もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★★★☆☆
ー走り ★★★★★★★★★☆
ー使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★★☆
はじめに
長年にわたり、ハンドリングに優れたサルーンとスポーツカーで世に知られてきたメーカーにとって、SUVの投入は大胆な決断といえる。ジャガーにとってのFペースがまさにそれだ。確立された名声通りに甘んじていれば、背が高く重いSUVを追加する以上のリスクを負うことはなく、このようなクルマを量産に移す見通しとなった際には、首脳陣は眠れぬ夜を過ごしたことだろう。とはいえ、その時点で誰も将来を予見できなかったとしても、この動きは必然で、非常に実り多いものと思われた。
Fペースは今や、このクラスでハンドリングがよくドライビングに熱中できるSUVに数えられるだけでなく、ジャガーの稼ぎ頭にもなっている。2017-18会計年度を通して、グローバルなセールスの42%を占めているのだ。弟分のEペースが2017年末に発売されたが、2018-19年にもジャガーの最多販売の座は譲っていない。
そうした背景を受けて、FペースSVRが登場したことは合理的な流れだと思える。ジャガーは、走りを楽しめて印象的なSUVを造り上げ、さらにはそれを売ることができるとわかった。そして今、スペシャルヴィークルオペレーションが手がけるバージョンは、その走りや印象を比類なきものとしたSUVをジャガーが生み出せるのかを明らかにしようという試みだ。しかしながら同時に、日常使いの利便性を保つことが、成功する上では欠かせない。以前にロードテストに供したアルファロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオでは、そのことを思い知らされた。
詳細不明な「部品供給の問題」が発生していなかったならば、このロードテストはもっと早く実施できていたはずだ。当初の発売予定より1年近く遅くなったが、ようやくFペースSVRの実力を試す機会が巡ってきた。待たされた甲斐のある出来栄えなのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
たとえ真のパフォーマンスカーらしく姿を変えたSUVがめったにないとしても、ジャガーFペースはそのレアケースに当てはまる。このクルマは、セダンモデルのXFとプラットフォームを共有していることを忘れてはいけない。さらには、標準モデルがすでにもっともハンサムなSUVのひとつであり、そのSVR仕様がとりわけ際立ったものになったとしても不思議はない。
しかし興味深いのは、ジャガー・ランドローバー内部のチューニング・スペシャリストが手がけたSVRモデルの第3弾にして最新作が、ライバルたちと違ってパフォーマンスを声高に訴えていないことだ。標準で21インチ、テスト車に装着されたオプション品は22インチという大径ホイールや、軽量アクティブエキゾーストシステムの4本出しテールパイプ、エアロパーツや冷却性をアップするボディワークなどを備えるものの、FペースSVRのルックスは標準モデルと大きく変わらない。メルセデスAMGの抜け目ないGLC63や、ステルヴィオ・クアドリフォリオの横に並んだら、控えめなクルマだといわれそうだ。並外れてグッドルッキングで、適度に目的に叶っているが、ライバルたちほど風変わりなところはない。
そうはいっても、FペースSVRのエンジンには、控えめなところなどない。レンジローバー・スポーツやジャガーFタイプのSVR仕様と同じく5.0ℓV8スーパーチャージャーだが、ややチューニングは異なる。以前の2台は575psと71.3kg-mを発生したが、今回は最高出力が6000~6500rpmで550ps、最大トルクが2500~5500rpmで69.4kg-mだ。トランスミッションは8速ATで、駆動方式はもちろん4WDだ。
最高出力は510psのステルヴィオ・クアドリフォリオとGLC63Sクーペを上回るが、2070kgの車両重量はそれら2台をわずかながら上回る。そのウェイトペナルティが、直線加速にいかなる影響を及ぼすかは、追って検証しよう。
スプリングはフロントが30%、リアが10%ハードにされ、ボディコントロールの向上が図られた。新採用された電子制御アクティブディファレンシャルとブレーキを用いたトルクベクタリングシステムは、コーナリング時のトラクションを最大化する。拡大されたブレーキは、速さに見合った制動力を生み、SVR専用ソフトウェアはアダプティブサスペンションやEPAS、ダイナミックモードを司る。
連続制御式パートタイム4WDはリア寄りの駆動力配分で、ローグリップ時には最大90%をフロントに配分する。いっぽう、アダプティブダンパーは、日常使いにおける適切な快適性をもたらしてくれるに違いない。
内装 ★★★★★★★★☆☆
SVRとはいえ、内装の基本構造は2016年に登場した通常のFペースと変わらない。とはいえ、それを問題視する必要はない。高く広いベルトラインとともに、引き上げられたセンタートンネルが、思った以上に落ち着くサルーン風の雰囲気を感じさせる。だが、窓外の眺めは、背の低いクルマでは決して望めないものだ。根本的に、長距離ドライブをするにはすばらしい環境だ。
見逃しようのない追加要素は、サポートが張り出したキルティング仕上げのバケットシートだ。SVRには標準装備され、ドアを開けるとスーパーカー的なムードが味わえる特徴的なアイテムだ。そこに身を収めると、ステルヴィオ・クアドリフォリオをはじめとする多くのスーパーSUVよりヒップポイントが高いことに気づくが、シートそのものはしっかり身体を掴み、必要以上に高く座らされているようには感じない。
テスターのなかには、一体型ヘッドレストがあまりに低く前へ突き出しているので、理想的な快適さを得られないという声もあった。とはいえ、シートのサポートやペダルのポジション、電動ステアリングコラムの優れたアジャスト性といった部分は例外なく好ましい。これほど操縦がナチュラルなライバルはそうそうないし、圧倒的に大排気量なV8を鼻先に積んだものでは皆無だ。
いっぽうで、後席のヘッドルームとレッグルームは通常のFペースとまったく変わらないので、後席に大人を乗せてそれなりの距離を走っても気が咎めることはない。荷室は650ℓで、ステルヴィオ以上ポルシェ・カイエン以下といったところ。マテリアルのクオリティにも、同じことがいえる。しかし見逃せないのは、ジャガーがFペースのフラッグシップに与えたインフォテインメントシステムが、最新型のタッチプロデュオではなく、旧式のもののままだということだ。
走り ★★★★★★★★★☆
SVRのサウンドは、パフォーマンスのポテンシャルを強く感じさせる、ウォリックシャーの片田舎よりも本格サーキットで耳にする類のものだ。そして、公正な立場で見ても、パワーとトルクはアルファやポルシェの競合モデルと渡り合うのに必要な要件を満たした数字だといえる。5000cc級の排気量に過給機を加えれば、広いトルクバンドも実現できる。ピークトルクは2500rpmから、ピークパワー発生点のわずか500rpm手前である5500rpmまで続くのだ。
実用面でも、実にワンダフルなパワーユニットだ。ダイナミックモードでのレスポンスがこれ以上敏感だったら、運転はしづらかっただろう。少なくとも、2トンを優に超えるクルマとしては。とはいっても、キレのいい反応ぶりや、低回転域でのトルクの盛り上がりは8速ATがキックダウンしなくても可能な無理のない加速は、スーパーチャージャーならでは。ターボチャージャーを選んだライバルたちでは、このクルマのよりエネルギッシュでないモード程度にとどまるところだ。
トルコンATは、DCTほど素早くはないものの、変速が上品で、このSVRの落ち着いたキャラクターによりマッチしている。さらに重要なのは、低速・低回転で洗練した走りを見せることだ。
数値的に見たパフォーマンスはどうか。ローンチコントロール機能なしで、0-97km/h加速は公称値を凌ぐ4.1秒をマークしたが、ステルヴィオ・クアドリフォリオの4秒フラットや、GLC63Sクーペの3.7秒には及ばなかった。現実的な加速性能の指標といえる48-113km/hにおいても、4速固定でも変速ありでも2台のライバルに後れを取っているが、その差はコンマ数秒だ。それらの比較対象より大きくて重いのだが、ブレーキ性能は上々。しかも、予想したよりピッチは少なく、フロントに履いた295セクションのピレリPゼロはテストコースの路面にガッチリと食いついてくれた。
結局のところ、このSVRは決して、その獰猛なエキゾーストのチューニングから期待されるほど爆発的な速さを味わわせてはくれないが、この車両価格でもほとんど不満は無いであろうレベルのパフォーマンスをもたらしてくれる。さらにパワートレインは、従順でありながらもドラマティックで、夢中になれる走りと、ゆったりと楽しめる日常のドライブを両立する守備範囲の広さを備えている。このAJ133ユニットは、いまや10年選手のV8エンジンで、退役もそう遠くないとみられるが、愛すべきアナクロさが感じられ、その日が来たなら別れが実につらいだろうと思わせる。
テストコース
ジャガーSVRは、公道上でのスタビリティや驚くべきマナーのよさを重視したツケを、サーキットで支払わされることとなる。オーナーの大半には、ほとんど関係のない話だろうが。
ミルブルックのヒルルートで見せたSVRの走りが悪かったというわけではない。非常に速く足取りは確かだ。しかし、ステルヴィオ・クアドリフォリオやポルシェのSUVにはない程度のロールがある。それほどクイックではないステアリングは、レスポンスを犠牲にしてはいないものの、これほど大きくたくましいエンジンをフロント積んだ影響で、進行方向を変えるにはそれなりに腕が求められる。
バランスもまた、ライバルたちほど遊び心のあるものではないが、それは主に、4WDのチューニングが競合車よりフロント寄りだからだ。対照的に、公道での安定感では上回るのだが。
ほかのSVRモデルとは違って、このFペースは自然にパワーオーバーステアへ転じることはない。荷重移動をしっかり行わないと、タイトなコーナーではアンダーステアに陥ってしまう。
背の高いジャガーだが、ロールのリニアな性格のおかげで、自信を持って高速コーナーを駆け抜けることができる。
エンジンは、急勾配もあっという間に登り切ることを可能にする。しかしそれ以上に、ブレーキは下り坂での過酷な制動に上手く対応できる。
発進加速
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テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:12.4秒(到達速度:187.1km/h)
0-1000m発進加速:22.4秒(到達速度:234.5km/h)
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メルセデスAMG GLC63S 4マチック+クーペ(2018年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温17℃
0-402m発進加速:12.1秒(到達速度:185.7km/h)
0-1000m発進加速:22.3秒(到達速度:234.6km/h)
制動距離
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テスト条件:乾燥路面/気温16℃
97-0km/h制動時間:2.69秒
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メルセデスAMG GLC63S 4マチック+クーペ(2018年)
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
1200万円近いFペースのフラッグシップでありながら、このSVRにはジャガーの最新インフォテインメントシステムは装備されなかった。改良型XEに装備された、2段構えのディスプレイを擁するタッチプロデュオではないのである。
装備されるのは従来型の、インコントロールタッチプロで、10.2インチのディスプレイが1面のみだが、Apple CarPlayとAndroid Autoが標準搭載される。解像度は最新モデルに張り合えるほどシャープだが、太めの黒いベゼルはそれほどスマートではなく、やはり問題視される遅れがあった。画面の下端に並ぶ、必要以上に小さいアイコンもフラストレーションのタネだ。幅広いメニューの操作しやすさは、新型BMW X5のiDriveに遠く及ばない。
従来のメーターパネルに代わる、12.3インチのインタラクティブドライブディスプレイの出来は上々だ。明るく鮮明で、走行モードに合わせて色が変わり、ナビゲーションの指示もわかりやすく表示する。しかしやはり、ステアリングホイールやコラムレバーのスイッチによる操作は、探したい画面がすぐに見つかることもなく、結局はデフォルト画面のままにしてしまいがちだ。
駐車
燈火類
アダプティブLEDヘッドライトを標準装備。照射範囲はずば抜けたものではないが、広さも距離も良好だ。
ステアリングとペダル
AT車なので、ペダルはふたつだけだが、サイズは適切で、わずかにオフセットしているが十分な間隔があいている。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
BMWならば、ホットなSUVはMモデル的なものを誇張して感じられるように造るだろう。同じくアルファも、ステルヴィオの最上位モデルをジュリア・クアドリフォリオのような運動性を持つものに仕立てるべく奮闘した。それらはすばらしく、技術面で妥協のないクルマだが、FペースSVRに少し乗れば、ライバルたちが大きく重く、ファミリーユースも加味したパフォーマンスカーを、適切な走りのフィロソフィや満足できるアプローチに則ってチューニングしたのかどうか、疑問を覚えるようになる。
このSVRの名を持つSUVで、ジャガーはハイスペックなクーペやセダンのハンドリングを再現しようとはしなかった。結果、パワーオーバーステアを積極的に使ったり、軽く手首を効かせるだけでコーナーに飛び込んだりするマシンに仕上げることはできなかったが、安定感や乗り心地が非常に優れたSUVの範疇で、安心感と大きな楽しさを両立した。
ジャガーが生み出したのは、まさしくFペースのSVRバージョンだった。電動ステアリングは自然な手応えと攻めすぎない速さだが、レスポンス不足は決してなく、速いジャガーの多くがそうだったように、この上ないコンフィデンスを与えてくれる。高速コーナーでのロールは思いのほか大きいが、その動きはリニアで、飛ばしてもコントロールの瀬戸際で動揺するようなことはない。方向転換はGTカー的で、ドライバーに素早い荷重移動で勢いを保たせようとする。しかし、あまり心配しなくてもいい。すぐに取り戻せるはずだ。
後輪寄りの4WDと広い接地面により、ロードホールディングはエクセレントで、トラクションに不安を覚えることはめったにない。ただし、このクルマは本質的に安全志向で、パワーをかけると穏やかなアンダーステアを示す。ブレーキを残せば幾分は緩和できるかもしれないが、結局のところアジリティよりスタビリティ優先のチューニングなのだ。ポルシェ・マカンやステルヴィオ・クアドリフォリオで肝を冷やしたことのある身としては、それがもっともだと思える。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
ジャガーは、ひとびとがなぜSUVを買い求めるのか、その理由を忘れてはいない。そしてワイルドなイメージにもかかわらず、FペースSVRのロードマナーは立派なもの、いや、それ以上だ。それも、猛烈なパフォーマンスカーの割には、という話ではない。ビルシュタインのダンパーをコンフォートモードにすると、ハードなスプリングと22インチホイールを備えるにもかかわらず、高速道路をゆったり、落ち着きと安定をもって走る。たくましい不屈さに支えられた走りだが、このシャシーが最新スーパーカー並みのパワートレインに見合ったものであると思い出すのは、路面の波打ちが最悪な場合くらいだ。
SVRのエキゾーストノートは、退屈な響きではないが、4本出しテールパイプが期待させるほどでもない。確かに、8気筒サウンドを聞き逃すことは絶対にないが、期待通りのそれでもない。対して、タイヤノイズはきわめて小さく、113km/h巡航での室内騒音は67dBを計測。この数値はよりエキセントリックなステルヴィオ・クアドリフォリオと、みごとな洗練ぶりをみせるBMW X5 30dとの間に位置する。レッドラインの6500rpmでは、アルファよりも騒々しいが、よりドラマティックで豊かな響きを聞かせる。快適さとカリスマ性のバランスが絶妙だ。
必然的に、トレードオフはある。それに気づくのは、50km/h以下の速度域や、市街地の中心部を走った際だ。低速域での乗り心地はひどいものではないが、オプションの巨大な22インチホイールを履くと、通常のFペースなら高さのあるサイドウォールと柔らかいサスペンションがいなすようなマンホールや路面の穴などでも苦戦する。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
510psのメルセデスAMG GLC63Sなどと並べると、FペースSVRはお買い得なハイパフォーマンスSUVに思える。なにしろ、ジャガーはAMGより150万円ほども低い価格設定をしているが、V8スーパーチャージャーの出力で上回る。このエンジン、クルマのキャラクターにもマッチする。価格に関していえば、ステルヴィオ・クアドリフォリオの方が安価だが、そのキャビンにはジャガーのようなプレミアムな魅力が欠けている。
FペースSVRの標準装備は、驚くほど豪華だ。とはいえ、もちろん購入者はオプションに数十万円の追加出費を惜しまないだろうが。
3年・5.8万km走行後の残価予想は51%で、48%のGLC63を上回る。ところが、これを上回る58%を誇るクルマがある。それがステルヴィオ・クアドリフォリオだ。
価値の推移
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残価率において、ジャガーはアルファロメオを上回るが、メルセデスにもはっきりと差をつけている。
スペック
レイアウト
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FペースSVRは、フロントにJLR製5.0ℓV8スーパーチャージャーを縦置きする。ZF製の8速ATを介して四輪を駆動し、リアには電子制御LSDを搭載。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、アダプティブダンパーを標準装備する。車両重量は、カタログデータでは2070kgだ。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒5000ccスーパーチャージドガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ92.5×93.0mm
圧縮比:9.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:550ps/6000-6500rpm
最大トルク:69.4kg-m/2500-5500rpm
許容回転数:6800rpm
馬力荷重比:266ps/トン
トルク荷重比:33.6kg-m/トン
エンジン比出力:111ps/トン
シャシー/ボディ
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構造:アルミモノコック
車両重量:2070kg(公称値)
抗力係数:0.39
ホイール前/後:9.0Jx22
タイヤ前/後:295/35R22
ピレリPゼロ
スペアタイヤ:修理キット
変速機
形式:8速トルクコンバーターAT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
①4.71/9.5②3.14/14.2③2.11/21.2
④1.67/26.7⑤1.29/34.8⑥1.00/44.6
⑦0.84/53.3⑧0.67/66.9
最終減速比:3.23:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:6.4km/ℓ
ツーリング:10.4km/ℓ
動力性能計測時:3.1km/ℓ
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.5km/ℓ
中速(郊外):8.2km/ℓ
高速(高速道路):9.3km/ℓ
超高速:8.4km/ℓ
混合:8.0km/ℓ
燃料タンク容量:82ℓ
現実的な航続距離:523km
CO2排出量:272g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、アダプティブダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.6回転
最小回転直径:11.6m
ブレーキ
前:395mm通気冷却式ディスク
後:396mm通気冷却式ディスク
静粛性
アイドリング:44dB
最高回転時:81dB(3速)
48km/h走行時:58dB
80km/h走行時:63dB
113km/h走行時:67dB
安全装備
ABS/EBD/ESP/LKA/EBA
Euro N CAP:5つ星(20d AWD、右ハンドル、2017年)
乗員保護性能:成人93%/子供85%
歩行者保護性能:80%
安全補助装置性能:72%
発進加速
実測車速mph(km/h) | 秒 |
---|---|
30(48) | 1.7 |
40(64) | 2.4 |
50(80) | 3.1 |
60(97) | 4.1 |
70(113) | 5.2 |
80(129) | 6.3 |
90(145) | 7.6 |
100(161) | 9.3 |
110(177) | 10.9 |
120(193) | 13.2 |
130(209) | 15.9 |
140(225) | 19.4 |
150(241) | 24.6 |
160(257) | – |
中間加速〈秒〉
中間加速mph(km/h) | 2速 | 3速 | 4速 | 5速 | 6速 | 7速 | 8速 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20-40(32-64) | 1.6 | – | 3.2 | – | – | – | – |
30-50(48-80) | 1.5 | 2.2 | 2.9 | 4.0 | 5.7 | – | – |
40-60(64-97) | 1.7 | 2.1 | 2.8 | 3.7 | 5.3 | 7.2 | 9.7 |
50-70(80-113) | – | 2.1 | 2.7 | 3.6 | 5.2 | 6.9 | 10.4 |
60-80(97-129) | – | 2.2 | 2.7 | 3.5 | 5.0 | 6.7 | 10.2 |
70-90(113-145) | – | – | 2.8 | 3.6 | 4.8 | 6.6 | 10.4 |
80-100(129-161) | – | – | 2.9 | 3.7 | 5.0 | 6.8 | 10.8 |
90-110(145-177) | – | – | 3.3 | 3.9 | 5.2 | 7.1 | 11.9 |
100-120(161-193) | – | – | – | 4.2 | 5.6 | 7.7 | – |
110-130(177-209) | – | – | – | 4.6 | 6.2 | 8.7 | – |
120-140(193-225) | – | – | – | 5.5 | 6.9 | – | – |
130-150(209-241) | – | – | – | – | – | – | – |
140-160(193-257) | – | – | – | – | – | – | – |
各ギアの最高速
1速 | 64km/h | 6800rpm |
2速 | 97km/h | 6800rpm |
3速 | 145km/h | 6800rpm |
4速 | 182km/h | 6800rpm |
5速 | 237km/h | 6800rpm |
6速 | 283km/h | 6344rpm |
7速 | 283km/h | 5323rpm |
8速(公称値) | 283km/h | 4231rpm |
結論 ★★★★★★★★★☆
「守備範囲が広く、鮮烈なスリルが味わえる反面、SUVにルーツがあることも忘れていない」
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予想に反して、FペースSVRはいかに妥協するかというレッスンだ。キャラクターもパフォーマンスも豊かなクルマが、これだけの快適性と万能性も実現しなくてはならないということは、このマーケットで独自性を打ち出すとともに、パフォーマンスに秀でたSUVでもSUVのコアである性質が足かせになることなしに共存できると証明することにもなる。
このジャガーより速く俊敏で、爽快なライバルも存在し、もう少しばかり運動性能は高められたかもしれないが、ハンドリンがシャープな代わりにマナーで劣るライバルがスムースな乗り心地やスタビリティの不足を感じさせるほどには不満を感じない。仰々しいまでに高性能なV8が常に優勢な走りにはならないという事実が、FペースSVRのパッケージングがいかに熟成されたものかということを物語る。
ジャガーの仕事ぶりは、われわれのハイパフォーマンスSUVランキングを塗り替えるに十分なものだった。たとえインテリアが魅力的でありながら、テクノロジーやマテリアルの質感でドイツ勢に及ばなかったとしても、である。彼らは、自社のラグジュアリーで日常使いできるパフォーマンスカーに、ユーザーが何を求めているか理解しているようだ。そして、それはほぼ完璧に達成されている。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
エンジンの自己主張がもっと強ければよかったのに、と思うが、それ以外の点は納得できる。このFペースは速い。ゼロスタートでGLC63Sに追いつき追い越すためには、1kmを超える距離が必要だが、最終的にはそれを達成できる。
リチャード・レーン
アルファやBMWが送り出すライバルたちは、SUVのボディでスーパーサルーンを造り上げようとしている。このSVRはSUVのなんたるかをわきまえたクルマで、日常使いにもより適している。
オプション追加のアドバイス
ジャガーは、テスト車に装着されたオプションの22インチホイールを想定してハンドリングをチューニングしたので、すばらしいバランスを見せるが、標準仕様の21インチならセカンダリーライドが改善されるだろう。パノラミックルーフは1570ポンド(約23.6万円)、電動格納式牽引バーは990ポンド(約14.9万円)だ。
改善してほしいポイント
・これほど速く重いクルマなら、オプションでもいいからカーボンセラミックブレーキを用意するべきだ。
・1200万円近いクルマなのだから、インフォテインメントシステムはIペースや改良型XEに採用された最新モデルのタッチプロデュオにしてもらいたい。
・もっと後輪駆動的なキャラクターになってくれれば。スタビリティはそのままに、ダイナミックモードではデフをよりアグレッシブなセッティングにしてほしい。
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