吉本興業所属芸人の“闇営業”問題を巡る謝罪記者会見で、お笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号田村亮さんが、普段の芸能活動時と同じ金髪のままで会見に臨みました。最近の芸能人の謝罪会見は、黒いスーツで髪の毛を短く、色は黒に染めて臨む傾向があるため、ネット上では「黒くしてから会見すべきだ」と批判的な声が上がる一方、「いきなり黒髪にしたら違和感がある」「髪の色は関係ない」という声もあり、賛否両論が起こっています。

 金髪がトレードマークの芸能人であっても、謝罪会見では髪を黒くしなければならないのでしょうか。広報コンサルタントの山口明雄さんに聞きました。

髪に話題が集中しては本末転倒

Q.謝罪会見の身なりとして、一般的にふさわしいとされている髪形や服装はあるのでしょうか。理由とともに教えてください。

山口さん「一般的にふさわしいとされるのは、黒を基調とした目立たない服装です。髪形は、清潔感のあるこざっぱりしたスタイルがよいとされています。ただ私は、芸能人すべてが黒髪で謝罪会見に臨むべきだとは思いません。

謝罪の気持ちを視聴者へストレートに伝えるには、身なりに注意が払われにくい姿で臨むべきです。言い換えると、普段のイメージからかけ離れない髪形と髪の色、そして落ち着いた色の服装、つまり、黒、ダークグレー、または濃紺がよいと思います。ネクタイは黒にこだわる必要はありません。喪服姿のような格好での会見に違和感を抱く人は少なくないと思います」

Q.金髪がトレードマークとなっている田村亮さんは、今回の謝罪会見では金髪のままでよかったということですか。

山口さん「はい、金髪のままでよかったと思います。なぜなら、金髪が田村さんの普段の姿だからです。黒に染めて登壇したら、誰もがまず、田村さん髪の色の変化について思いを巡らして、田村さんの言葉が胸に落ちづらくなってしまいます。以前の話ですが、ある人が謝罪の意味を込め頭を丸めて会見に出たところ、頭のことに話題が集中し、謝罪そのものは話題にもならず、『変装のつもり?』と感じた人もいたそうです」

Q.謝罪会見で、「髪の色が黒くないと反省していない」と思う人がいるのはどうしてでしょうか。

山口さん「黒髪が反省を意味するということではなく、金色や銀色、あるいは白色の“奇抜な”髪の色では、反省の気持ちが伝わらないと思う人がいるからではないでしょうか。金髪はもちろん、青やピンクなど目立つ色に染めた若い芸能人のヘアスタイルは、私はそれなりに好きです。ただ、芸能活動時以外のプライベートでもその髪の色でいるなど、普段の姿でなければ、謝罪会見では黒に戻した方がよいとアドバイスすると思います」

Q.「服装がフォーマルで謝罪の意思を会見で示すことができれば、髪の色は関係ない」との声もあります。この声が、芸能人の謝罪会見では正しいということでしょうか。

山口さん「際立って目立つ髪の色でなければ、普段の芸能活動時にしている髪の色の方がよいと思います。謝罪記者会見を開くのは、芸能人ら有名人がほとんどなので、その人の髪の色は、あらかじめ多くの一般人のイメージの中にあると思います。際だった色彩の場合、色は変えずにある程度黒っぽくすれば、髪色が大きな話題になることを避けられるかもしれません」

Q.一般の社会人でも、男女限らず目立たない程度に髪に色を付けている人は多いです。そうした人たちが、例えば、仕事でミスをして得意先に謝りに行く際も髪は真っ黒にした方がよいのでしょうか。

山口さん「得意先で謝罪する相手が、日頃、顔を合わせている人の上司なども含まれる場合は、黒に戻した方がよいかもしれません。ただ、目立たない程度に髪に色を付けているのであれば、それほど神経質になる必要はないと思います。大切なことは、謝罪に加えて、ミスがなぜ起きたか、二度と同じミスを起こさないためにどのようにやり方を変えようと思っているか、どんな形で補償したいと考えているかなどについて準備をし、誠意をもって説明することです」

オトナンサー編集部

謝罪会見をする田村亮さん(2019年7月、時事)