3年ぶりとなる新海誠監督の新作「天気の子」で、主人公・帆高(醍醐虎汰朗)が出会う女子大学生の夏美の声を演じた本田翼。「鷹の爪7 女王陛下のジョブーブ」(2014年)、現在放送されている「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」(テレビ東京系)でクマの妖精・くまちぃの声を務めるなど、これまでも声優経験はあったが、今回初めて新海監督の作品に参加できたことは大きな喜びだったという。

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――夏美の声を務めると決まったときのお気持ちを教えてください。

今回は新海さんから「本田さんの声を聞いてみたい」と声を掛けていただいて、オーディションに参加させていただきました。最初は「自己紹介を、できれば地声でお願いします」と言われ、その後に夏美のセリフをいくつか読ませていただいたんですが、決まるまでの時間は本当にドキドキでした。そういう「決まる、決まらない」というところに自分が立つのが久しぶりだったので、そういう意味でも初心に帰れた気がしました。

――声を演じる上で意識されたことはありましたか?

オーディションのときも「私の地声を聞きたい」と言ってくださっていたので、変に作り込まずに自分のままで行った方がいいのかなと。なので、アフレコでもほとんど地の声でやらせていただきました。

――新海監督は本田さんの地の声を聞いて、夏美に起用されたということなんでしょね。

自分としてはなぜ私が選ばれたのかも分からない状態だったのですが、私がセリフを言ったときに「夏美がしゃべってる!」と思ってくださったみたいで。ということは、私の無意識のしゃべり方に夏美っぽさを感じてくださっているのかなと思ったので、変に気負わず、リラックスして演じることが一番なのかなと思いました。

■ 少しお姉さん的な雰囲気を出してほしい

――「言の葉の庭」などでもそうですが、新海監督の作品では年上のお姉さん的なキャラクターがポイントになることが多いですよね。「天気の子」では、それが夏美なのかなと。

アフレコのときにも少しお姉さん的な雰囲気を出してほしいと。でも、それでいて気取ってない感じもほしいとおっしゃっていました(笑)。

――先ほどのお姉さんキャラじゃないですが、新海監督の作品には世の中とうまく接することができない思春期ならではの葛藤や悩みを抱えたキャラクターが登場することが多いと思います。本田さんも思春期のときに、そういう思いを抱いたことはありますか?

高校生のときの私は一匹狼で、常にツンツンしていて、「友達の意味って何?」と思っているようなタイプでした。でも、ツンツンしていたら友達なんかできないし、「友達なんていらない」と言いながら、どこかで「自分には友達ができない」と言ってるんですよね。それこそ矛盾しているんですけど、それも完全に自分でまいた種で。高校時代はそういうときがありましたね(笑)。

――それをどう克服されたのでしょうか?

アルバイト経験が大きかったと思います。アルバイトをすると自分とは違う世代の方と接する機会も増えてくるので、いろんな年齢の方と話をするうちに、一人で勝手にツンツンしているのは恥ずかしいことと気づく瞬間があり、そこからは素直になろうと思いました。

――最後に、本田さん的“見どころ”を教えてください。

帆高と陽菜の選択は2人にとって大きな決断なのですが、それを周りは知らないし、私は彼らの選択は間違っていないと思いました。あと、東京・新宿の街が新海監督のフィルターを通すと、どれだけ美しい世界に描かれているか。それも注目ポイントだと思います。(ザテレビジョン・取材・文=馬場英美)

新海誠監督の新作「天気の子」(公開中)で女子大学生の夏美の声を演じた本田翼