自分の利益よりも他人の利益を優先して行動することを「自己犠牲」といいます。

他人を思いやる姿勢は素晴らしいのですが、自己犠牲の行動をとる人は知らず知らずのうちに相手を優先した結果、自分が損をしがちです。

時には幸せのチャンスを逃してしまうことすらあり、できればやめたほうがいいでしょう。

そこで今回は、自己犠牲の行動をしてしまい悩んでいる女性に向けて、自己を犠牲にする理由や自己犠牲の行動をとる人の特徴、さらに自己犠牲をやめる方法をご紹介します。

■なぜ自己犠牲の行動をとってしまうの?

まずは、自分を犠牲にしてしまう代表的な理由を5つピックアップして解説します。

◇(1)嫌われたくないから

人から嫌われるのを恐れるあまり、相手に言われるがままに行動してしまう人がいます。

相手に従っていれば少なくとも嫌われることはないだろうと考えているのです。

また、こうした人は相手に従えばそれに準じた見返りが得られるとも考えていて、厳しい家庭や体育会系の組織など縦割り社会にいた人に多く見られます。

実際は言うことを聞いているうちはかわいがられても、言う通りに行動できないと厳しく責められたり威圧的な態度を取られたりと、マイナスに働くこともよくあります。

嫌われたくないからと自己を犠牲にするのは、実はハイリスクなのです。

◇(2)自分に自信がないから

自分に自信を持てないと、自分の行動にも自信を持てません。

自信がないから相手の判断に従って自己を犠牲にする人もよくいます。

しかし、相手を優先してばかりいると他者依存の状態に陥りやすく、自分で考えて行動する癖がつかないままで、いつまでも自分に自信が持てません。

自分で判断し、自己責任で行動してこそ、はじめて自信を育てられるのです。

◇(3)愛情深いから

愛情深く博愛の精神を持つ人は、自分の手間や苦労を惜しまず、相手に尽くせる資質があります。

すべての人に愛情を注ぐべきだと考えており、そこに迷いがないのです。

相手を喜ばせたい、幸せにしたいと願う気持ちも人一倍強く、自己犠牲をいといません。

こうした愛情深さはその人自身の魅力になり、多くの人を惹きつけますが、その一方で利用されやすいというリスクもあります。

悪意を持った人が寄ってくることもあり、自分を守るためにも相手を見極めて行動するべきでしょう。

◇(4)楽観的だから

楽観的な人も自己を犠牲にしやすいです。

前向きに物事を捉えるので、自分が損する行動に対しても「なんとかなるだろう」と考え、あまり慎重にならないからです。

相手のことも楽観的に見ているので、疑わずに信じる傾向があります。

また、自己犠牲によってなんらかの損害を被ったとしてもやはり楽観的で、「まあこういうこともあるだろう」と深く考えずに流し、乗り越える力があります。

何かトラブルが起きても変わらず楽観的な姿勢を保てるため、自己を犠牲にし続けてしまいます。

◇(5)面倒ごとを避けたいから

トラブルや失敗などの面倒ごとを避けたいと願う気持ちを「回避欲求」といいます。

回避欲求が強い人は、面倒ごとを避けるための労力をいといません。

そのため相手の欲求を退けてもめるくらいなら「自分が我慢すればいい」と考え、自分の意見を押し曲げてでも相手の意見を飲むなど自己を犠牲にしがちです。

場合によっては相手を優先したほうがプラスになることもありますが、毎回相手を優先していると精神的に疲れてしまうことも。

自己犠牲が癖になって心を消耗しないように、大事な局面では自分の意見や気持ちも大切にしましょう。

■自己犠牲の行動をとる人の特徴

自己犠牲の行動をとる人には特徴があります。

よく見られる特徴を5つ、理由とともにご紹介します。

◇(1)親和欲求が高い

人にはさまざまなモチベーションがあり、そのひとつに「親和欲求」があります。

親和欲求のある人は、相手と親密な友好的関係をつくって好かれたいと願うもの。

相手の役に立ち、好感度を高めることで、人から好かれようとします。

「相手に好かれたい」と強く望むため、相手の要望に合わせて行動する傾向があり、自分を犠牲にしてでも相手を助けようとします。

◇(2)過保護な環境で育った

自己犠牲の言動をとる人は、親から過保護に育てられた人が多い傾向があります。

つまり、親も自分自身より子どもを優先する自己犠牲の姿勢で育てているため、子どもにも自己犠牲の姿勢が定着していくのです。

また、こうした環境にいると、人にだまされたり裏切られたりする経験も少なく、人を信じやすくなります。

そのため他人をあまり疑わず、手助けしたり親切にしたりすることにも抵抗がなくなるのです。

◇(3)個性が強い

まわりと考え方がちがう個性的な人は、いわばマイノリティな存在。

他人とのちがいを感じることが多く、集団生活をするうえでは自分の言動をまわりに合わせなければなりません。

そのため自分よりも他人を優先する自己犠牲の精神が育ちやすいのです。

まわりに合わせないとしても、良好な関係を維持するため、自分の考えが理解されるように説明するなど相手に合わせた行動をとるので、やはり自己犠牲の姿勢が根づくでしょう。

◇(4)共感力が高い

人に共感する力が強いと、相手が困っていたり苦しんでいたりすると共感して自分のことのように感じ、放っておくことができず、積極的に手助けしようとします。

人は人、自分は自分とわり切れないのです。

相手の困難もともに乗り越えようとする“協働の精神”を持っています。

その結果、自分のことを後回しにしてでも相手のことを優先します。

相手の苦しみや喜びに共感して一心同体で動けるので、それを悔やむこともほとんどありません。

◇(5)ポジティブ思考

自己犠牲の行動をとる人は、物事を肯定的に捉えるポジティブ思考の人が多いです。

一般的には状況や条件を考慮して「相手を助けるか助けないか」を判断しますが、だれでも「助けるべき存在」だと判断して行動します。

こうした人は誠実さを大切にし、相手に真摯に向き合います。

自分より相手を優先した行動を美徳とするのです。

■自己犠牲をやめる方法

誰かのために行動し、人を助けることは素晴らしいことですが、それが自己を犠牲にして行われると、やがて疲弊しつらくなる一方です。

ここでは、そんなつらい状況から脱出するため、自己犠牲をやめる方法を3つご紹介します。

◇(1)自分が幸せだと感じる行動をとる

「相手に好かれたいから」「人に嫌われたくないから」と相手依存の行動をとっていると、自分の人生のハンドルを自分で握れず、常に相手の顔色をうかがって行動することになり、いつまで経っても幸せになれません。

自分を幸せにするのは自分です。

自分は何をしたら楽しいのか、うれしいのかといったことをきちんと考え、その考えに基づいた行動を選びましょう。

◇(2)自分の意見を持つ

自己を犠牲にする人は、自分の意見ではなく相手の意見を優先して行動します。

そうすると「自分の意見を持っていない人」だと思われてしまい、あまり信用されません。

多くの人が信頼してついていくリーダーは「ビジョンコミュニケーション」に長けているといわれます。

ビジョンとは、夢や目標、指標のことです。

リーダーに最も必要な力は「ビジョンを語る力」だといわれるほどで、自分の指標を持って発言し、行動する人は信頼されます。

自分の意見を持ち、発信する勇気を持ってください。

◇(3)ナルシストの真似をする

実は、ナルシストの人は初対面での好感度が高いといわれています。

というのも、自分に自信を持っているナルシストは初対面でも堂々と話し、ユーモアを交えながら魅力的な表情でコミュニケーションをとれるからです。

一般的にネガティブイメージを抱かれがちですが、意外と「憎めない愛されキャラ」として人気を集めています。

無理にナルシストになる必要はありませんが、まずはナルシストの真似をして堂々とふるまってみてはいかがでしょうか。

だんだんと自信がついてきて、自分らしい行動がとれるようになります。

■自己犠牲は損をする。自分が心から望む選択肢を選ぼう

自己犠牲は美しいことのようですが、実際には自分の価値を下げたり、魅力を半減させたりとあまりいい影響を与えません。

せっかく相手のために行動しても、デメリットのほうが多いのです。

思いやり=自己犠牲ではないので、はきちがえないようにしましょう。

ご紹介した改善方法を取り入れて、自分の価値観を持ち、自分が心から望む選択肢を選んで行動する力を養いましょう。

(萩原かおり)

※画像はイメージです

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