「サイン」って、案外すぐには気付かないもの。

【写真を見る】指で銃を構えるようなポーズを決める大森南朋…視線がクール!

「大丈夫大丈夫!」って笑顔を見せているけど、実はそれがSOSのサインだったり、キャリーケースを引くスピードが徐々に速くなっていくのが実は怒りのサインだったり、「押すなよ押すなよ!」って叫ぶことが「押せ!」というサインだったり…。それは別か。

さておき、生きている人間のサインだってなかなか見抜けないのにご遺体や事件現場から“サイン”を読み取るなんて至難の業。

今回はそんな難しいことを平気でやってのけている男が主人公を務めている話だ。

各局で放送されているドラマやバラエティーなどを事前に視聴して、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は、8月1日(木)に放送される大森南朋主演ドラマ「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」(毎週木曜よる9:00-9:54、テレビ朝日系)の第3話を取り上げる。

■ 「サイン」INTRODUCTION~STORY

本作は、権力に屈することなく真実と正義を追求する法医学者・柚木(大森)が、不都合な“事実”を隠蔽する権力社会に立ち向かう法医学サスペンス。

謎が多く残る国民的歌手の死亡事件を縦軸に据えつつ、“1話完結スタイル”でさまざまな事件を巡る“真実と権力”の戦いを描いている。

第3話では、「日本法医学研究院」院長の伊達明義(仲村トオル)直々の指名で、解剖医・柚木は新人の景が担当する司法解剖に立ち会うことに。

その裏で、伊達は副院長の橘祐輔(淵上泰史)を呼び出し、警視庁組織犯罪対策四課から託された射殺体の解剖を依頼する。

被害者は暴力団員・千葉雄一(諫早幸作)。千葉は歓楽街のスナック店内で、腹部と眉間を撃たれて死亡。

被疑者の暴力団員・伊沢明夫(高尾悠希)は逃走中だが、現場にあった薬きょうから凶器はロシアトカレフで、組員同士の抗争だと推測されるという。

説明を受けた橘は早速解剖を開始するが、どういうわけか、わずか20分で終了。捜査内容および現場の状況と一致する、との結論を述べる。

話を聞いた柚木は、あまりにも短時間過ぎる解剖に疑念を抱き、解剖所見を見せるよう食い下がる。だが、橘はこれを拒絶。しかも、この解剖には不可解な点が他にもあった。被害者の遺体はなぜか即座に、遺族のもとへ返されたというのだ。

時を同じくして、警視庁捜査一課の管理官・和泉千聖(松雪泰子)と刑事・高橋紀理人(高杉真宙)も、千葉の殺害方法や四課の捜査体制に違和感を覚えていた。2人は真相を突き止めるため、裏ルートを駆使した独自捜査を敢行。

やがて、明るみになればすべてがひっくり返るような“とんでもない事件の内幕”にたどり着く。

第3話Review

テレ朝の法医学モノというと、誰が何と言おうと手取り、足取り、名取裕子(ごめんなさい)の「法医学教室の事件ファイル」シリーズが思い浮かぶのだが、そこに風穴を開けるべく(?)、そういう狙いかどうかはともかく、風穴を開けてくれそうなのがこの「サイン」だ。

主人公が破天荒だけど腕がいい、ある種の一匹狼的な解剖医。木曜の夜には型破りな白衣姿の主人公がハマる。

パワハラ・セクハラ、ハラスメントのオンパレード的な態度は玉に瑕だが、解剖医としての腕はピカイチで、第3話ではもはや刑事なんじゃないか?くらいの勢いで事件解決に向けて奔走する、役どころ。

てっきり冷たい仕事人間なのかと思いきや、飯豊演じる景を必死に守ろうと犯人と格闘したり、なんだかんだ言葉とは裏腹に気にかけたり、もしかしたら分かりにくいツンデレ男なのかも。

古き良き男と言ったところか。暴言吐きつつも素直じゃない優しさが憎めない。特に終盤、伊達を相手に発した景にまつわる発言は意外過ぎてグッときた。

そしてその“柚木イズム”を良くも悪くも継承しつつあるのが飯豊演じる景だ。これまでもその片鱗は見せていたが、第3話では覚醒した感じ。

いや、覚醒するにしてもすごい方向にいき過ぎでしょ。まさかあんなにキュートな顔で柚木もビックリの違法行為スレスレのことをしちゃうとは。

しかもそれをネタに柚木を焦らすんだから、もう“ドM”にはたまりませんな。この新感覚な“師弟コンビ”が今後どうなっていくのか、冷や冷やしながらも心は躍りっ放しだ。

ついでに第3話では、景がピンセントであるものを突き付ける姿にはゾクゾクさせられた。

加えて、松雪演じる管理官・千聖のサングラス&パリッと足ワザ、脱力系の今どきボーイに見せかけて実は秘めたる正義感がかなりアツそうな高杉扮(ふん)する高橋。

あのピュアな声で「そんなに出世が大事っすか」というセリフを言われると、なぜかいつも勝手にウッ…と罪悪感に苛まれるけど、冷静に考えるとこんな素っ頓狂な記事を書いているヤツが出世するわけないだろう。大きなお世話だ。

キャラクターだけでなく、解剖のシーンや殺人のシーンもかなりリアルだと定評のある本作。生々しい描写にもこだわりが見られ、適当にお茶を濁されるよりよっぽど好感が持てる。ただし、食事をしながら見ると結構ドキッとする場面もあるので、ご注意を。

長くなったが、悪い意味ではなく、“対立構図”がすごく分かりやすいし、ある意味THE・警察ドラマ的な第3話

柚木にしろ、景にしろ、それこそ刑事さながらの動きを見せてくれるので、1週休止になってサイン・ロスを感じていたファンもきっと満足しそうだ。

それにしても、小木茂光氏や木下ほうか氏が政治家関係の役で出てくると「絶対このキャラ何か悪いことをウラでやっていそう…」って気になってしまうのはなぜだろう。(失礼)

でも、そういう人がいないとこの手のドラマは成り立たないわけで、貴重な存在なのは間違いない。

むしろ、そんなキャラ要らないよってさりげなくサインを送ったとしても、簡単に必要だと“論破”されてしまいそうだ。(ザテレビジョン・文=人見知りシャイボーイ)

「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」(毎週木曜よる9:00-9:54、テレビ朝日系)の第3話が8月1日(木)に放送