太平洋高気圧が梅雨前線を押し上げ、梅雨が明けた。太陽が容赦なくその存在を主張し、紫外線が人々の肌に突き刺さる。本格的な夏の到来である。そして、気温の上昇とともにテレビニュースは、連日、猛暑や熱帯夜といったテロップを流し、熱中症への警戒を呼びかける。屋内にいても熱中症になる恐れがあるといわれる中、正しい言葉の表現を理解することもまた予防の手段ではないだろうか。「教えて!goo」にも「40度超えの日は何というの?」という質問が投稿されていた。そんな暑さを表す言葉について、気象予報士の寺本卓也さんに話を聞いた。

■夏日、真夏日猛暑日の違い

天気予報でよく耳にするのが、夏日、真夏日などの暑さの度合いを示す言葉である。その違いとはどのようなものなのだろうか。

「『夏日』は、その日の最高気温が25度以上の日のことをいいます。『真夏日』は、その日の最高気温が30度以上の日、『猛暑日』は、その日の最高気温が35度以上の日のことです。これらの暑さを表す言葉は、実は体感や印象などといったアバウトな感覚で決められているのではなく、気象庁が厳密に数値で決めています」(寺本さん)

メディアで暑さの度合いを示す言葉は、全国共通だ。人の感覚にはズレがあり一本化するのは難しいため、数字による違いで示すやり方はより具体的といえる。

気象予報士による暑さを伝える工夫

さらに気象予報士は、暑さの度合いを分かりやすく伝える工夫をしているというので聞いてみた。

「上記のとおり、暑さの表現は気象用語でしっかり定義されています。『酷暑』という言葉は気象用語にはありません。ただ、37度などさらに厳しい暑さが予想される時は、『体温を超えるような危険な暑さ』などと表現します」(寺本さん)

他にも工夫している言い回しがあるという。

「ある地点でその日の最高気温が29度や34度を予想しているときに定義通りに伝えていては、暑さの度合いや受ける印象は薄まってしまいます。その場合は、『真夏日に迫る暑さ』、『猛暑日となる所もありそう』などと表現を変える事で、より暑さの感覚が伝わるように工夫をします」(寺本さん)

気象予報士は、その暑さが伝わるよう日々言葉を駆使している。そんな工夫は、暑さによる被害の減少に少なからず貢献していることだろう。

■暑さを表す言葉の今後と寺本さんが体験したエピソード

最後に寺本さんは、ご自身の実体験と今後聞かれるかもしれない暑さに関する表現について語ってくれた。

「恥ずかしい事に今年の5月25日に私は熱中症になりました。その日は本州が大陸からの暖かい高気圧に覆われ、日差しがさんさんと降り注ぎ全国的に気温が上昇しました。東京は最高気温31.9度を記録し、その翌日には32.6度と5月としては統計開始以来観測史上1位を記録し、季節外れの暑さとなりました」(寺本さん)

5月にあった「真夏日」について記憶している人もいるのではないか。

「私は当日、企業対抗駅伝大会に会社の代表として参加し、待機している時間を含め炎天下の中5時間以上外にいました。その時点で頭がガンガン痛くなる感覚が続いたのですが、その夜会社の集会でお酒を飲んでしまい、頭痛が悪化しました。自分の考えの甘さから結局その翌日は会社を休み迷惑をかけてしまう事になり猛省することとなりました」(寺本さん)

運動などで多く発汗した後のアルコールの摂取は控えたい。特に今年は、熱中症患者の増加率が高くなっている状況なので気を付けたい。

消防庁によると2018年熱中症による救急搬送人員は11071人。2019年7月7日時点ですでに9562人となっています。暑さは災害なのです。温暖化が進めば『命に関わる危険な暑さに備えてください』という表現を使うのはそう遠い未来の話ではないように感じます」(寺本さん)

多くの人が死に瀕するともなれば、そのような呼びかけも必要かもしれない。

気象庁は去年、記録的な暑さを一つの災害と捉えるという旨の会見をしました。これからは災害級の暑さという表現が一つのキーワードになりそうです」(寺本さん)

寺本さんは実体験もあってか、温暖化に対する警鐘でしめくくってくれた。世界中で温暖化や海面上昇など環境が問題となる中、さらに利己的な主義に世界が傾けば、悪化の一途をたどることは容易に想像できる。一人一人が考え、行動することへの警鐘にも聞こえないだろうか。

●専門家プロフィール寺本卓也
1985年東京都出身。東京農業大学卒業後、青果業の社員として働きながら気象予報士を目指す。2018年資格を取得し、現在ウエザーマップ所属の気象予報士として活躍中。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

夏到来!天気予報士に暑さを表す言葉について聞いてみた