子犬(RedThinkHead/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

犬や猫など動物が大好きな人々が経営、あるいは従事しているはずのブリーダー業。しかし中には、動物たちが単なる金儲けの手段、商品にしか見えない者もいるようだ。

 

■動物虐待防止協会の職員が見た光景

英国スコットランドのアバディーンシャーにある大規模ドッグファームから、むごたらしい動物虐待致死事件が伝えられ、世界の愛犬家たちを激怒させている。

スコットランド動物虐待防止協会に、そのドッグファームから買った犬がすぐに病死した、あるいは皮膚病を起こしているといった苦情が頻繁に入るようになり、調査に向かったところ職員は驚きの惨状を目にした。

そこには1台の焼け焦げた車があり、車内には大量の焼け焦げた子犬の死骸が。イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルやテリアをはじめ、犬種は様々だった。

 

■劣悪な環境で多くの犬が病気に

ドッグファームの動物飼育環境は劣悪で、100匹近くいる犬たちの多くが皮膚病を発症していた。ファームでは慢性的に犬の個体数を持て余しており、それを減らすために犬を車に閉じ込めては焼き殺していたという。

こうしたことから、経営者である50代の男と20代の女が動物保護法違反や動物虐待致死容疑で逮捕・起訴され、このたび2人に有罪の評決が下った。量刑は数日以内に言い渡される。

男は2006年および2013年にもブリーダー業における動物虐待で有罪判決を受けており、反省の色や改善の努力がみられないことから、服役は免れないとの見方もあるようだ。

 ■残虐なブリーダーはあちこちに

ブリーダーによる虐待(致死)の話題は世界でも日本でも多々報じられてきた。

・民間アパートで男がブリーダー業を違法に経営。トイプードルマルチーズなど犬13匹を残して行方をくらませ、餓死させる(2019年5月 台湾台中市で)

 

福井県のブリーダー業者が2017年の一時期、犬猫385匹を「すし詰め状態」の劣悪な環境で飼育。

 

経営者の男が、動物愛護法違反容疑で捜査を受けるも不起訴処分となっていた中、「日本動物福祉協会」が福井検察審査会に審査を申し立て、「不起訴は不当」との議決に至る(2019年4月に報道)

 

・量産工場さながらの悪質なブリーダー業者を「パピーミル」と呼ぶアメリカ。狭いゲージで最低限の餌しか与えられていなかった526匹が、ジョージア州のパピーミルから救出される(2014年7月)

 

これらはまさに氷山の一角。例を挙げればキリがないのが現状だ。

 

■「動物実験向け」と明示する業者も

米国の企業「Marshall BioResources」のグループ会社が、英国ヨークシャー州のある村で運営している大規模ドッグファーム。そこは「動物実験向け」と明示したうえで、毎年3,000匹ほどを目標にビーグル犬を繁殖・出荷している。

出荷先は医療、薬品、化粧品など各種の研究施設だといい、開業申請はいったん英国政府に却下されるも、2015年5月には認可された。

動物実験のための犬は1匹あたり日本円にして30万円ほどと高価で取引されるといい、英メディア『 SKY NEWS』は「ボロ儲けしている」と批判している。

愛されることもなく、人間に対する不信感や恐怖感を何一つ語ることもできないまま虐待され、死んでいく犬たち。冷血で残酷な人間による動物虐待の話題は、世界的に見ても増加傾向にあるのではないだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)

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