河北省滄州市滄県のトウ連軍環境保護局長が「井戸水が赤い色をしていることと、(水質)基準に達しないことは別問題」と発言したことで、批判の声が集まった。赤い色がついた水を飲ませた鶏が次々に死ぬなどの現象が発生したという。中国新聞社が報じた。

  同県では、1988年から2011年まで操業していた化学工場が、「酸っぱい臭い」のする廃水を垂れ流し続けていた。工場が操業している間に、比較的浅い井戸の水に赤い色がつきはじめた。色がついているだけでなく、刺激臭もする。

  養鶏場を経営している住人によると、通常は色がついていない深い井戸の水を使っているが、2012年11月にはパイプが凍ってしまったため、やむをえず浅い井戸からくみ出した赤い色の井戸水を鶏に与えた。すると、鶏が次々に死んだという。

  住民は、井戸水に有害物質が含まれているのではと恐れている。「次世代に、どんな影響がでるのか、後遺症がでるのか」との不安の声もある。

  住人の不安に対して、県のトウ環境保護局長は「井戸水が赤い色をしていることと、(水質)基準に達しないことは別問題」、「水が赤い色をしているのは、含まれている物質によるものだろ。水に小豆を入れてみろ。赤い色が出る。それで飯を炊いても赤くなる。基準とは別問題だろ」など、赤い色の井戸水を赤飯にたとえて「問題なし」と言ったとされる。(「トウ」は「登」におおざと)

  同件を知った中国水利水電科学研究院水資源研究所の王浩所長は、「井戸水に赤やピンクの色がついていれば、それだけで(水質基準面で)不合格になる。なぜ、合格だなどでたらめを言ったのか」と驚きを示した。

  王所長によると、水質汚染を発生させた場合、まずは汚染源となった企業が責任を追及される。ただしそれ以外に地元の環境保護部門も、重大な職務怠慢や汚職があった場合にも責任追及の対象になる。

  王所長は、中国における地下水汚染が極めて深刻であると説明。「かつては点状だった汚染地域が、帯状、面状に広がっている」、「浅い地層から深い地層に広がっている」、「都市周辺から郊外、さらに農村に広がっている」と指摘。

  さらに、「汚染の種類が広がっており、複合汚染化している」ことも大きな問題で、過去には主に無機物による汚染だったが、現在は各種の窒素類、アンモニア、硝酸塩、亜硝酸塩などが関連する有機物による汚染になっており、汚染を解消することが難しくなっている。しかも、催奇性がある化学物質による汚染が進行している。

  河北省、北京市、天津市の地下水からは、有害物質100種以上が検出されているという。(編集担当:如月隼人)