雨上がり決死隊)と田村亮(ロンドンブーツ1号2号)による20日の謝罪会見を受けて、世間の風向きが変わったことを察知した吉本興業が企業イメージの失墜を防ごうとしたと思われるが、その目論見は大きく外れたと言っていいだろう。

 弁護士で法務本部長の小林良太氏による経過説明に続いて登場した岡本昭彦社長は、冒頭こそ闇営業問題に関する反省と宮迫、田村亮への謝罪を口にしたものの、質疑が進むにつれて、場当たり的で一貫性のない対応が明らかになっていく。

 6月24日闇営業に関係した芸人全員が呼び出され、田村亮が「記者会見をしたい」と申し出た際の岡本社長から田村亮への「お前らテープ回してないやろな」、「(謝罪会見を)やってもええけど、ほんなら全員連帯責任でクビにするからな」という発言については、「冗談」であり「なごませよう」という意図で言ったと説明。「身内の感覚的なこと」であり「(圧力をかけたつもりは)まったくない」と弁解に終始した。宮迫、田村亮が処分撤回とされたことで、反社会的勢力との接触や吉本興業を通さずに直接仕事を請け負ったことの是非に対する判断は先送りとなった。

 また、田村亮に対する「在京5社、在阪5社のテレビ局は、吉本の株主だから、⼤丈夫」という発言については、小林氏より「吉本興業の顧問弁護士による発言であり、記者会見を開く際には、吉本興業の株式を保有する株主への配慮が必要」という意味であるとの説明がなされた。さらに、今回、会社側が一転して態度を軟化させた背景に、所属する大物タレントらの存在があったことを示唆。20日の謝罪会見以降、内外から高まる批判を受けてこの日の会見がセッティングされたことを印象付けた。

 宮迫、田村亮に対して、「非常につらい思いをさせて申し訳ない」、「コミュニケーションが不足していた」と語った岡本社長であったが、自らの責任問題について尋ねられると辞任を否定し、大崎洋会長とともに一年間50%の減俸処分を受けることを発表した。会見終盤で質問を残り3つに区切ってから、最後の1つで記者から「手が上がらなくなるまでお答えになるとおっしゃっていましたが」と指摘され、最後まで回答する姿勢を見せた。

 こうした岡本社長の対応に、ネット上では「言い訳が多すぎる」、「何が言いたいのか全然わからない」、「しょうもない吉本劇場」と不満の声が噴出。また、今さらすぎる社長の発言に対し、吉本興業の所属芸人も「悲しいわ。知り合いの芸人、先輩後輩同期、皆同じことを思ってる」(とろサーモン久保田かずのぶ)。「全員クビの件 和ませよう さすが社長!」(キートン)。「最初に『おまえらカメラ回してないやろな?』って言ってほしかった」(天竺鼠・川原克巳)など、独特の言い回しでそれぞれ失望感を表明した。

 目に涙を浮かべて真摯に反省しているかと思いきや、記者の追及をのらりくらりとかわす、お笑いトップの5時間30分に及ぶ会見を「笑ってはいけないシリーズ」(日本テレビ系)にちなんで「笑ってはいけない記者会見」と呼ぶ声も。岡本社長の隣で時折りマイクを向けられていたのが、同シリーズで進行役を務める藤原寛副社長だったこともあって、藤原副社長の危なげないフォローぶりも注目を集めていた。

 明らかパワハラ発言も「僕のダメなところ」、「情けないところ」と認め、「自分が変わるしかない」と真剣な表情で語る岡本社長。ここまで来ると本気で笑いを取りに行っているのではと思われるが・・・。吉本興業内部のコミュニケーション不足は想像以上に深刻なようだ。

吉本興業・岡本昭彦社長