東京都労働委員会は7月23日日本郵政グループの物流会社「トールエクスプレスジャパン」(大阪市)に対し、少数派労働組合に加入した集配ドライバー10人の業務を減らし、残業を禁止したのは、不当労働行為に当たるとして、2017年11月2018年1月までの賃金減額相当分として計約56万円を支払うように命じた。

10人は、歩合給から残業代が引かれる会社の給与体系は不当として、残業を一部拒否。これに対し、会社は業務量を減らして残業を一切禁止する措置をとったため、歩合給などの減少や組合員の脱退が起きていた。

都労委は不利益取り扱いに加え、組合活動に対する支配介入に当たると判断した。

組合側代理人の指宿昭一弁護士は、「残業しても賃金が増えづらい賃金体系の中で、労働者がどうすれば良いか。会社側の今回のような措置が認められると、組合の争議行為ができなくなる」とコメントした。

残業すると歩合給から削られる

命令書によると、同社の集配ドライバーの給与は、①職務給、②能率手当(歩合給マイナス残業手当)、③残業手当などから構成される。名目上、残業代は出ているが、能率手当と相殺されるような形だ。なお、能率手当がマイナスになっても、給与からは控除されない。

こうした制度は事実上の「残業代ゼロ」だとして、一部社員が日本労働評議会傘下の少数派組合を新しく結成し、大阪地裁に提訴(2019年3月敗訴し、現在は高裁で係争中)。さらに2017年10月、広島の組合員10人が一部残業を拒否する「闘争」に入った。

具体的には、自分の担当業務を終えて帰店したあとや、終業時間を過ぎてから命令された集荷業務などを拒否するというものだ。一方、会社は同年11月から組合員の業務量を減らし、残業を一切禁止する措置をとった。

この結果、残業一部拒否の「闘争」に参加していなかった東京の組合員10人も業務量を減らされ、賃金が減った。東京は全員が組合を脱退することになった。

都労委は、前年との手当の差分を考慮し、広島の組合員分として、約56万円の支払いが必要と判断した。なお、東京の組合員は脱退しているため、支払いの対象には含まれなかった。

トールエクスプレスジャパンは「命令書を精査した上で、対応を検討したい」とコメントしている。

「業務を減らして、残業ゼロ」にNG、一体なぜ? 不当労働行為と認定