この夏、中国のショッピングサイト「天猫」で話題になっているのは、上海の2つの異なる業種の国産ブランドが共同企画で売り出した化粧品だ。

 上海名物、生煎(シェンジェン=焼き小籠包)とザリガニのイラストがプリントされた美顔パックと、これもまたザリガニの鮮やかな赤を思わせる口紅の2点は、上海の国産コスメブランド「雅優泉」と上海から全国展開する生煎チェーン店「小楊生煎」のコラボによるものだ。

 発売のニュースが出るや、微博(ウェイボー)での検索件数は急上昇し、コメント欄には「ごま油と酢を配合したらもっと気分が出そう」、「夜中にお腹がすいた時このパックをすれば生煎を食べた気になるね」など、想像をかき立てられたユーザーからの声が続々とコメントが寄せられた。

 雅優泉の代表によれば、新しい顧客層を開拓するに当たって念頭にあったのは「メイクが好きな人たちはおいしいものや変わったものが好き」ということで、コラボレーションの相手として白羽の矢を立てたのが、同じ上海から全国にチェーン店を展開する「小楊生煎」だった。

 若者以外にもファン層を拡げたい2011年創業の若いコスメブランドと、若年層を取り込みたい1994年創業の有名小吃ブランドの思いが合致して、この異業種間のコラボは実現したが、その裏にはオンラインショッピングサイト「天猫」の「国潮来了(国産品が来た)」と銘打ったプロジェクトの提案があった。

 天猫はビッグデータを駆使して消費者のニーズを分析し、これまでにも多くの異業種コラボを成功させてきているが、小楊生煎の別のメニュー、ザリガニの焼き包子にも注目し、この商品が夏はネット販売で人気があり季節も感じさせる、という分析をもとにザリガニの赤をイメージした口紅の発売も決まった。この口紅は既に2万件を売り上げている。雅優泉ショッピングサイトを訪れる新規の客も一日50万を数え、若者だけでない年層の関心も引きつけているようだ。

 ネットユーザーたちが「何だ、これ?」と関心を持った段階で、既にこの企画は成功しているのかもしれない。(イメージ写真提供:123RF)

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