国内初のカジノは横浜で決まるのか? 維新府政が前のめりの大阪、ハウステンボスを擁する長崎など、有力候補地がひしめくなか、横浜のカジノ誘致はまず外堀から埋まった格好だ。

7月26日、地元横浜Fマリノスは、香港の統合型リゾート企業『メルコリゾーツ&エンターテインメント』とパートナーシップ契約を結んだことを発表した。市内で行われた会見では、チームの主力選手同席のもと新しいロゴ入りユニホームもお披露目された。またローレンスホーCEOは、日本で仕事をしたいと明言した上で、「仕事をする前にコミュニティの一員にならないといけない」とも述べている。つまり、マリノスが本拠地とする横浜でカジノ事業を行いたい、ということだ。

もっとも、肝心の横浜市側では、いま現在に至るまでカジノ誘致は「白紙」という立場を変えていない。法的な問題はすでに解決済みなので(2018年7月に可決したIR実施法)、あとは市側の決断次第なのだが、そう簡単にはいかない理由もある。それは、反カジノ派と市民の声だ。

参考記事:大量のコスプレ美女店員を揃えたカフェ・レストランが大批判 「裏でおかしな営業をしているだろ!」 | TABLO

市民の声としては、パブリックコメントや地元神奈川新聞などのアンケートでも反対が大きく上回っており、特にギャンブル依存症と治安悪化への不安がその大きな理由だ。

そして、カジノ反対を声高に叫んでいるのが、一部では“ハマの首領”とも言われる藤木幸夫横浜港運協会会長を中心とする(開発予定地である)港を庭場とする企業家たちである。こちらは、カジノ抜きの再開発を提唱しており、また、藤木氏は横浜エフエムの社長や横浜スタジアムの会長も務める実力者とあって無視できない存在となっているのだ。

蛇足ではあるが、藤木氏の父・故藤木幸太郎氏は戦前戦後の横浜港の発展を語る上では欠かせない人物だ。幸太郎氏は、1953年に全国港湾荷役振興協議会を設立し会長に就任する。その時の副会長が、三代目山口組組長・田岡一雄氏であったのだ。

話が少しそれたが、それほどの実力者である藤木氏らの反対や市民の声、また共産党などの政治党派も反対の声を強くしているため、横浜市側はいまに至っても「白紙」と言わざるを得ない状況が続いているのである。

しかしながら、今回の『メルコリゾーツ&エンターテインメント』によるマリノスへのスポンサード、さらに横浜経済界自体はカジノ推進に向かっていることを考えると、最終的には「強行突破」ということもあり得ない話ではない。いずれにしても、推進派、反対派ともにそれぞれの思惑が透けており、どこかキナ臭さがあるのは否めないところだ。(取材・文◎鈴木光司)

あわせて読む:大阪に55年ぶりの万博 その裏で西成区にあるドヤ街・釜ヶ崎のリゾート開発が「摩擦」を引き起こしていた | TABLO

後発のカジノ建設で果たして世界から注目されるのだろうか