オールスターでの「緒方監督」も見納めか…。

 7月12日に行われたオールスターゲーム第2戦で、広島・緒方孝市監督(50)が吠えた。セ・リーグ2016年以来の勝利を挙げた後、「全球団、本当に優勝目指して最後まで戦い抜きます!」と高々と宣言したが、ファンの反応はイマイチ。なぜなら広島で11連敗中の緒方監督が勝利したのは、実に6月25日以来。さらに、この日の勝利は阪神勢の活躍によるもので、考えてみればセ・リーグの「球宴連敗」は緒方監督がセ・リーグを指揮するようになってから始まっていたのだ。

 「交流戦で最下位に沈み、ペナントレース再開後も、球宴までの約2週間で広島は引き分けを挟んでの11連敗。最大で14あった貯金を全部吐き出し、『借金5』の4位での折り返しとなりました。3連覇したチームなので、このまま終わるというのも考えにくいですが、浮上の兆しは見えてきません」(スポーツ紙記者)

 勝つことがいちばんの特効薬だが、Aクラスも厳しいとなった場合、広島の経営陣も“善後策”を打ってくるだろう。

 球宴中もそうだった。テレビ中継で緒方監督がアップで抜かれるとき、その表情はいつもブルー。これでは、チームに活気付かない。

 「広島には変な“前例”があるんです。前任の野村謙二郎氏、山本浩二氏など、比較的長く監督を務めた人もいますが、5年を超えて務めたのは、リーグ初優勝した1975年以降で古葉竹識氏だけ。2度の監督登板となった山本氏も5年ずつ2回でした。『5年が期限か?』と聞くと、球団は否定しますが」(広島関係者)

 5年で一区切り…。緒方監督も今季でちょうど5年目だ。ブルーな表情を見せるのは、そのせいか。

 「昨年オフ、二軍投手コーチだった佐々岡真司氏(51)が一軍担当となりました。キャンプでは、クローザーの中﨑翔太と一岡竜司以外全員に、先発のつもりで調整するよう指示を出しました。広島投手陣の完投数は増えましたが、それは救援陣が危ういからであって、佐々岡コーチの手柄とは言い切れません」(同)

 何が言いたいかというと、「5年周期」による監督交代があるとすれば、コーチ人事の配置換えから佐々岡コーチの“昇格”が考えられる。しかし、現状では不安要素が多すぎるのだ。

 そこで、浮上してきたのが、ファンが期待する人事。つまり待望論がもっとも多いレジェンド黒田博樹氏(44)の監督就任である。

 「メジャーリーグの契約を断り“男気”を見せて古巣広島に帰還し、現主力投手の全員が黒田氏に投球技術を学びました。マウンドを死守する闘争心も、現在の大瀬良大地たちに受け継がれています」(同)

 低迷するチームのために黒田氏が立ち上がれば、今以上にファンが球場に駆け付けるだろう。「黒田さんのために勝ちたい」と、カープナインも奮起するはずだ。

 「メジャーに挑戦した際に購入したロサンゼルスの自宅が、彼の活動拠点です。2016年の引退後はロスに残してきた家族のもとに帰るため、広島選手との接点はオフに食事をする程度。地元の日本人サークルの中で家族は快適に暮らしており、メディア出演も極力避けてきました。『しばらくはノンビリしたい』と言って、2年以上が経過しています」(同)

 2014年オフに言った「広島のユニホームを着て引退したい」との言葉が思い出される。古巣の危機は、アメリカにいても気掛かりなはずだ。チーム再建、そしてファン離れを防ぐのに、黒田氏以上の適任者はいない。

 「コーチ陣についても、晩年の黒田が疲労など本心を打ち明けられた唯一の同僚は、新井貴浩(42)でした。黒田が立ち上がるとき、真っ先に声を掛けるのは新井で間違いありません」(同)

 広島内部で実は、「FAによる丸佳浩の喪失よりも、新井ロスのほうが痛い」との声も聞かれた。新井氏は後輩にもイジられるキャラだったが、一打席に懸ける集中力は誰もが認めていた。そんな新井氏であれば、奮起しない広島打線に喝を入れられるだろう。

 最大の懸念事項は観客動員数だ。現在の「弱い広島をカープ女子が応援してくれるのか?」という声が、政権交代に拍車をかける。

 「菊池涼介メジャー挑戦、田中広輔野村祐輔會澤翼らが今後1、2年でこぞってFA権を取得するだけに、広島はまたゼロからのチーム作りに着手しなければならない可能性だってあります」(前出・記者)

 広島は3連覇したせいか、ビハインドゲームになると、すぐに諦めてしまう新たな弱点も抱えている。

 金満補強に成功し首位を独走する原巨人に立ち向かい、逆境を発奮材料に変えられるのは“黒田・新井体制”だ。リーグ3連覇を果たした緒方監督の功績は偉大だが、5年周期の前例にならい、広島には新たな一歩を踏み出すべき時が来ているのかもしれない。