8月1日から10月14日まで開催される、国内最大級の芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」にある企画展示に、強い非難が集まっている。「表現の不自由展・その後」は、日本や米国を糾弾する強い政治性や、象徴的な人物の写真の燃焼など、多数の作品が並べられている。

開催前の7月31日、同芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏(45)は記者会見で、「表現の不自由展・その後」は、撮影した写真や動画のSNS投稿を禁止すると発表した。批判の拡大による展示停止を避けるためだという。

公表された資料によると、あいちトリエンナーレの開催にあたり、愛知県が8億5000万円、名古屋市が2億8000万円を拠出した。

松井一郎大阪市長は、河村たかし名古屋市長に企画展示について問い合わせたところ、「本人も一昨日まで知らなかったよう。問題意識を持っているので早急にチェックするとのこと」とツイッターに書き込んだ。官製芸術祭にもかかわらず、行政の監督が不十分であったことをうかがわせた。

河村たかし名古屋市長は8月2日、「表現の不自由展・その後」を視察したのち、メディアの囲み取材に応じた。河村市長は、韓国の彫刻作家による、戦時中の慰安婦像を表現しているとされる「平和の少女像」の展示中止と撤去を、大村秀章愛知県知事に申し出ると発表した。

津田氏は芸術祭の開催前、「楽しませる展示、音楽がたくさんある」とコメントした。しかし「表現の不自由展・その後」は、日本人を対象にした激しい憎悪を中心として展開されている。3年に一度開かれる大型芸術祭に来訪する鑑賞者が「楽しむ」ものとしては疑念視される。「これは芸術なんかじゃない」「知事はいったい何を考えているのか。説明責任がある」など、展示に反対する声がネットにあふれた。

2015年から始まった「表現の不自由展」はこれまで、政治性が強烈などの理由で、他の展示会で公開を拒否されてきた。あいちトリエンナーレ事務局の説明によると、津田大介氏が、表現の自由を問題提起するために同企画展をあいちトリエンナーレで開催したいとの要望を受け入れ、展示を承認したという。

(佐渡道世)

(あいちトリエンナーレ2019 公式ページのスクリーンショット)