もくじ
ー 人気の理由 ヘッドライト
ー 優雅なボディ レースで活躍した性能
ー 蘇ったグリジオ・ヴィノーヴォ
ー クラシケ認定付き
人気の理由 ヘッドライト
稀少な1958年製フェラーリ250GT LWBカリフォルニア・スパイダーが、8月のモントレー・カーウィークで行われるオークションに出品される。自動車オークション史上でも上位に入る高値が付くことは間違いないだろう。
シャシー・ナンバー1055 GTは、わずか50台しか生産されなかったロングホイールベースのカリフォルニア・スパイダーで11番目に製造された個体だ(カリフォルニア・スパイダーは、他にショートホイールベース仕様が56台製造)。その予想落札価格は驚きの1100万〜1300万ドル(約12億〜14億円)とされている。
ただし、この個体はそれだけの値に相当する特別なクルマだ。シャシー、エンジン、ギアボックス、サスペンション、ボディワークといった各コンポーネントが、すべてオリジナルのマッチング・ナンバー車で、人気の高いアクリルカバー付きヘッドライトを装備する。
徹底的なレストアによる完璧な状態に仕上げられており、しかも当時のレースで見事な戦績を収めたヒストリーまで付いている。
このカリフォルニア・スパイダーは、モントレー・カーウィーク期間中の8月16・17日(現地時間)に開催されるグッディング&カンパニーによるペブルビーチ・オークションに出品される予定だ。
優雅なボディ レースで活躍した性能
カリフォルニア・スパイダーは、最も美しいフェラーリと広く認められ、常にそれに相応しい高額で取引されてきた。実際、2014年にはこれとよく似た個体がRMサザビーズのオークションで880万ドルという落札価格を記録している。
カロッツェリア・スカリエッティ製の見事なボディを持つカリフォルニア・スパイダーは、その名前が示唆するように、当時の好景気に沸く米国市場に向けて作られた。
米国の2大フェラーリ・ディーラーであるルイジ・キネッティとジョン・フォン・ノイマンは、同国の若くて裕福な顧客向けに、250GTベルリネッタのオープントップ・バージョンをマラネッロに提案した。
カリフォルニア・スパイダーは単なる見せびらかし用のポニーではない。優雅な外観の下に秘めた実力を、サーキットでこそ発揮できる本物のサラブレッドだ。なんと言ってもそのベースとなっているのは、フェラーリの最も優れたレースカーの1台である250GTツール・ド・フランスなのだから。
ボンネットの下に搭載されている3.0ℓV12エンジンは、最高出力240psを7000rpmで発生(公称値)。スティールとアルミニウムを組み合わせた軽量なボディにより、最高速度は252km/hに達すると謳われていた。
1950年代後半から60年代前半に掛けて多くのレースで成功を収め、1959年のル・マン24時間レースでは、キネッティのNART(ノース・アメリカン・レーシング・チーム)から参戦したカリフォルニア・スパイダーが総合5位に入賞したことさえある。
蘇ったグリジオ・ヴィノーヴォ
今回のオークションに出品される1055 GTはそこまでの戦績を残したわけではないが、それでも同時代のレースでは十分に立派な成績を収めた。1962年1月に米国フロリダ州で行われたオセオラ・グランプリでは、レース初出場でクラス優勝、総合でも2位でフィニッシュした。
1959年にルイジ・キネッティ・モーターズから新車として販売された1055 GTは、テキサス州に住む弁護士が最初のオーナーとなった。フェラーリの研究者が調べたこのクルマの歴史に関する書類を見ると、雑誌「フェラーリ・マーケット・レター」を出版したジェラルド・ロウシュや、コレクターのアンソニー・ワン、ハンズ・チューリンといった著名人も、歴代オーナーに名前を連ねている。
近年には、現在のオーナーである米国人コレクターの意思によって金額に糸目を付けない完璧なレストアが施され、当時の純正カラーだったグリジオ・ヴィノーヴォ(ソリッドのグレー)の外装と、ブラウンのレザー・インテリアという組み合わせに仕上げられている。作業を手掛けたのは、ヴィンテージ・フェラーリ専門レストアラーとして有名な米国ウィスコンシン州のモーション・プロダクツだ。
クラシケ認定付き
「ヴィンテージ・フェラーリの世界で、250GTカリフォルニア・スパイダーが格別の存在であることは、多くの人が同意するところでしょう」と、グッディング&カンパニーの創設者デビッド・グッディングは語る。
「それは典型的なオープン・フェラーリです。中でもこの個体には、人気が高いアクリルカバー付きヘッドライトや、フェラーリ・クラシケによる認定書、多くの受賞歴と、個性的な素晴らしいカラースキームが備わっています」
グッディング&カンパニーのペプルビーチ・オークションには、他にも多くの特別なクルマが出品される予定だ。中には、ニキ・ラウダがF1世界チャンピオンに輝いた1975年シーズンでドライブしたフェラーリ312Tや、1958年製フェラーリ250GTツール・ド・フランス、1953年製アルファ・ロメオ6C3000CMスーパーフローIVなどが含まれる。
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