あなたが浜辺や桟橋を散歩していて新鮮な海の空気や海風を浴びているときに、浜辺に何か不審なものが近づいてくるのに気づいたとしたらどうでしょう?波にのまれ、遠目には一体何なのかわかりませんが、それが近づいてきて輪郭がはっきりしてくると、一隻の船だとわかります。

この船には自動航行や方向操作機能はないようで、実際誰かが乗っている気配もありません。空想的なSF映画のように聞こえますが、日本の長い海岸線沿いに住む住民たちにとっては定期的におこる出来事なのです。

住民たちはこれらの船を「幽霊船」と呼んでいます。

北朝鮮に面している北日本の海岸沿いに住む住民と、両国間の水域を巡回する海上保安庁の警備隊にとって、不審船の漂着は当たり前の出来事になりつつあります。おそらく、最も身の毛のよだつことは、多くの幽霊船には飢餓と脱水症状で亡くなったとみられる人の人骨が残っているという現実です。

アリランニュースが報じたように、2017年11月にはひと月で24隻もの船が日本海沿岸に打ち上げられましたが、なぜこれほどの数に上るのでしょうか?そして、なぜ乗組員たちは亡くなってしまうのでしょうか?

専門家によると、船に残っていた様々な種類の証拠からもわかるように、全ての船は北朝鮮からのものだとわかっています。BBCの報道によると、海上保安庁は時に「北朝鮮タバコの箱とハングル文字が書かれた所有物を身につけた」犠牲者を発見することもあるということです。

船がガス欠になったり、食料が底をついて骨だけになった乗組員を乗せて彷徨う理由として最も考えられるのは、これらの船が日本海で違法操業している漁船で、スケトウダラなどの価値の高い魚を漁獲しようとしているためです。

これまで何十年にもわたり、諸外国から大量の食糧支援を受けていたにも関わらず、北朝鮮は慢性的な食料不足に陥っています。歴史的にみても一定の頻度で大干ばつにみまわれるため、国連の食糧事情専門家は北朝鮮国民の40パーセントが乾燥した気候の影響を受けていると推測しています。

北朝鮮の汚職が蔓延していて非効率的な中央政権による経済統制は、危機的な食糧不足をもたらしています。飢えている人々のための食糧支援のはずが、軍を賄うために利用されているのです。

慢性的な食料不足をきっかけに、北朝鮮共産党の指導者金正恩キム・ジョンウン)は、国民にさらなる食糧生産を強制しようとしています。北朝鮮の平均カロリー摂取量は、周辺の諸外国と比べてはるかに低い水準となっています。

北朝鮮の専門家であるステファン・ナギー(Stephen Nagy)教授は、サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、「アメリカと国際社会による制裁は、北朝鮮の広域経済に多大な影響をもたらしています」と説明しています。

沿岸警備隊によって発見される漁船には生きた乗組員が乗っていることもときどきあり、数日間食料や水、ガスがない状態だったと語ることも珍しくありません。北朝鮮の自国の海岸線では乱獲が続いているため、日本近くの水域まで漁師たちがやってくるのです。

2019年の深刻な干ばつと、その後に北朝鮮を襲うであろう食料不足により、これらの不審船がより多く日本の海岸に漂着すると予測されます。

ナギー教授はサウスチャイナ・モーニング・ポストに「これらの小型船が、極寒の時期に資源獲得のため海に出されれば、その結果は絶望的です」と語っています。

大紀元日本ウェブ編集部)

Video Screenshot / Daily Mail