自分の体重より重いバーベルを頭上に高々と持ち上げるウエイトリフティング。パワーやスピード、体幹バランスなどがポイントとなるダイナミックな競技です。 松戸国際高等学校のウエイトリフティング部では、3年生の渋谷遼君(部長、67kg級)、間藤幸汰君(副部長、73kg級)、堀越海翔君(61kg級)がインターハイ出場を決めました。本番に向けて練習に励む皆さんに、それぞれの思いを伺いました。

チーム全体をよく見て積極的な声掛けを

―― 練習がある平日のスケジュールを教えてください。

渋谷:学校の授業が6限までか、7限まであるかで練習の内容が変わります。6限のときは体操・体幹トレーニング・スクワット・デッドリフト(ウエイトトレーニング)をやって、日によってスナッチクリーン&ジャーク、その後にベンチプレス、最後に筋トレをします。7限の日は、体操・体幹トレーニング・スクワットは変わらず、スナッチクリーン&ジャークの後に軽めの重量でフォーム練習をして終了です。

間藤:練習は18時半ごろに終了しますが、その後は個人で居残り練習をすることもあります。スクワットなどで補強をしてから、各自が自分の課題を考えて練習しています。

体幹トレーニングの様子
体幹トレーニングの様子

―― 普段のトレーニングや練習で意識的に行っていることはありますか?

間藤:僕は副部長という役職に就いているので、チーム全体に対する声出しや応援を意識して行っています。たとえば誰かが特に重い重量で練習しているときや、自己新記録に挑戦するときに「頑張れ!」「真っすぐ!」など、具体的な内容を入れながら声援を送っています。自分自身も次の目標に向かって着実に前に進んでいけるように、常に課題を考えながら練習するということを大事にしています。

渋谷:僕も部長として、全体の雰囲気を見て声をかけるようにしています。特に最近は大会前なので、後輩がけがをしないように、また自分も練習でけがをしないよう注意を払っています。

堀越:僕は練習のときに重量を落とさないことを心掛けています。普段は本番より軽い重量で練習することが多く、大会の1週間前からは調整練習といって、大会に向けて重量を調整していきます。本番で重量を落とすことがないよう、日ごろの練習の中で意識することが大切だと思っています。

頼れる先輩、元気な後輩が集まる活気ある部活

―― チームの強みや、ここは他校に負けない!という部分はありますか?

間藤:松戸国際高校のウエイトリフティング部は歴史が長く、歴代の先輩方が大会のたびに集まってくれて、お話を聞かせてくださいます。大学でウエイトリフティングを続けている先輩も多いので、そういった方からアドバイスをいただけるのは強みだなと思っています。松戸国際高校だけでなく、千葉県のウエイトリフティングに関わっている人たちにもお会いできるのでとてもありがたいです。

渋谷:僕が強みだなと感じるのは、今年から1年生がたくさん入って活気が出てきたことです。元気のある部員が増えて、気分が上がった状態で練習できて刺激になります。

堀越:練習場が広くて使いやすいところです。いくつかの運動部のトレーニングルームも兼ねていて、いろいろなトレーニングマシンがあり、練習に集中できる環境だと思います。

―― 監督や仲間などから言われて印象に残っている言葉はありますか?

堀越:顧問の髙村先生から言われた「感謝を忘れずに」という言葉です。初めのうちは周囲に感謝する気持ちを持っていられますが、慣れてくるとついおろそかになってしまうので、いつも感謝の気持ちを持ち続けていたいと思っています。特に最近は、インターハイに向けた居残り練習で、先生にも遅い時間まで残っていただいているので感謝しています。

間藤:OBの方から「伝統ある松戸国際高校のウエイトリフティング部を任せたぞ」と言われたことです。プレッシャーはありますが、それだけ歴史のある部活なんだなということを実感しました。

渋谷:先生や先輩方からよく言われる「あいさつをちゃんとすること」です。普段の生活でも、廊下で先生や同級生とすれ違ったときにあいさつをして、コミュニケーションを取るようにしています。そうすることによって気持ちよく生活できますし、モチベーションにもつながるので。基本的なことですが大事なことだと思うので、後輩にもあいさつはするように伝えています。


―― 目標としている選手はいますか?

渋谷:堀越君です。階級は僕の一つ下ですが、いつも僕より記録が上なので、抜かしたいなと思いながら一緒に練習しています。

堀越:僕は、海外の選手の動画をネットで見て参考にしています。シャフト(軸棒)を真っすぐ上げるのが苦手なので、他の人がどうやって上げているのかを特に見ています。自分と同じ階級でなくても、いろんな人の動画を見て、どのやり方が自分に合っているか探して練習に取り入れています。

間藤:同じ千葉県立の八千代西高校出身の中泉龍也選手(77kg級)です。中泉先輩は昨年のインターハイのクリーン&ジャークで準優勝、トータルで6位という記録を残していて、同じ千葉県にそんなすごい方がいるということにも憧れますし、練習姿を見ていても本当にウエイトリフティングが好きなことが伝わってくる方です。強化練習会や合同練習のペアで練習した際に中泉先輩とペアで練習したことがあるのですが、褒めていただいて感激しました。

出場できなかった悔しさを乗り越え、今年は本番で実力を出し切る

―― 高校卒業後の目標を教えてください。

渋谷:卒業後は大学への進学を考えていて、社会学を学びたいです。今後はウエイトリフティング以外のことに挑戦したいなと思っていて、スポーツだけでなく文化的なことにも取り組みたいと考えています。

堀越:僕も大学への進学を考えています。将来は通信系の仕事に就きたいので、そのための勉強をしながら、ウエイトリフティングを続けて行くかはおいおい考えていきたいと思っています。

間藤:僕は以前海外に住んでいたことがあり、その経験を生かして将来は海外に積極的に出て行けるような人間になりたいので、大学に進学して語学や国際関係のことを学びたいと思っています。ウエイトリフティングは高校三年間の中でとても好きになったので、今後は選手としてではなく違う形で関わっていきたいです。特に松戸国際高校で大会が開催されるときはお手伝いに来たいなと思っています。

―― インターハイに向けた意気込みをお願いします。

間藤:僕は去年、予選会の日に腰の調子が悪くて実力を出せず、インターハイへの出場を逃してしまいました。今年はようやく出場できることになったので、気持ちを改めて全力で頑張りたいなと思います。スナッチクリーン&ジャークで自己ベストを目指して、トータルで200kg上げるのが目標です。

堀越:僕も去年は出場できずに悔しい思いをしたので、今年は出場して自己ベストを出せるように頑張ります。スクワットやデッドリフトがまだ弱いなと感じているので、本番に向けて重点的に鍛えていきたいです。

渋谷:僕は去年の予選会で記録が全然足りなくて出場できず、今年はギリギリの記録でしたが出場できることになったのでうれしく思います。目標はスナッチ80kg、クリーン&ジャーク100kg。後輩が目指すような記録を残せるように、最後まで頑張りたいと思います。



物腰が柔らかく、気さくにインタビューに答えてくれた3人。練習が始まった途端にスッと真剣な眼差しに変わり、ズシリと重いバーベルを俊敏に掲げる姿が印象的でした。昨年は残念ながら出場を逃してしまったこともあり、今年のインターハイに懸ける思いは並々ならぬものがある様子。3人それぞれが夢の舞台で実力を発揮し、目標記録を達成できるよう願ってやみません。


Profile千葉県立松戸国際高等学校 ウエイトリフティング部
渋谷遼(3年生)、間藤幸汰(3年生)、堀越海翔(3年生)