ダーダン♪ダーダン♪というメロディとともにサメ映画ブームが忍び寄ってきているのはご存じでしょうか?

【写真を見る】頭増えすぎ!? シックスヘッド・ジョーズ

ジョーズ』(1975)以降、年に1本程度はリリースされていましたが、2010年以降からは急激に増え、軽く50本を超えるサメ映画が作られています。

その描かれ方もさまざま。ビーチはもちろん雪山や家などから現われたり、はたまた空から降ってきたりと、これまでサメ映画の常識だったホラーやパニック作品のみならず、“いかに独創的に描くか”が、サメ映画界の常識になりつつあります。

そんな中でも、サメ自身の持つ特徴的なフォルムで惹き付けているのが「●●ヘッド・ジョーズ」シリーズ。タイトル通り頭が複数あるサメ。

そう!多頭ザメ映画なのです。

2012年に第1作となる『ダブルヘッド・ジョーズ』が誕生して以降、シリーズ化に成功し、現在は第4作まで完成しています。

ちなみに頭の数は…

1作目 2つ

2作目 3つ

3作目 5つ

4作目 6つ

…と、順調(?)に増えています。

ここまでシリーズが続くのは人気の証拠です。

しかし、シリーズとはいっても基本的に1話完結スタイル。キャストやストーリーも別々で、どの作品から見ても大丈夫ということも、本シリーズが受け入れられる要因のひとつに思えます。

そんな「●●ヘッド・ジョーズ」シリーズですが、日本の配給元であるアルバトロスの宣伝担当の方に話を聞いたところ、実は日本サイドからのアイデアにより製作されたのだとか…。しかもこの話には続きがあり、2作目以降のシリーズ化に際しては特に日本サイドには相談もなく、アサイラム主導で作り続けられているというのだから面白い。つまりは“日本生まれアメリカ育ち”のサメ映画なのです。

ここからは、作品ごとに紹介していきましょう。

■ 『ダブルヘッド・ジョーズ』(2012)

水上スキーを操る美女2人が同時に襲われる、これしかない!と思わせるオープニング。サメ映画特有のジワリと迫りつつ襲い掛かってくる中盤。執拗に小屋の中まで追い掛けてきてスリリングな展開を見せる終盤。……と、意外にもサメの姿以外の中身は正統派モンスターパニック路線の作品です。メイン・キャストは、ブルック・ホーガン。

プロレスラーハルク・ホーガンの娘さんです。

■ 『トリプルヘッド・ジョーズ』(2015)

“進化”というよりは“増加”がしっくりくる、頭を1つ増やした第2弾。海洋研究所を舞台に環境問題なども盛り込んだ意欲作です。

当然、ビーチで3人そろえば危険なサイン。期待に応える展開がお待ちしています。キャストには、強面俳優の代表格ダニー・トレホもクレジット。山刀を片手にサメに立ち向かう姿は思わずニヤリなポイントです。監督は前作から引き続きクリストファー・レイ。本シリーズ以外にも『メガ・シャークvs~』シリーズ(20092015)や『シャークウィーク』(2012)など、何かとサメ映画に縁の深い人物です。

■ 『ファイブヘッド・ジョーズ』(2017)

“フォースヘッド・ジョーズ”というタイトルの作品は作られませんでしたが、本作の冒頭はサメの頭は4つでスタート。途中で進化して見事5つ頭のサメの誕生となりますが、注目はその5つ目の頭が出てくる場所です。安易に横並びにしなかった形状に私は拍手を送りたい。

映画ならではの“ありえない楽しさ”を見せつけてくれるスタイルがすばらしいのです。今後このシリーズが続いていけば「今度はどんな姿?」という、サメ映画に“形状”という新たな付加価値を加えた、ターニング・ポイント作になるかもしれません。監督のニコ・デ・レオンは、『ゾンビアルカトラズ』(2012)や『シン・アルマゲドン』(2016)など、アクション作品が得意なニック・ライオンの別名です。

■ 『シックスヘッド・ジョーズ』(2018)

『ファイブヘッド・ジョーズ』で新たに築いた衝撃的な形状の多頭ザメがバージョン・アップ!なんと陸にも上がり、頭を上手に使いながら襲い掛かってくる様子は、もはや別の生き物…。超発想な新フォルムは、世紀の大発明です。監督は、『ビーチ・シャーク』(2011)や『鮫の惑星』シリーズ(2016~2017)など、“新しい描き方”のサメ映画作りに定評があるマーク・アトキンスが務めています。

「●●ヘッド・ジョーズ」シリーズは、フォトジェニックならぬ“サメジェニック”の極み。増加を遂げていく、その独特なフォルムのすべてを、一挙放送されるこの機会にご確認ください。

■ 文=中野ダンキチ

サメンテーター/お宝映画発掘家。メディアやイベントを通じ、なかなか陽の目を浴びない“お宝な”映画を世に知らしめるべく活動中。特に、アメリカの映画会社アサイラム社の作品、サメ映画に明るい。『シャークネード5』日本版DVDでは特典映像の撮影/編集を担当。(ザテレビジョン

『ファイブヘッド・ジョーズ』