おかしい…こんなはずじゃなかったのに…。

毎日、外周りをしている営業マンの安達さんは、スポーツが大好きで休日も運動するほど活発な男性でした。しかし、入社3年目を迎え、少々お疲れ気味に…。

仕事終わりのビールストレスを発散し、休日も家でゲームをするような生活に変わりました。

以前よりも家にいることが増えた安達さんは、「家の中くらいは快適な生活をしたい」と考え、あるウワサを信じてエアコンの冷房を24時間つけっぱなしにして夏を過ごすようになります。

※写真はイメージ

外出の際にエアコンを切っていた昨年までの生活とは違い、玄関を開けるたびにムァッとしていた部屋の不快感もなくなりました。一人暮らしの自宅では汗1つかかなくなったそうです。

しかし、安達さんは7月の電気代を見てがく然とします。

去年より、電気代が高くなってるじゃないか!

「エアコンをつけっぱなしにしたのだから、当たり前じゃないか」と思う人もいるでしょう。ですが、ネット上ではこのようなウワサが、まことしやかにささやかれています。

エアコンは24時間つけっぱなしのほうが、電気代が安くなる。

エアコンは、基本的に運転を開始した直後の室内温度と設定温度の差が大きい時に、電力を多く消費します。自転車のこぎ始めにペダルが重く、体力を使うのと同じです。

提供:ダイキン

そのため、つけっぱなしのほうが電力が安定していて、電気代も安くなるというのです。

ここ最近、毎年話題になっているウワサなので、聞いたことのある人も多いでしょう。

とはいえ電気代が絶対に安くなるという確信がないため、「気になっているが、自分でやるのは怖い」「本当のところは知らない」という人がほとんど。

そして、実際に試した安達さんの結果は、ウワサとは異なるものでした。

なぜこのような結果になったのか…空調機の大手『ダイキン』の実験結果を元に、ウワサを検証してみましょう!

エアコンつけっぱなし問題に決着!

安達さんは、朝の8時に家を出て、帰宅するのが19時ごろになるという生活スタイル

※写真はイメージ

ということは、1日に11時間ほど家にいないので、そのぶんエアコンを無駄に使っているといえます。

それほど長時間の外出でも、つけっぱなしにしたほうが得なのでしょうか。

ダイキンでは、以下の2通りのエアコンの使いかたで消費電力の違いを実験しています。

・9時から23時まで「つけっぱなし」にする。

・9時から23時までの間に4回、計4時間外出。そのたびに電源を「こまめに入り切り」する。

外出時間も短いので、それほど2つに違いが出るようには思えませんが…。

提供:ダイキン

ここで注目してほしいのが、赤と青のグラフ。赤いグラフは「つけっぱなしにした時の累積消費電力量」で、青いグラフは「こまめに入り切りをした時の累積消費電力量」を表しています。

思った以上に累積消費電力量の差は大きく、「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」のほうが消費電力が1日で1.3kwhも高くなってしまいました。

ダイキンなどを目安に電気料金を1kwh当たり27円で計算すると、1日のエアコン使用料金で「つけっぱなし」のほうが約35円も高くなることが分かります

計4時間の外出でも、電源をこまめに切っていたほうが安く済むようです。安達さんのように昼間は働きに出ており、11時間も家に帰らないという生活なら、もっと使用料金に違いが出るかもしれません。

仮に1日60円以上の違いが出るとした場合、30日で1千800円ほどの差になります。

エアコンつけっぱなしを始めた安達さんの7月の電気使用量は、昨年と比べると74%も増加。金額では1千903円も高くなっているのです

冷房を使う期間が6月から9月までの4か月とすると、7千612円分の違いが出ます!

これは見過ごせない金額です!

24時間つけっぱなしで電気代は安くなるのか?の結果

長時間、家にいない場合は、エアコンの電源を切ったほうが安くなる!月に2千円近く差が出ることも。

エアコンを『24時間つけっぱなし』にしているという人は、せめて出勤の時だけでも電源を切るようにすると、電気代を安くすることができます。

ですが、どんな時でも「こまめに電源を切ることが、正しい使いかたなのか?」と聞かれると、必ずしもそうとはいい切れないのがエアコンの難しいところです。

次は安達さんの休日の過ごしかたを例に見てみましょう。

休日、家にこもる人は…

平日は外出時間の長い安達さんですが、休日になると家でゲーム三昧。

昼間は近所に出かけることがあっても30分程度で帰ってきます。買い物に行くのも、日が落ちてからコンビニで軽く済ませるような生活を送っているのです。

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こういった場合でも、外出時にエアコンを切ったほうがいいのでしょうか。

状況によって変わる、上手な使いかたをご紹介していきます。

日中と夜間で変わる、上手なエアコンの使いかた


24時間エアコンをつけっぱなしにすると「電気代が高くなることがある」ということは分かりました。

では、毎回、エアコンを使わない時は電源を切ればいいのかというと、そう簡単にはいきません。

9時から23時まで「つけっぱなし」にしたエアコンと、30分間隔で入り切りを繰り返したエアコンの累積消費電力量を比較。「つけっぱなし」のほうが安くなる条件を見てみましょう。

1日中、家に引きこもっているなら…

9時から18時までのグラフを見ると、日中の外気温が高い時間帯はこまめに電源を消すよりも、つけっぱなしのほうが累積消費電力量が低いことが分かります

提供:ダイキン

近所のコンビニに買い物に行く、気晴らしに散歩するなど、30分程度のちょっとした外出なら、エアコンはつけっぱなしにしたほうが、帰宅後にまた電源を入れるよりも電気代が安くなるといえます。

しかし、18時から23時までの夜間で考えると、結果は変わります。

提供:ダイキン

室内と室外で気温の差が小さい夜間は、こまめに入り切りしても消費電力がそれほど上がりません。そのため、つけっぱなしで外出できる時間も大幅に減り、18分程度。それ以上、長く外出するようなら電源を切ったほうが累積消費電力量は低くなります。

つけっぱなしのほうが料金が安くなる目安とは?の結果

9時から18時まで、30分以内の外出なら『つけっぱなし』のほうが得。

一方、18時から23時までは、18分以内の外出なら『つけっぱなし』のほうが得。

安達さんのように休日はほぼ家の中で過ごしており、昼間は30分も外に出ず、夜間も近所のコンビニに行くくらいなら、エアコンを24時間つけっぱなしにしたほうが安く、しかも快適に過ごせるでしょう。

逆に日中は出かけて家にいないことが多いという人は、しっかりとエアコンを切ってから出かけることをお勧めします。

できるだけエアコンの料金を安く済ませたいという人は、外出時間が30分を超えるかどうかを目安に、つけっぱなしにするか、こまめに入り切りするのかを考えるといいでしょう。

とはいえ、気持ちよく生活をするには、料金だけを考えていればいいというものではありません。

安達さんのように部屋の快適性を求めて、24時間つけっぱなしにするという選択肢があっても間違いとはいえないでしょう。

実際、帰宅後の部屋の暑さに不快感を抱く人は少なくありません。

また、エアコンを使うことを我慢して、家の中で熱中症になってしまう人も増えているようです。

快適な生活を重視するか、月に2千円ほどの料金を浮かせてほかのことに使うか…自分のライフスタイルに合わせて使うのが一番いいのかもしれません。

ダイキンの実験条件

ダイキンの検証実験が行われたのは、ほぼ同じ条件のマンション2部屋。エアコンの設定温度は26℃で、風量は自動運転に設定されています。

なお、消費電力量のグラフなどは、安達さんの生活リズムとは関係ありません。また、使用するエアコンや住んでいる家の構造、その日の気温など、条件によって結果が変わってくることもあります。

場所:大阪府大阪市
建物構造:鉄筋コンクリート造(14階建て)
築年月:2006年3月
部屋の広さ:約14畳、2階と3階の階違いの同じ間取りの部屋を使用
使用したエアコンの機種:『うるるとさらら R シリーズ』 AN40TRP-W 4.0kW(主に14畳用)
エアコン設定:冷房26℃、風量自動


[文・構成/grape編集部]

出典
ダイキン工業「エアコン電気代比較実験」【ダイキン】