中国を代表する女優コン・リーと俳優のオダギリジョーが共演する名匠ロウ・イエ監督の最新作『サタデー・フィクション』が、イタリア8月28日から9月7日まで開催される第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決まった。

【写真】『サタデー・フィクション』のロウ・イエ監督

 本作は、第二次世界大戦勃発後、太平洋戦争が開戦する直前の、世界各国の諜報(ちょうほう)員が暗躍する上海を舞台に、実在する「蘭心劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語。ロウ監督は「1941年太平洋戦争開戦までの1週間は、中国、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにとって全てが変わってしまう直前にあたります。また、その時代の上海はショー・ビジネスとスパイの世界が交差した特異な場所でした。この映画が描くのは、策略とロマンス、裏切りに満ちた二つの世界です」と説明している。

 コン演じる主人公は、華やかなショー・ビジネスの世界で活躍しながら、諜報員という裏の顔をもつミステリアスな大女優。共演のオダギリは、日本から来た暗号通信の専門家として物語のカギを握る重要な役どころを演じる。さらに、オダギリ演じる専門家の護衛役として中島歩も共演している。

 そのほか、ドイツからは、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のジャクェン・フ=ガー役で知られるトム・ヴラシアがホテルの支配人役、フランスからは、『エディット・ピアフ愛の讃歌~』のパスカル・グレゴリーがコン演じる女優の養父役を演じる。また、台湾からは、国民的人気俳優のマーク・チャオが舞台演出家で「蘭心劇場」の支配人として出演するなど、国際色豊かなキャストが名を連ねる。

 また、オダギリは自身が脚本・監督を務める『ある船頭の話』が、ベネチア国際映画祭ベニスデイズ部門に選出され、正式出品作品として上映されることが決まっている。同部門に長編日本映画が選出されるのは初めて。オダギリは上映に合わせて現地入りする予定。

 映画『サタデー・フィクション』は2020年公開。

映画『サタデー・フィクション』メインカット(C)YINGFILMS